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120. すごい広い島……とか?

「でも、参加者全員で開拓イベントなんですかねぇ……」


 持って行くアイテムを相談している最中、スミスさんがそんなことを呟いた。


「ん? そうなんじゃないの?」

「いやー、アキさんも考えてみてくださいよ。この<Life Game>って、すごいプレイヤーの数いるじゃないですか。そりゃあ、全員参加するわけじゃないでしょうけど……半分も参加したら、開拓なんて一気に終わりそうじゃないですか?」

「んー……、言われてみれば確かにそうかも……」


 それこそ島ってことだから、大人数で一気にやればすぐ終わってしまいそうな気がするし……。

 もしかすると……すごい広い島……とか?


「……多分それは、エリアが分かれるんじゃないか?」

「ん?」

「せやなぁ……。やないとパーティーやら同盟やらを組ます意味も分からんし」


 僕とスミスさんの話を聞いていたのか、横からアルさん達が会話に入ってきた。

 2人は自分自身が持ち込むアイテムは早々に決まったらしく、今は他の人と相談しながら、代わりに持つアイテムを話し合っていたはず……。

 でも、エリアを分けるって……?


「んー? どういうこと?」

「そうだな……。イベント参加者はみんな、『同じ島』なんだが『同じ島』じゃないというか……?」

「……?」


 何を言っているのか、よくわからない……。

 あれかな……謎かけみたいな……?


「あぁ、その……」

「なんや、同じ作りの別の家みたいな感じやと思えばええわ。イベント開始と同時にそれぞれ振り分けられる感じのな?」

「え、うん……それでいいなら」


 首を傾げながらも一応納得した僕へ、トーマ君は軽く頷いて席を立つ。

 どうやら、スミスさんのアイテム選びを手伝うみたいだ。


「あー、そのなんだ……。アキさんは知らないかもしれないが、一応そんなシステムが昔からあるんだ」


 トーマ君に説明を奪われたアルさんが、苦笑いをしながらもそんなフォローをしてくれる。

 アルさんが知ってて僕が知らないって言うのは、年齢的にも分かるけど……。

 なんでトーマ君が知ってるのか……。

 やっぱり昔から、VRじゃないネットゲームでもしてたんだろうか……?


「つまり、今回のイベントはそれになる……と?」

「多分、だがな……。その可能性は高いだろう。それならパーティーや同盟を組む理由も分からなくはない」

「あ、そう言われたらそうですね……」

「それとは別に、振り分け人数が何人かはわからないが、別のパーティーと一緒になる可能性もあるぞ」


 アルさんの説明に対して、なるほどー……と納得して頷いていた僕に、彼はそんな爆弾を落としてくる。

 それって、戦闘メインの人ばっかりだったら、僕らすごい大変なんじゃ……。

 それに、始めたばかりの人がたくさんいたら……!


「……いっぱいお薬を作れるようにしとかないと……!」

「まぁ、気負い過ぎないようにな」

「せやで。調薬できんのは、たぶんアキ以外にもおるやろしな」


 気合いを入れた僕に、2人はそう言いつつ苦笑いを見せる。

 というか、トーマ君はいつからこっちの話を聞いてたの!?

 さっきまで、スミスさんと相談してたよね!?

 そんなことに驚きつつも同時に……アルさんはともかく、ほとんど年の変わらないトーマ君に諭されたのが少し悔しくて――


「じゃあ、おふたりには作らなくて大丈夫ですねー。せーっかく飲みやすいポーションも作れるようにって、持ち込むアイテム考えてたんですけどねー」


 なんて、わざとらしく言ってしまう。

 それには2人も驚いたみたいで、すぐさま慌てた様子で口を開いた。


「え、ちょまっ!」

「アキさん、それはちょっと困るぞっ!?」

「えー」


 そんな風に渋る僕に2人はホントに慌てたらしく、「頼む!」と必死の形相で両手を合わせる。

 それが妙におかしくて、僕は『渋っている』顔が維持できず、つい吹き出してしまった。


「……ぷっ。ふふ……、2人とも大丈夫です、ちゃんと作りますから」

「ほ、本当か?」

「ええ、本当です……ふふ」

「……っはー、嫌な汗かいたわ……」


 声を抑えて笑う僕に安心したのか、2人は拝む姿勢をやめて脱力したように椅子に座る。

 その姿を見て笑い出したジンさんに、僕だけでなく、今まで傍観していた他のみんなもつられて笑いだした。


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