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神ノ山 萌黄   作者: 青空
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お初にお目にかかります。


青空と申します。


この度、lineplayにて連載していた作品をこちらにあげることにしました。


初めて執筆した作品なので、拙い文章ですが、どうぞお楽しみ下さい。

その昔、鬱蒼とした山の麓に、小さな集落があった。

大きな山の陰に隠れ、時代の移ろいと共に、人々に忘れ去られてしまったようなところであった。


そのような村であれども、村の長の邸宅 ━━ 山村邸は、周りのそれと比べられないくらい大きかったが、村に住む者たちは決して反抗することはなかった。

というのも、この山村一族が代々神事を行い、村で最も畏れられていた山の怒りを鎮めてきていたとされているからであった。

山の存在は人々にとって畏れ、尊ぶべきものとして、あり続けた。

それはまるで、人々がこの世に生を受け、田畑を耕し、子を成して死に逝くことのように、当たり前なことであった。

山村家頭首、村長である山村 重一はその位を継承し二十年が経っていたが、その人当たりの良さで、民からの信頼も厚かった。


山村邸には、家を追われ仕事のない男や、早々に伴侶を亡くし、日々飢えをしのんでいた女を雇い、身寄りのない子ども等の引き取り手を探したり、働かせていた。


この出来事が、より一層、民の信頼を厚くさせていった。


その身寄りのない子の内に声の出せない子がいた。

大抵の子どもは、元々親がいるか、山村邸の前におかれていたりして、狭い村の中、子どもの境遇は知れていることが多いのだが、この子は意識を朦朧とさせながら、禁忌である山の中腹のしめ縄のあたりを歩いていた。

村の民に聞いても全く情報が集まらない。

山の妖ではないかという疑念もあったが、神事を行う山村が山のモノを邪険に扱うわけにもいかずに、引き取り手もいないまま、山村邸で引き取られることとなった。

名前を付けるべきであったのだろうが、山のモノである可能性をもつ子に名前が付けられることはなかった。


人々は、子を名無し子と呼んだ。

そうして、名無し子が山村邸で働き始めて約五年が経った。名無し子、推定十になる年の初夏であった。

畏れる対象は人各々です。

美しい自然の世界は、時として残酷に人々に襲いかかります。

存在に絶対はない。

どのような姿であっても、そこにあり続ける自然に、古来より人は心奪われてきました。


自然はただ単に美しいだけではなく、人が引き寄せられる何かを持っているようです。


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