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勇者殺しと聖剣砕き

 城の前の広場では、龍姫メリージアも参加しての戦勝を祝う宴会が開かれていた。


 龍姫の配下の翼竜が次々と酒や食べ物を運んでくる。

 城の厨房も大忙しで料理を作っていた。


 マイアのベアハッグで意識を失っていた俺は秘薬中の秘薬と言われる龍の血を竜姫から貰い復活し、酒によりエロ化した龍姫に絡まれているところだった。


「ふふふ、我を女として見る者など、ここ数百年現れなかったのだぞ」


 龍姫はしなを作って俺の膝ににもたれ掛かって酒を飲んでいる。


 まるで大型の肉食獣に懐かれているようだ。

(実際膝に乗っているのは猛獣すら可愛く思える存在なのだが)


 彼女が飲んでいるのは、以前俺がマイアに飲まされ3日意識を飛ばした『龍酒』という酒だ。


 一応彼女は布を巻き付けて色々と隠していたのだが、今は開けてしまいその肉体を露わにしている。


 俺は恐怖よりもエロが勝り、ついついその身体に視線を向けてしまう。


 その視線が嬉しいのか、龍姫はクククと笑い酒を飲み続けていた。


 周囲は触らぬ神に祟りなしと、俺と龍姫の居る空間だけ切り離したように宴会を楽しんでいた。


 唯一の頼みであったマイアは、早々に龍姫に酒での勝負を挑まれて酔い潰れた。


 遠くからミレーユさんが「頑張って」と口だけを動かし応援する。

 ライオスも次々と度数の高い酒を運んでは俺に渡してくれた。


 これは、俺の戦の記録である。 



「我が自ら血を与えるなぞ、滅多にないこと......。見返りを求めては我の器が知れるかのぅ?」


 竜姫は甘い声を出しながら、俺の膝を爪で掻いていた。


「いやいや、感謝しています。ささ、ぐいっと」


 俺は空になった龍姫の持つ器に酒を注いでいく。


 注ぐのは魔の領域でも最高級とされる銘酒『勇者殺し』


「うむぅ、旨い!」


「お見事!」


 まさに人間が飲めば死んでしまいそうな、匂いだけでも二日酔いになりそうな酒を一気に龍姫は飲み干し器を高く掲げる。


 すかさず俺は器に酒を注ぐ。


(こうなったら何とか酔い潰すしかない)


 飲むほどにやらしさを増していく龍姫に、もうやっちゃってもいいんじゃないかと思い始める俺を、ミレーユさんとライオスの視線が何とか踏み留まらせる。


 その視線はマイア様へ誓った忠誠を思い出せと言っているようだった。



 秘酒『聖剣砕き』を飲み干したところで、ようやく龍姫は酔い潰れ俺の膝の上で可愛らしく寝息を立て始めた。


 その戦いの様子を遠巻きに眺めていた者達から、誰となく拍手が湧いてくる。



 そう、俺は龍姫と自身の性欲に打ち勝ったのだ......。

 

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