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147. 不満とか

遅れてしまい申し訳ございません。

147話、よろしくお願いします。

 見送られるようにして出た作業場を後にしながら、のんびり拠点の中を見てまわる。

 拠点自体は、そこまで大きくなく、30分もあれば全て見てまわれそうだ。


「んー、確かにまだ全然揃ってない感じがするね」


 誰に言ったわけでもなく、ただ自分で確認するように言葉を出す。

 作業場はあるけれど……例えばお薬を作っても、渡す場所が仕切られてなかったり、調査から帰ってきた人が休む場所や、アイテムを仕分けたりする場所もない。

 ホントに最低限、雨風をしのげる程度って感じ。


「となると、急ピッチで揃えておきたいのは……」


 やっぱり、調査から帰ってきた人が休める場所、だろうか?

 僕たち拠点組は、いざとなったら幌で露店を開くこともできるけど……。

 調査から帰ってきたのに、休めないってなるのはさすがに悪いし……。

 その後に、アイテムを仕分ける場所と、補給のためのお店とかかな。

 あ、休める場所なら少し軽食が食べれるとか……疲れたら甘いものって言うし?


「でもまぁ、僕は作れないからお願いすることになっちゃうし、みんなと話し合ってから、かなぁ……」

「そうなの……?」

「うん。一応道具にノミとか木槌持ってるけど、やったことはないからね」

「でも、早い方がいい」

「やっぱり? 不満とか出てるのかな?」

「少しだけ、だけど……」


 やっぱり出てるんだね……。

 まぁ、生産側としては生産用の道具とか設備を揃えたいけど、調査とかをメインでしてる人にはわかんないしね……。


「アキは、なにしてるの?」

「ん? 僕は、今拠点の中を確認してるんだ。昨日は早くに落ちちゃって、見れてなかったからね」

「そう」

「……普通に話してるけど、ラミナさんは何してるの?」


 問いかけつつ、声のしていた方へ顔を向ければ、予想通りの無表情。

 剣と盾はしまった状態のラミナさんがそこにいた。


「帰ってきたところ。調査」

「あ、そうなんだ。どうだった?」

「亀がいた」

「亀……?」

「すごく硬かった」

「あー……」


 甲羅が硬かったってことなんだろうけど、守りに入られちゃったら大変そうだなぁ……。

 魔法なんかも通さないのかなぁ……。


「姉さんが、甲羅の中に突き刺してた」

「うわぁ……」


 まぁ、槍だし仕方ないんだけど……えげつない……。

 亀も驚いただろうなぁ……。


「あれ? ハスタさんは? 一緒じゃないの?」

「姉さん、あそこ。疲れたって」

「あそこ?」


 「そう」と、ラミナさんが指差した方を見てみれば、日差し避けの幌の下、簡易的に作られたベンチの上で項垂れてる赤い髪が見えた。

 槍をしまうのも面倒なのか、垂らした右手に持ったまま、ピクりとも動かない……。

 あれ、大丈夫なの……?


「あの、ハスタさん……。生きてる……?」

「HPあるから、大丈夫」

「うん、そうじゃなくてね?」

「……?」


 よくわからない、と言わんばかりに彼女は首を傾げる。

 無表情じゃなかったら、可愛い仕草なんだろうけど……無表情だから……。

 まぁ、ハスタさんのことは、ラミナさんの方がよく知ってるよね。


「ラミナさんは休まなくていいの?」

「大丈夫。元々、そんなに遠くに行ってない」

「そっか。無理はしないようにね」


 返事の代わりに小さく頷きつつ、歩き始めた僕の隣を一緒に歩く。

 ハスタさんを一人にしちゃっても大丈夫なのかな?

 槍を持ってるっていっても、放心してるみたいだし……無防備な気がするんだけど……。


「僕はそろそろ行くところあるから、行くんだけど……」

「そう」

「その、ハスタさんは……」

「大丈夫。姉さん、強い」


 表情を変えないまま、彼女は僕の言葉を遮るように、そう断言する。

 顔も声量もいつもと変わらないのに、なんだかすごく、ハスタさんへの信頼が感じられる気がする。


「アキは、どこいくの?」

「ん? 僕はこれから会議だよ。生産プレイヤーのね」

「そう」


 僕の答えに、彼女は興味も無さそうに言葉だけ返す。

 けれど、僕の隣から離れるわけでもなく、変わらずゆっくりとついてきていた。


「その、ついてくるのは構わないけど……。つまらないと思うよ?」

「大丈夫」

「ラミナさんがいいならいいけど……」


 とりあえず、あと10分ほどで時間になるし、戻らないと……。

 でも、ラミナさんのこと……どうやって説明しようかなぁ……。


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