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インタールード

 薄暗い部屋、カーテンの隙間から入り込む光がわずかに明度を保っている。飯田恵は長い髪で顔を隠し、ベッドの上で膝を抱えていた。

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」

 うなされるように繰り返されるその言葉は懺悔。

 昨夜、恵は5人の男を殺した。暗がりに恵を連れ込む時の男たちの下卑た顔、そして、仲間を殺され、逃げ出そうとする男たちの脅えた顔。脳に焼き付いて離れなかった。

 昨夜から一睡もしていない。恵は贖罪の言葉を呟き続けながら血走った目で扉を凝視していた。

 そして、扉は開かれた。

「え?」

 狭い部屋に入ってきたのは、中世騎士風の鎧を着た異様な集団だった。血塗られた剣を抜刀し、盾と鎧には金縁で赤い十字架が描かれている。


 恵はこの集団に希望を見た。

 恵の求めていたのは贖罪に対する許し。この集団の容姿は、無宗教な恵にもわかりやすい神の使いだった。


 しかし、恵の希望は一瞬で砕かれる。騎士のひとりが恵に斬りかかったのだ。

 恵に斬りかかった騎士は轟音と共に壁に叩きつけられ、絶命する。

「え?なんで、なんで?」

 恵の長い髪がさわさわと揺れた。騎士たちは恵に近づき、一気に斬りこんだ。

 騎士のひとりは無数の黒い針に身体を貫かれ、ひとりは針が首に巻きつき、そのまま上に吊られて頚椎を折られた。

「いや、やめて……、許して」

「無理だな」

 怯える恵に答えた声の主は、扉の外にいた。プラチナの鎧に身を包んだ、若い男だった。金髪を眉上で切りそろえ、青い瞳を恵に向けている。

 男は、剣を恵に向け、不敵な笑みを浮かべる口で、宣告した。

「君たち、ストゥレーガは人類社会の害虫だ。存在自体が悪であり罪深い。君たちは、神でも救えぬ」

 若い男は一歩恵に近づいた。

「マニゴルドのデュナミス、マービン・クルード。君を滅する者の名だ」

 若い男、マービンはそう言うと、恵に斬りかかった。


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