第六話 夜の密談
「さぁここからが君の次の巣穴だ」
ネロはそう言い、部屋の中に私を招き入れた。
足を踏み出した途端、何も言えぬプレッシャーに苛まれた。
「おいおい、ボス、こいつ俺達の気配だけで、驚いてるぜ」
赤髪で長身の粗暴な男が笑いながら、ネロに言う。
「そんな酷いこと言うなってルイス、この子だって魔女だって聞いてすぐなんだよ、驚くのは無理もないさ」
少し青みがかった髪の男の子がそう言い私を庇う。
身長は私よりも20cmくらい低いのではないのか。
そのせいで、ルイスと呼ばれた男との差が凄い。
「ルイス貴方だって、初めてここに来たときなんか、、、あら、言って欲しくなかったかしら?」
後ろにいたクローバーがいたずらっぽく言った。
「なんだとぉぉぉ!」
ルイスと呼ばれた男が声を荒らげる
「、、、」
武装をしている老人が、剣を杖がわりにして寝ている。
「みな止めないか」
ネロが皆を止めると、場がすぐに落ち着いた。
「さて、みんな新しい我らの仲間、アルベドだ。そして、アルベド改めて紹介しよう、魔道具研究課もとい特別特殊部隊”サバト”だ。みな自己紹介をしてやれ」
「ふん、俺の名前はルイス・ベナンダンティだ。先輩を忘れるなよ」
ルイスは少し不機嫌そうに言う。
「僕の名前は、レオナルド・マレフィキウム、みんなは僕のことをレオって呼ぶよ」
男の子は微笑んでそう言った。
それにしてもどうしてこんなところに子供がいる?
「私の名前はクローバー・パルマケイアよ。よろしくね」
いつの間にか私の後ろからほかのメンバーのもとに移動していた。
「そしてここにいるご老体はシャルル・ホプキンス。見ての通り相当歳を食っているが実力は本物だ」
ネロが紹介をした瞬間、老人の鼻ちょうちんがパンと割れる。
「改めて俺の名前はネロ・ルーベンスだ。よろしく頼む、あともう1人いるはずなのだが、そいつは今ここにはいない」
ネロはそう言う。
「そっか、じゃあ改めて私はアルベド。よろしくね」
私は軽い自己紹介をした。
「今日はもう疲れているだろう早く寝るといい。君の部屋を案内しよう」
ネロはそう言う。
空き部屋が何個かあるのか。
色々歩きながら、観察していきひとつの部屋の前に立つ。
「ここが君の部屋だ、君の荷物はそこに既に置いてある。それではアルベド、おやすみ」
「ネロもおやすみなさい」
机の上に私が学校で使っていたカバンが丁寧に置いてあった。
部屋はホコリを被っているが最低限の家具はある。
許容範囲内だ。
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私は部屋を少し掃除して、ベッドに横になっていた。
疲れているが、考えることが多すぎて眠れない。
自分が魔女だということ。
ナナや学校、エリア13のみんなのこと。
これから始まる生活のこと。
こんなこと考えても仕方がない。
ひとまず寝ることを今の第1のミッションとしよう。
そう言い私は目を閉じた。
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やっぱり眠れない。
しょうがないからベランダにでも行って涼もうと思い、部屋を後にした。
そこには先客がいた。
クローバーだ。
「あら、アルベドどうしたのこんな夜遅くに?」
「それはクローバーだって一緒でしょ」
「そうね」
そういいクローバーは微笑む
「どっか行っていたの?」
私は、彼女の靴に砂がついているのに目を向けた。
「ふふ、それは内緒よ。女には秘密がないとつまらないでしょ」
「なにそれ」
そう言い私たちは笑いあった。
「いつか教えてあげるわ。やっぱり眠れないんでしょ。今飲み物をいれるわ。」
「ありがとう」
クローバーはそう言い、少し席を離れた。
「おまたせ」
そう言うとクローバーはふたつのホットミルクを持ってきた。
「アルベド、傷は痛まない?」
「おかげさまで、体はピンピンだよ」
「それは良かった。けどいくら回復があるからって無茶するのは無しよ」
「分かってるよ」
この女性は優しい。
話しているだけで落ち着く。
「少し昔話をしようかしら。私がここに来た初めての時のことよ」
彼女はホットミルクに口をつけた
「私が来たのは3番目、まだここにはシャルルとネロしかいなかったの。私もあなたみたいにネロに試されたわ。けど私は戦うのは嫌いだった。だから初めて出した魔法は私を治癒する回復魔法だった。」
「クローバーは優しいから魔法も優しかったんだね」
「ふふ、可愛いことを言うわね。あなたみたいに、あんまり眠ることは出来なかったわ。不安もあったけど、仲間が出来たことが少し嬉しかったの、私は魔女狩りに会う前はエリア8にいたの。」
エリア8と言うその声は震えていた。
「エリア8はあの事件があった所よね。」
あの事件というのは、エリア8にいた男が急に暴れて、虐殺行為を行い最終的に自害をしたという、なんとも惨い事件だ。
学校でもよく聞いた。
「そうよ、実は暴れた男っていうのは私の父だったのよ」
クローバーの顔がくもっている。
「血の繋がった人ではなかった、けど私が物心が着く時から一緒にいたかけがえのない人だったの。」
この国では、赤ん坊の頃からエリアに分けられるが、そこにはシスターのように親代わりになる人がいる。
「けど、父は絶対にそんなことをする人ではなかった。絶対になにか裏があるはずなの。だから絶対に隠された陰謀を暴きたいの」
クローバーの声から決意がこもっていた。
「私もできることがあるなら協力する」
「ありがとうね。少し話がそれたわね。それで、私は他の人から迫害を受けたの、それで私は孤独だった。けどここに来て、久しぶりに誰かと繋がれた気がしたの。それがわかると不安も全てなくなって、安心して眠れたわ。だからアルベド、私達が付いている。安心して眠ってね」
クローバーはそう言う。ホットミルクで体が温まったからだろうか、眠くなってきた。
「ありがとうクローバー、眠くなってきたから、寝るよおやすみ」
「ええ、おやすみなさい」
私は部屋につき、ベッドに横になった。
そしてすぐに眠りに落ちた




