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教えてくれ
門脇に俺から話しかけるとか久しぶりすぎて、門脇の席までの道のりがこの上なく長く感じた。
クラスメートに声かけられても耳に入らない。
「か…。」
「麻琴トイレ行こ。」
「うん。」
トイレに負けた。
教室の入り口で待ち伏せすることにした。
…来た。今度こそ!
「門脇ぃ!!」
やべぇ。声がうわずった。笑われてるし。
「山田行こ。」
門脇は笑ってなかった。嬉しい。
「山田から声かけてくれるなんて雪が降るんじゃない?」
笑顔なのに泣きそうで俺は階段で門脇を抱きしめた。
「冬だから雪は降るじゃねーか。」
「…ん。」
「何かあったのか?」
ビクッと反応した門脇。
「あのね。恥ずかしくなったの。」
何だこの可愛い生物。
「恥ずかしい?」
「だって山田私の事好きでしょ?」
顔を見たくなって、少し身体をはなした。“女”な門脇に目を奪われた。
「あぁ。好きだよ。」
ここから俺の
恋の物語が始まった。
【END】