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234. 分散

あけましておめでとうございます!

2019年も当作品をよろしくお願い致します!

「皆、よく集まってくれた。そろそろ出発予定の時間になるが、準備の方は十分だろうか? 外は暗闇になる、準備不足がパーティー瓦解の原因になる可能性もある。十分と思わず、確認を怠らないようにしてくれ」


 机か、木箱かはわからないけれど、何かの上に乗るようにして一段高い場所からアルさんがそう、大きな声を発した。

 その言葉を受け取って、僕たちだけでなく周りに集まっていた他プレイヤーも、一度虚空へと視線を飛ばす。

 やっていることは同じ、インベントリの確認だ。


「どうだ、行けるか?」


 少しだけ間を置いて、アルさんの声が響く。

 その声にみんな頷いたり、「行けるぞ!」と声を上げたり……。


 アルさんはそれに対して満足そうに頷き、息を吸い込んだ。


「目標は土の神殿! 行くぞ!」

「――――!!」


 アルさんの声に呼応するように、各々が声を上げる。

 人数にして20名ほど――たったそれだけの声なのに、瞬間、地面が揺れたようにも感じられた。


「す、すご……」

「さぁアキさん、私たち続いて行きましょう!」

「うん。みんな、暗いので足下や隊列を意識してついてきてください!」


 補給パーティーである僕たちは、大規模(レイド)パーティーの隊列としては、真ん中の辺りになる。

 これは勿論、戦いになった際に守りやすいという意味もあるが、それに加えて、前にも後ろにもサポートに行きやすいという利点もあるからだとか。


 ちなみに、アルさんのパーティーは最前。

 メンバーはいつものメンバーに、トーマ君を加えたパーティーのようだ。


「土の神殿までは、直線距離だと2時間くらいの距離だけど……夜なことも考えると、もう少しかかる可能性が高いかな」


 そう思っていた僕の予想は的中して、僕らが土の神殿にたどり着いた頃には、出発してからすでに3時間が経過していた。



 封印はアルさん達が事前に解いておいたらしく、神殿の中へと入った僕らは、その内部の広さに驚くこととなった。

 というか、これ……大きすぎない?


「アキさん、アルさんが呼んでますよ。なんでも、会議だそうです」

「わかりました」


 大きさに圧倒されていた僕は、レニーさんにそう言われ、気を引き締めつつアルさん達の方へと向かう。

 多分、内部が思っていたよりも広いから、手分けでもーって話だと思うんだけど。


「みんな、集まってくれてありがとう。それで早速だが、相談したいことがある。トーマ」

「はいよ。とりあえずざっと確認はしてきたが、どうやらこの先が天然の迷路みたいになっとる。仮にここを部屋と見立てたとして、この部屋からでも、3つの穴が開いとった。面倒なことに、それぞれにどうも奥があるみたいや」

「聞いたな? そこで、危険かもしれないが戦力を分散し、同時に探索を行おうかと思う。だが5パーティーの内、1つは補給パーティーだ。そのため、補給パーティーは探索に加わらず、ここを拠点に、サポートの形を取って貰おうと思う」


 つまり、僕らを除く4つのパーティーを分散させて、それぞれで1つずつ穴の先を確認する方針らしい。

 確かにそれなら、みんなで回るよりは時間は掛からないだろうけど……危険じゃない?


「僕――補給側としては構わないですが、探索をされる方は危険では……?」

「そこは心配要らないだろう。どのパーティーも信頼が置ける戦力を有している」


 僕の疑問に対して発したアルさんの言葉に、他パーティーのリーダー達は一斉に頷く。

 なんだか、さっきよりもやる気に満ちてるような……。

 もしかすると、発破を掛けられたみたいになったのかもしれない?


「それで、ひとつ相談だが……1つのパーティーには、ここに残って貰おうかと思っている。補給パーティーを守るためと、いざと言うときに、穴の奥へと突入し、他パーティーの救援に向かう為だ」

「ただ、その役目ってのは、何も起きんかったら無駄時間になるってことでもある。やから、もしそれでもええってところがありゃ、助かるんやけど……」


 アルさんの言葉を引き継いで、トーマ君がそう僕らに尋ねる。

 トーマ君らしくない、伺うような声色で告げられた言葉に対し、反応はまったくない。

 やっぱりみんな、ランキングの為に来てるってことなんだろうなぁ……。


「まぁ、せやろなぁ……」

「それなら仕方ない。予定通り、俺たちが残ろう」


 すでに話をしてあったんだろう。

 アルさんのその言葉に、トーマ君も「しゃーない」と頷いた。


「では、各パーティーで準備ができ次第、探索に向かって欲しい。ギミックや扉など、何か発見した際は、すぐに連絡を飛ばしてもらえるよう、お願いする」


 それぞれのパーティーへ向かう先を指定した後、アルさんはそう言って頭を下げた。

 その言葉を皮切りに、僕やトーマ君、アルさんを除く他リーダーさんは席を立ち、それぞれのパーティーの場所へと帰っていった。

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スタプリ!―舞台の上のスタァライトプリンセス
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