とある朝の日常
昨晩は失礼をばしました。作者急病でした。さらに今回は短くて申し訳ないです。どうかご容赦を。
「今日はいいお天気だね~。よし、BBQをしよう!」
岡地先輩がそんなことを言い出したのは、珍しく朝食に全員が顔を揃えた5月の最終土曜日のことだった。
俺たちは同じ寮で生活しているが案外食事はばらばらだったりする。
渋谷先輩は部活の朝錬があるし岡地先輩は遅刻の常習だ。夜は夜で帰りは別々だし、俺なども外で済ますことが少なくない。
最初俺たちは当然のように岡地先輩を無視した。岡地先輩の奇矯は今に始まったことではない。
「ちょっとお、聞いてよお!」
「留美、いきなりなによ。桜はもう散ったでしょう?」
「だって、もうすぐ梅雨になっちゃうでしょ?だからやるんなら今日しかないんだよ!」
岡地先輩は手を上下に振って力説する。
俺は隣にいる恵比寿に聞いた。
「なあ、恵比寿。BBQってなんだ?」
「あんたそんなことも知らないの? バーベキューのことよ」
「??なんで略するんだ?」
「BBQなら3文字で済むでしょ?」
「???それを話し言葉で使う必要があるのか?」
「そんなの知らないわよ!」
「ほらそこ! 喋らない!」
岡地先輩に指差されて俺たちは黙る。
「ねえ、くーちゃ~ん、しようよお。お小遣いももらったことだしい」
お小遣いとは俺たちが黒金の活動をすることによって毎月支給される生活費だ。大半は学費や進学費の積み立てに貯金させられるが、それでもアルバイトをする必要がない程度は手元に残る。
今月のようにマニゴルドと揉めたときや飯田恵の件があったときには危険手当が出るのでけっこうな実入りがあったりする。
「そうね。みんな、今日の予定は?」
「俺はテニス部があるからパスだな」
「うっさいホモ。休め!」
……岡地先輩、それは言い過ぎでは?
「他は?」
「まあ、別に予定はないですけど」
「私も」
概ねみんな予定はないようだった。やるといっても昼時の2、3時間だ。渋谷先輩も昼飯を食うだけならということで全員の参加が決まる。
「よっし!それじゃあ放課後は河辺公園に集合ね!」
こうして岡地先輩のやたら高いテンションに引きずられる形で、俺たちのBBQは決定した。