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165. 大きいのが良い?

 ウッディーマウンテン……もとい、木山と名乗った男性は、見るからになにかの作業員だった。

 昔の大工さんみたいな、黒く短い角刈りの頭。

 ほどよく日焼けした顔や、僕の2~3倍の太さはありそうな腕や足。

 そして、極めつけの少し汚れた青一色の作業服……。


 大工かどうかはわかんないけど、確実になにかの作業員……。

 いやまぁ、本人が大工って言ってるし、大工なんだろうけど。

 ここまで徹底した服装や見た目ってことは、かなり本気の生産プレイヤーかな?

 結構厳しそうにも見えるし……気を付けた方がいいかも。


「え、えーっと……ウッディーマウンテンさん?」

「木山でいいぜ、アキさん! 他のやつらは棟梁とか呼ぶが、アキさんには木山って呼んでもらいてぇ!」

「あ、はい」


 違う……この人、そんなに厳しそうな感じじゃない……。

 だって、顔を赤らめながら「名前で呼んでもらいたい」とか。


「アキ。この人、変」

「それは言ったらダメ」

「ぐぅ! そっちにも可愛らしい方が! 美少女2人と話せるなんて、俺はここで死ぬのか……!」

「……変な人」

「そうだね……」


 僕とラミナさんの間で、視線をいったり来たり……。

 挙げ句の果てには、地面に膝をつけてうなだれてる……。


「あ、あの……」

「しかし! ここで、朽ち果てようとも! 本望なり!」

「ひっ!?」


 うなだれてる彼に声をかけようとした瞬間、唐突に頭が上を向く。

 そして、その気迫のこもった声に1歩後ずさりつつ、ラミナさんを僕の後ろへと隠した。


「いいかげんに……しろっ!」

「――ッ!?」


 僕と彼の間に生まれた一瞬の空白……。

 そのタイミングを見計らったかのように、手刀が彼の頭めがけて、まっすぐ落とされた。

 ……僕が木槌で叩くのに似た、結構痛そうな音がしたけど。


「アキさん達が、怖がってるでしょ! そんなんだから、依頼が来ないんでしょうが!」

「れ、レニー……。容赦が、ないな……」

「これでも手加減はしてる方よ!」


 緑色の髪の女性――レニーさんは、僕らよりも大きい胸を張って、ため息を吐いた。

 というか、レニーさんって、普段は服でそんなにわからないけど、結構大き……。


「アキ?」


 そんなことを考えていると、僕の真後ろからラミナさんの声がかかる。

 いや、その……僕も一応、男の子ですし。

 大きいのは目がつい行ってしまうというか。


「アキ、大きいのが良い?」

「え!? いや、その……」

「大丈夫。まだ成長期、大きくなる」

「……そうですね」


 ならないけどね!

 むしろ、なったら困るけどね!


「アキさんはそのままでも、十分可愛いですよ」

「あはは……ありがとうございます?」


 レニーさんに妙なフォローを入れられ、乾いた笑いを漏らす。

 悔しいとかそういうのは全然無い、いやあるわけが無い!

 それにほら、ラミナさんだってそんなに……。


「……アキ?」

「な、なななんでもないです!」

「そう」


 この話題はやめよう。

 いろんな意味で、誰も得しない話だ……。

 そう思って、気持ちを切り替えるために、一度大きく深呼吸する。

 ……よし!


「話を戻しましょう。木山さんが、拠点の施設設営担当ということですよね?」

「おう、その通りだ! と言っても、今はまだ測量と設計の段階だがな」

「測量と設計……?」


 いや、測ったり図面を引いたりはわかるんだけど……。

 僕とは全然違う分野だから、どんな段階の話なのかがわからない。

 多分、まだまだ最初ってことだと思うんだけど。


「測量ってのは、測ることだ。拠点って言っても、整地もしてない場所だからな。拠点内でも、多少の高低差がある。それを確認して、図面に落としてるってことだ」

「へ、へぇ……?」

「まぁ、現実に比べると測量器具も無いんで、<測量>スキルで確認してるんだがな!」


 そ、そんなスキルもあるんだ……。

 習得方法が全く検討つかないけど。


「そんなに工期は取れないんで、今日明日には図面まで全部引く予定だ」

「なるほど……。僕の方は、そういったスキルがなかったので、ひとまず同盟のメンバーに設計をお願いして、僕は森に木を伐りに行ってました」

「ほぅ。良かったらその木、貰えたりは……」

「そうですね。拠点設営に使うなら、良いですよ」


 それ以外の目的があるのかわかんないけど、さっきまでの木山さんを見てると……なんだか裏がありそうだよね……。

 ご神体として奉りますみたいな。


「記念として一本打ち立てるのは……」

「なんの記念ですか!?」

「そりゃあ、アキさんの拠点ここにあり! って感じの」

「僕の拠点じゃないですよね!?」

「……へへっ」


 この人に任せて、ホントに大丈夫かなぁ……。

 でも、リーダーを任されるってことだし、腕は確かなんだろうけど……。


 そんな不安を抱えながらも、僕は木山さんへ木板を譲渡した。

 

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