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第1話 杖とばあちゃん

記念すべき第2作品目のジャンルはなんと【福祉】です!

一作目の50億を書いているときにふと思いつき、ただただ書きたくなった作品です。


アイデアだけは一丁前にどんどん溢れてくるので溜まりすぎないように随時、吐き出していこうと思ってます(笑)

本作品もよろしくお願いします\(^_^)/

「ありがとうフィリア。これでまた散歩ができるわ」


嬉しそうにそう言って、マリアばあちゃんは手にした杖を軽くついてみせた。

カツンと小気味よい音が庭に響く。


その姿を見て、私は思わず満面の笑みになる。


「それはよかったわ、マリアばあちゃん」


ここは小さな村――アルカ村。

そして私は今、この村の住人マリアばあちゃんに杖を作ってあげたのだ。


……どうしてこんなことをしているのかって?


話せば長いけれど、簡単に言うと――

私、フィリアはこの世界に転生したらしい。


前世の私の名前は福田詩音(ふくだしおん)という。

通称、ふくし。


なぜそんな呼ばれ方をしていたのかというと、理由は単純だ。

私は福祉の仕事が大好きだった。


社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士……

その他にも福祉関係の資格をとにかく取りまくっていたら、いつの間にか周囲から「福祉の専門家(スペシャリスト)」なんて呼ばれるようになっていた。


いろんな人と関わった。


生活に困っている人。

働けなくなった人。

孤独な人。


その人たちの話を聞き、制度を探し、支援につなげる。


誰かが少しでも生きやすくなる。

その手助けができる。

それが、私は嬉しかった。


……ただ、それが原因だった。


気づけば私は、ケースを抱えまくっていた。


相談、調整、書類、訪問、会議。

さらに別の仕事も増えていく。


でも、断れなかった。

だって、困っている人がいるんだから。


そうして私は、過労死で死んだ。

誰かのために働きすぎて、そのせいで自分が死ぬとは。


……なんともまあ、皮肉な話だ。


そして次に目を覚ました時、私はこの世界にいた。


ただ、ちょっとおかしい。


だって前世で見たアニメとかだと転生前に神様みたいな存在が出てきて説明してくれるじゃない?

「あなたは選ばれました」とか言って。

それでチートスキルとかもらえるじゃない?


な・の・に…


私には何もなかった。


説明もなし。

スキルもなし。

突然、知らない森の中。


……いや、怖いって。


とにかく私は人のいる場所を探した。


そして考えた。


川を探そう。

川を下れば、だいたい人の住む場所に出る。


前世の知識が役に立った瞬間だった。


どれくらい歩いただろう。

ざっと三時間くらいは歩いた気がする。


幸い、川はすぐに見つかった。

水には困らない。


でも、お腹がすいた。

歩いても歩いても食べ物が見つからない。


空腹に耐えながら歩き続けた結果、私はそのまま、倒れた。


そして次に目を覚ました時、そこには、天井があった。


「起きたかい?」


優しい声が聞こえる。

体を起こすと、そこには一人のおばあちゃんがいた。

それが、マリアばあちゃんだった。


聞けば、散歩していた時に倒れている私を見つけたらしい。

そして急いで村に戻り、若い男に頼んでここまで運んでもらったそうだ。


私はお礼を言おうとして――


ぐぅぅぅ。


お腹が鳴った。

マリアばあちゃんは笑った。


「お腹すいてるんだろう。待ってな」


そう言って用意してくれたのは、米と汁物のような食事だった。


それを口に入れた瞬間、涙が出た。

どこか懐かしい味だった。


温かくて。優しくて。


……私は泣きながらご飯を食べた。


食事のあと、どうして倒れていたのか聞かれた。


もちろん転生の話なんて信じてもらえないだろう。

だから私はこう答えた。

記憶がなく、空腹で人のいる場所を探していた。


するとマリアばあちゃんは言った。


「じゃあ、しばらくここにいな」


その言葉に、私は胸が温かくなった。

行く当てもない私にとって、それは救いの言葉だった。


私はその好意に甘え、マリアばあちゃんの家で少しお世話になることにした。

そして元気になった私は、村を見て回ることにした。


マリアばあちゃんも一緒に行こうとしてくれたが、実は私を見つけて村に戻る途中で杖が折れてしまったらしい。


それで歩きづらそうにしていたのだ。

だから私は、新しい杖になる木を探していた。


村はとても穏やかで、自然に囲まれ、空気もきれいでどこか落ち着く場所だった。


その時。


「お嬢ちゃん、もう元気になったのかい?」


声をかけられた。

振り向くとそこには片足の男が立っていた。


私は思わず固まる。


すると男は頭をかいた。


「あー、すまない。君をマリアばあちゃんの家まで運んだのは俺なんだ」

「え?」

「俺はカイン。この村唯一の若者だ。よろしくな」


その言葉に私はハッとした。


「あなただったんですか!?本当にありがとうございました!」


私は慌てて頭を下げた。


でも、同時に思う。

片足でどうやって運んだんだろう?


それから私はマリアばあちゃんの杖の話をした。

するとカインは言った。


「それならいい場所がある」


そう言って案内されたのは、私が倒れていた場所だった。


「この辺の木は杖にちょうどいいんだ」


二人で探していると、長さも太さもちょうどよさそうな枝が見つかった。

私はカインに聞いた。


「これ、加工できますか?」

「削ったり磨いたりくらいならな」


私は首を振った。


「それだけじゃダメなんです」

「?」

「その状態だと手に木片が刺さって怪我をします」


でも、他に方法がない。

その時、頭の中に声が聞こえた。


個人情報(ハンドブック)を開きなさい』


……何だそれ。ステータス画面的なやつのことか?

よく分からないが言われるがままに開いた。


個人記録開示(ハンドブックオープン)


すると。

目の前に光の本が現れた。


そこには私の名前や年齢、そしてスキルが表示されていた。


(…え?うそ…あるじゃない!!スキルっ!!)


スキル:福祉(ウェルフェア)創具(・クリエイト)


私は興奮しながら説明を読んだ。


――素材を用いて、人の生活を助ける道具を創り出すことができる。

――生成物【歩行杖】消費MP20


……え、これって。

それにどうやら今の私にはMPが100あるらしい。


私は木の枝に手をかざした。

そして、杖をイメージする。


すると、木の枝が光に包まれた。

そして光が消えた時。


そこには、綺麗な歩行杖ができていた。


「……え?」


カインが目を丸くする。


「今の、なんだ?」


私は正直に答えた。


「……私にも、よく分かりません」


私たちはマリアばあちゃんの家に戻った。


「ばあちゃん、これ」


私は杖を差し出した。

でも、マリアばあちゃんは遠慮していた。


「こんな、高価な物いただけないよ」


そんなマリアばあちゃんに私は笑って言った。


「助けてくれたお礼だよ」


マリアばあちゃんはまだ遠慮がちだったが、杖を受け取ると嬉しそうに言った。


「フィリアありがとう。これでまた散歩ができるわ」


――そして今。


その光景を見ながら、私は思う。

もしかすると、この世界でも私の好きな仕事(ふくし)ができるのかもしれない。

ここまで読んでいただきありがとうございます\(^o^)/


この物語は異世界の話ですが、実はモデルになっているのは私たちの現実の福祉です。


日本の福祉現場では、今も多くの人が誰かの生活を支えるために働いています。

しかしその一方で、人手不足やサービスの不足など、さまざまな課題があるのも事実です。


この作品は「福祉ってこんなことをしているんだ」と、少しでも興味を持ってもらえたら嬉しいなと思いながら書いています!


重い話ではなく、あくまで物語として楽しんでもらえたら嬉しいです(''◇'')ゞ


これからフィリアがどんな福祉サービスを広げていくのか、温かく見守っていただけたら嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
チートがないかと思ったら あるパターン₍ᐢ ɞ̴̶̷.̮ɞ̴̶̷ ᐢ₎ 福祉……ひとりでやるのはたいへんそうですなぁ:( ;´꒳`;):
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