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236. 不思議な力

「ええぇ……むぐっ!?」

「静かにっ、静かにっすよ。アキさん」


 もがもがと、口元を抑えられて声にならない声を上げる僕を、スミスさんが必死に止める。

 さっきよりも抑えるのが早いってことは、スミスさん……僕が声を上げるって予想してたのかな?


「あ、あのサラマンダー? 本当に男性、です?」

「うん! 嘘は吐いてないよ」


 サラマンダーの返事に、聞いたシルフ自身、また驚いた表情を見せる。

 正直、彼……サラマンダーが男って聞いたら、かなりの人が驚いたりすると思う。

 というか、納得はまず難しいと思うんだよね。


「あの、シルフ……シルフは、女の子だよね?」

「アキ様!? 当たり前ですよ!」

「だ、だよね。うん」


 口元から手を外してもらえて、色んな意味でほっと息を吐く。

 そうして、もう一度まじまじとサラマンダーを見てみるも、やっぱり女の子にしか見えない……。


「う、うぐぐ……」

「アキさん、アキさん……。諦めてほしいっす。コイツはホントに男っすから……」

「確認したの……?」

「……したっす」


 少し虚ろな目で、スミスさんは首を縦に振って見せる。

 きっと、彼にとっても衝撃的な出来事だったんだろうなぁ……。

 想像するだけでも難しいのに、それが現実になって襲ってくるって、中々無い経験だと思うし。


「と、とりあえずサラの性別については置いておくっす。そんなこんなで、俺はこいつと契約してるってことが伝われば、ひとまずはOKっすよ」

「あ、うん。それはわかったよ。話してくれてありがとうね」

「いえいえ、こっちこそお伝えするのが遅くなって申し訳なかったっす」


 このまま脱線し続けるわけにもいかないと、スミスさんが大きく手を振りながら話を戻してくれる。

 だから僕もそれに乗るように、サラマンダーの姿を視界からそっと外した。

 見てたらそっちに気を取られそうだし。


 そういえば、スミスさんが契約したのは、確か……僕と会う少し前って言ってたっけ?

 確か僕の前で鍛冶技術を見せてくれた時に、シルフが何か言ってたような……。

 えーっと、なんだったっけ?


「シルフ。スミスさんの作業を見た時に、何か言ってなかったっけ?」

「ん? そーなんすか?」

「うん、確か。シルフ覚えてる?」


 僕の言葉に、スミスさんが反応して声を上げる。

 でも、話を振られたシルフは特に声も出さず、困惑したような顔で首を傾げていた。


「私がスミス様になにか……?」

「いや、えっと……スミスさんに何かを言ったっていう感じじゃなくて……。そうそう、不思議な感じがするって言ってたような気がする」

「不思議な……あぁ、確かに。作業風景を見ていて、なにか不思議な力のような……そんなものを感じた覚えはあります」

「多分、サラとの契約で手に入った力のことっすかね?」

「力? なにそれ?」


 要領を得ない僕に、スミスさんが教えてくれたのは、契約した後から不思議と炉の中の温度がわかるようになった事。

 火の調整はサラマンダーがやってくれてるみたいだけど、鉄の温度や炉内部の温度に関してはサラマンダーは手を出してないみたい。

 スミスさんが言うには、多分称号の力じゃないのかなってことみたいだけど。


「称号って……僕も持ってるけど、この風の加護ってやつ?」

「そうっすそうっす。俺にも火の加護ってのがあるんすけど、たぶんそれじゃ無いかなと」

「でも、そんな特別な何かって感じたこと……」


 ――あ、あった。


「……もしかして、シンシさんとの戦いの時に、風の中動けたのって」

「そういえばあの時、暴風の中シンシさんはフラフラだったっすけど、アキさんは動けてたっすね。そうなんじゃないっすか?」

「シルフも手助けしてないって言ってたから不思議だったんだよね。なるほど、称号にそんな効果が……」

「まだあくまでも可能性っすけどね。称号じゃなくて、契約したことによる力かもしれないっすから」


 スミスさんのまとめに「そうだね」と返しながらも、僕の中では不思議と、称号の力っていうのが正解な気がしていた。

 でも、風を読む力、か。

 どこで使えるんだろう……?

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