表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

328/350

331. 一歩ずつ前へ

「儂は寝床と、身体を動かせるスペースがあれば良い」

「はいはーい! 私は、訓練場とかアスレチック体験エリアとかあるといいなー!」

「じゃあ、リュンさんとハスタさんの運動エリアは家の外に作って貰おう。そうすれば、自由に動き回れるだろうし」

「やった!」


 あの後、ジャッカルさんの家へと向かった僕らは、彼に図面を引いて貰いつつ、ああだこうだと話していた。

 多分一番注文が多いのは僕で、その後がハスタさんだと思う。

 ……だって、調合用の部屋とか欲しいし。


「フェンさんは何か欲しい施設とかないんですか?」

「ミーは特に無いわねぇ」

「な、ないんですか……」


 リュンさんとフェンさんは何のスキルを持ってるのかもよく分からないし、こっちで何か作ることも出来ないんだよねぇ……。

 まあ、いらないっていうなら別に良いんだけど。


「ラミナさんは?」

「台所?」

「……台所はちゃんと作るよ」

「なら良い」


 そう言って図面へと目を落とすラミナさん。

 まあ、流石に台所は作らないとダメだしね……。

 でも台所……?

 もしかして、調理系のスキルを鍛えるつもりなのかな?


「あ」

「ん? ラミナさん、どうしたの?」

「ラミナの部屋。アキと一緒がいい」

「……は?」


 何を言ってるの?


「いやいやいやいや。あ、そうか、同じ作りっていう」

「違う。同じ部屋」

「同じ部屋って、ラミナさん、あの、僕一応男なんだよ!? いや、こっちでは女になってるけどそういうことじゃなくて!」

「……?」


 "それがどうかした?"みたいな顔で首を傾げられても!

 それはどうかしてるよ!?


「別に良かろう。所詮ゲーム内じゃ。リアルのように、この家で常に暮らすと言うわけでも無いしの」

「あら、珍しい。リュンがフォローするなんて」

やかま(じゃかあ)しい。アキがうだうだと面倒なだけじゃ」

「ふふっ。そういうことにしておくわね」


 そう言って笑うフェンさんを横目に、僕も少し驚いていたり。

 いやだって、あのリュンさんが……誰かをフォローするみたいなことを言うとか、ちょっとほら、ねえ?

 いや、傍若無人とか唯我独尊とかは言わないけど、結構自由に突き抜けていく感じの人だったから。


「でも、同じ部屋はちょっと」

「……ダメ?」

「見つめられても、首を傾げられても、良いよとは言えないかな。せめて隣の部屋で、部屋同士行き来できる扉付ける程度にしようよ」

「むう」


 納得していないみたいな顔をしつつも、一応と頷いてくれたラミナさんに僕はホッと胸を撫で下ろす。

 その後も色々と決めていき、結果、僕らのギルドホームは3階建ての家になることとなった。

 まあ、要望以外の細かいところはジャッカルさんが決めてくれるんだけどね。


◇◇◇


「そんなわけで木を集める必要があるんですが」

「なるほどなぁ。別に俺らに言ってくれりゃ、集めてくるぜ? アキさんの手伝いなら、やりてぇってやつも多いからな!」

「それはありがたいんですけど……家も作ってもらうのに、材料集めまでしてもらうのは」

「気にすることじゃねぇんだが……まあ、アキさんらしいとは思うけどよ」


 言いながらお茶を飲む木山さん。

 そう、今僕は、木山さん達のギルドホームへと来ていた。

 素材集めの件を聞こうと念話を飛ばしたら、ここに招待されたのだ。


 木山さん達のホームは、職人さん達のための作業場だけでなく、意見交換を行えるようなサロン、各ジャンルごとに商品を出品できる販売ブース。

 そして、オーダーメイドや相談のようなことができる、窓口のようなものがあった。

 まあ……めちゃくちゃ大きいってこと。


「しかし、3階建てってなると、かなりの数が必要になってくるぜい! いくらアキさんと言えど、ひとりで集めんのは、難しいんじゃねえかと」

「一応、リュンさんも手伝ってくれるみたいだから、ひとりって訳じゃないけどね」

「はー、あの“赤鬼”がですかい? まあ赤鬼なら、うちの作業員の20人くらいは、ひとりで賄えそうだけどよ」

「でしょ? だからたぶん大丈夫ですよ。運ぶのは全員でやれば良いですし」


 伐るのはたぶん僕とリュンさんだけになるだろうけど。

 <伐採>は2人とも持ってないけど、斧は持ってるし……なんとかはなると思う。

 <選定者の魔眼>が使えれば楽なんだけどね。


「ま、そういうことなら、いい場所を教えますぜい! 数自体は200程度で十分なはずですし、丸太一本なら、50あれば十分だ」

「なるほど……でしたら、そこまで難しくなさそうですし、一日あれば集められそうですね」

「……普通は二日ちょっとかかると思うんだがなぁ。赤鬼がバランスブレイカー過ぎるぜい……」

「あ、あはは……リュンさんですから」


 もはやそれ以外の返答ができないんだけど……まあ、リュンさんだし。

 というか、戦闘メインじゃないプレイヤーにも浸透してるって、ほんとにリュンさんは……。

 まあ、おかげで、PKとかには狙われなさそうで、安心だけど。


「んじゃ、これが伐採場所の地図なんで、よろしくお願いするぜい!」

「はい。たしかに」

「作業自体は基礎作りからスタートなんで、明日から開始しやすが、木が必要になるのは基礎が終わってからなんで、そこまで急がなくても大丈夫でい」

「ふむふむ……とりあえずみんなの予定を確認してからになりますけど、集め終わった時にまた連絡します」

「おう! 了解でい!」


 ニカッと笑って頷いた木山さんに笑いつつ、僕は席を立つ。

 そして、受け付けにいたレニーさんにも軽く挨拶してから、ギルドホームを出た。

 さて、それじゃとりあえず……予定の確認からかな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お読みいただき、ありがとうございます!
スタプリ!―舞台の上のスタァライトプリンセス
新作連載中です!
気に入ってくれた方はブックマーク評価感想をいただけると嬉しいです
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ