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【コミックス3巻発売中!】採取はゲームの基本です!! ~採取道具でだって戦えます~  作者: 一色 遥
第1章 新しい世界と出会い

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25. ただそこにいる人

 落ちる、いや、落ちていく。

 暗く深い水の中にいるみたいに――少しの浮遊感を感じながらも、身体は落ちていく。


 ――ああ、これが


 落ちていく身体とは逆に、真っ暗だった意識は浮き上がるように明瞭に。


 ――生き返る感覚。


 耳に残る悲痛な叫び声。

 可愛らしい僕の友達の叫び声が、なんどもなんども、頭の中で響くみたいで。


 ――シルフ……。


◇


 気付いた時には、街の中央広場に1人で立っていた。

 そこは普段と変わらず多くの人が行き交い、遠くでは馬の鳴く声も上がっていた。


「そうか。僕は、死んだのか……」


 呟き、目を閉じれば、瞼の裏に残る最後の一瞬。

 動けなくなった僕の顔めがけ、鹿の足が迫り……HPは砕け散った。

 直前に響いたシルフの悲痛な声が、耳だけでなく心の奥に突き刺さる。


 そういえば、シルフは……?

 いつもならばすぐそばに浮かび、笑顔を見せてくれるシルフの姿はどこにもない。

 ステータスを見なくても、僕とシルフの繋がりが途絶えていないことは分かる。

 けれど、肝心のシルフは……?


(シルフ!? どこにいるの!?)

『アキ、さま……』


 普段はない妙なノイズに混じり、微かに聞こえたシルフの声。

 そして同時に走る奇妙な感覚。

 初めて会ったときに感じたものと、同じ感覚。


 その感覚に急き立てられるように、僕はその場を飛び出した。


◇


 僕とシルフが正式に契約を交わした薄暗い路地の先。

 たった数日しか経っていないのに、なぜかとても懐かしく感じるその場所――広場の中心に、彼女はいた。

 膝を抱え、微かに震えながら。


「……見つけた」

「ッ! アキ……さま……」


 僕の声に顔をあげ、実体化しながら飛び込んで来る。

 両手を広げてそれを受け止め……きれずに2人して地面へと転がった。

 いや、まさか空を駆けるように飛んでくるとは……。


「アキ様……アキ様!」

「し、シルフ! 落ち着いて……落ち着いて!」


 シルフの下敷きになるように落ちた僕を両手で抱きしめながら、その場にいることを確かめるように彼女は何度も僕の名前を呼ぶ。

 なんども、何度も……僕の言葉も聞こえないみたいに。

 仕方なく諦めて、落ち着くよう……安心させるように頭を撫で、背中を叩く。

 むしろそれ以外何もできない。


「目の前で消えて……パスも薄くて……っ!」

「うん、うん」

「このまま契約も消えてしまうんじゃないかって……。またひとりになるんだって……」

「……」

「嫌なんです……! こんなのは、もう……」

「……ごめん」


 吐き出すだけ吐き出して落ち着いてきたのか、少しずつ抱きしめる腕の強さが和らいできた。

 それでも僕はゆっくりと背中を叩く。

 ここにいるよ、大丈夫だよって、伝わるように。


「……アキ様」

「ん? なに?」

「もう、ひとりにしないで……おいていかないで、ください……」

「頑張るよ。だからシルフも、僕をひとりにしないでね」


 僕の答に彼女はゆっくりと顔をあげて、泣いてぐしゃぐしゃになってる顔でむりやり笑顔を作りながら「はい。アキ様……」と小さく呟いた。


2019/02/17 改稿

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