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154. 振り方と、距離

「いいですか? まず、何事においても根がしっかりしていることが条件です」

「ふむふむ」

「人体で言えば、下半身のことですね。威力を出そうとするあまり、腕……つまり、上半身の力だけで行動してしまってはダメなのです」


 僕は樹に、ハスタさんは虚空に向かって、各々の武器を構える。

 下半身……下半身に力を……。


「あぁ、アキさん。ダメです。下半身に力を込めることも違います」

「あ、あれ?」

「力を込めるのではなく、まずは前後に肩幅くらいの幅で足を開きましょう」


 言われたままに、ゆっくりと足を開く。

 樹の幹に刃が当たる位置で……横に立つ感じかなぁ。

 ハスタさんも、自然な感じで槍を持ってるけど、重心が安定してる……?


「そして、打ち込むときは足ではなく、腰や肩、肘などの関節を意識しましょう」

「――はぁっ!」


 ゴッと音がして、刃が幹に食い込んだ。

 心なしか、少しだけ音が大きくなったような気がする……?

 そんな僕の後ろで鋭く風を斬る音が聞こえ、斧を抜きつつ振り向くと、ハスタさんが槍を突き刺した姿勢で静止していた。


「ほぅ……。ハスタさんは筋が良いですね。槍の矛先までしっかりと力が伝達されています」

「あ、ホント!? やったー!」

「しかし力は伝わっていますが、体の左右でバランスがまだ悪いですね」

「ぐぅ……」

「構えで左足を前に出すのであれば、溜めで右足を軸にして、右手を前に出すタイミングで、左手を後ろに引きましょう。左肩と右肩がまっすぐに前後するようにすれば、リーチも威力も上がるはずです」

「はーい!」


 ハスタさんの槍は、身の丈と同じくらいの長さの槍だ。

 基本的には両手で持って、両手で突いてるみたいだけど、ここぞと言うときに片手で突けたら、きっと戦闘の幅も広がる。

 もちろんそのためには、何度も槍を片手で突いて、体を鍛えなきゃいけない。

 そう言った要素も、このゲームにはあるんだから。


「あの、オリオンさん」

「はい、なんでしょう?」

「……僕は?」

「アキさんはまず、斧の扱い方を覚えましょう」

「うぐ……」


 まさかの、そこから……。

 い、いやだって、今日初めて使ったし、知らないもんね!

 仕方ないよね……!


「斧は、腕で振るう武器ではありません。そもそも、刃が付いている武器ではあるものの、切るというよりも、叩き折るが近い武器になります」

「ふむふむ」

「そのため、刃が当たる部分に対しまっすぐ力を加えなければ、その真価を発揮することができません」


 んー……つまり、刃が当たった部分から亀裂が起きて、叩き折る、叩き切る感じになるのかな?

 だから、まずその当たる一点にまっすぐ力を入れることができれば、一発で叩き折ったりも可能ってことかなぁ……。

 でも、それってどうやって……?


「槍のように、矛先が尖っていて分かりやすい武器ではないため、まずは振り方と距離を覚えましょう」

「振り方と、距離?」

「ええ、そうです。まず片手斧、両手斧共に、構えは一緒です。左足を前に前後へ、肩幅より少し広く足を開きましょう。この時、左足は前方12時方向、右足は少し傾けて2時方向が良いですね。そして、両手で斧を持ち、左手が右の腰あたりに来るように、刃を前方を向けて斜め下方向へ垂らしましょう」

「こ、こう?」

「そうですね。振るうときは、右足に体重をかけつつ、左肩を前に出すように、体を捻って斧をお腹の横へ持ち上げる。そして、左足に体重を移動させながら、左右の手を打面に平行になるように叩き込む」

「――ッ!」


 ガツッと刃の端があたり、変に樹へと刺さる。

 うん、これは距離感を間違えたかも……。


「振り方は大体あってますね。もう少し樹に近づいてみましょうか」

「あ、はーい」


 少しだけ樹に近づいて、2度目のチャレンジ!

 えーっと、足を開いて……左手をおいて……。


「コツは力を抜くことです。もちろん斧を掴んでる手からは力を抜かないようにしてくださいね。飛んでしまうので」

「は、はい!」


 落ち着かせるために、少しだけ深呼吸して……。

 ……よし!


「いざっ!」


 そう、気合いをいれて、僕は樹の幹目指して、斧を叩きつけた。


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