プレーリードック
今回の主人公は、手強いです(笑)。脱力系ダンシと言うタイトルに近くなるよう精一杯書きます。
「好きだよ!」
「…ハイ?」
いきなり突拍子もない告白から始まってしまったが、俺、山田シュウは無言でその場を後にした。
まず今の展開を振り返ってみよう。
俺はサボっていた。適当に先公に見つからないような場所を見つけ、ソコでサボるのが日課。今日は、イイ所に段ボールの山がありその後ろに隠れた。
段ボールが背もたれになって丁度いい。
「こら!またサボって!しかも、その腰パンあり得ないって言ってんでしょ?」
世話やきババァが出た。クラスの俺を除く皆から信頼されてる女。サバサバしてて、男っぽい。髪はショートでスタイルは華奢?
「プレーリードック。」
「早く行くわよ。」
「お前プレーリードックに似てるよな。チンチンしてみろよ。」
殴られた。
「いってぇ。サボってるヤツ他にもいんだろ?椎原とか福井とか綾部とかさ。」
「今はあんただけなの!」
「腰パン他の奴もやってるだろ?会うたび会うたび俺にだけ言ってさ。パンツの柄が可愛いからって嫉妬すんなよな。」
チャイムが鳴った。
「嫉妬はしないわよ。」
「じゃあ、俺が好きとか?」
と言う答えに「好きだよ!」と返ってきたわけだ。
門脇が俺を好きとかあり得ねぇ。それ以前に女とかめんどいし。俺より強いし。
俺は逃げた。
授業の途中に教室に戻り、先公から喜ばれた。門脇はまだいない。ほっとする俺。
「スイマセン!遅れちゃいましたぁ!」
「門脇ー、お前が授業に遅れるなんて珍しいな。」
チラ見すると、門脇の目がほんのり赤い。泣いたのかよ。そんなに俺のこと…。まさかな。
結局授業中爆睡した俺。隣の席の行正に聞く所によると俺のよだれが半端なかったらしい。
「シュウ…お前女子の目も気にしろよなぁ。」
「気になんねぇ気にならねぇ気にしねぇ。」
「もうちょいピシっとしてみ?モテるべ?」
横から佑樹がそんな事をほざいた。行正は優等生タイプで女子にチヤホヤされる。佑樹はスポーツマンタイプで女子と仲がいい。
俺は興味ない。誤解される前に言うが男にも興味ない。
「高校男子が女子に興味ねぇとかあり得ねぇっしょ!」
「お前ら彼女いるもんな。」
「幸せだよ。」
「ノロケは聞かないからな。」
行正のほんとに幸せそうな顔を横目に、俺は便所に向かった。
「麻琴大丈夫?」
「大丈夫だよ。」
「もー麻琴泣かないでよ。」
廊下で群がる女子。そして門脇麻琴を慰めている。
うわー通りずれぇ。
でも通り道だから俺は知らん顔して通り過ぎた。が、誰も何も言わない。
ちらっと振り返ってみると、門脇が何で泣き出したか言わないらしい事が判明した。
「俺ひでー事した?」
「なんだよ急に。」
「朝から姉ちゃんに蹴られたんだよ。」
急に核心をつかれたと思ったら、隣のクラスの亮は自分のことを言ってたらしい。
「かったりぃ。聞けばいいじゃん。」
「だな。じゃ部活で!」
俺は便所から出た。
気持ちはスッキリしないのはアイツのせい?
まさかな。