十三
祭を成功させるには、手段も選ばない。
この辺鄙な土地に住む者にとって、飢饉を逃れるのは、祭にすがるほど大事なものであることを意味している。
神主たちが、山から戻ってきたその日に、巫女の捜索が開始された。
山に入れるのが、子どもだけであるという掟のもと、山村で働いている、七つから十四までの子どもたちが朝早く、山道の前に集められた。
名無し子を含めた総勢二十ほどの子どもたちが、不安そうな顔をして、案内人の後ろに並んでいる。
集まっていた農民たちも、不安な心持ちを押し込めて、面識の殆どないような子どもたちの頭を撫で、安心させるように笑っている。
時は一刻を争う、集まったことを確認すると、案内人は山道へ入っていく。
それに続いて、子どもたちも歩きだした。
薄暗い森のなか、獣の出そうな雰囲気に、年の小さい子どもが泣き出して他の子に慰められていたり、名無し子に普段ちょっかいをかけてくる年上の悪がき共も、落ち着かない様子で歩を進めていた。
名無し子は、初めての巫女探しに少しどぎまぎしていたものの、いざ、山へ入ると、思ったよりも自身が落ち着いていることに違和感を感じていた。
長い時間歩くと、しめ縄のかかるところに到着した。
先程よりも、暗さが増している。
案内人は、巫女を見つけたら食べ物を食べさせ、ここに連れて来ること、日没にここへ戻って来ないと置き去りにすることを伝え、各自に食糧と水を渡し、しめ縄を通過しないよう注意して、子どもたちを送り出す。
渡された者から順に、しめ縄の横にある木の間にある小さい隙間から中へ入っていく。
名無し子は森へ入ると、辺りをぐるりと見回し、山の頂上を目指して歩き出した。
しばらく歩いていると、鬱蒼とした森が切り開かれ、神社が建てられていた。
中を覗いても、人気はない。
境内に錠前が掛かっていないことを確認して、少し中で休憩すると、再び頂上を目指し、歩き出した。
木陰から日光が一直線にのびて、暗い山の中を明るくする。
時刻は昼頃だろうか、辺りが暖かくなってきていたが、やがて空に暗い陰が多くなってきた。
名無し子は、小雨が降る中で捜索し続けた。
頂上近辺に行くころ、雨は強まる一方で、一向に巫女の手がかりが見つからない。
名無し子が天候のことも考慮し、雨宿りできる所を探すことにしたその時だった。




