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褒めるのも貶すのもまずは周りの様子を窺ってから、という姿勢

作者: ムクダム
掲載日:2025/11/21

 馬鹿にされている人をみると皆がその人をあざ笑い、後になって同じ人が誉めそやされていると今度は皆がその人を持ち上げて崇拝する。このような光景を目撃したり、身を持って体験したりした人もいるのではないでしょうか。小さなコミュニティの中で発生しているならともかく(それでも十分醜悪ですが)、そのような傾向が社会的に大きな潮流となると、その先にはロクでもない結果が待っているように思います。

 物事の正否や好き嫌いの判断はまずは自分で行うものです。スタート地点は自分の考え方や感性であり、周囲がどのように受け取っているかを観察するのはその後の段階であるはずです。

 しかし、スタート時点で自分自身を二の次にして、まずは周囲の態度を気にするという人が少なからずいるように感じます。周りの人が褒め称えているから、自分もそれを好きになる。反対に、否定的な感想の人が多いから自分もそれを嫌いになって貶すという姿勢です。褒め称えるとか貶すとかいうと大袈裟ですが、日常的な些細な選択の場面でこれと同じような行動を取っていることはないでしょうか。

 最近はあまり聞きませんが、一昔前は空気を読むという言葉がセンセーショナルに取り上げられ、肯定派と否定派の間で議論のようなものが起きていたように思います。空気を読むべき場面とそうでない場面があり、結局はケースバイケースというオチにしかならないと考えますが、そもそも議論されている空気は実体がないものです。同様に社会だとか、国だとか、民族や家族などといった集団的なるものにはそのものとしての実体は存在しません。あくまでもそれを構成する個人がいるだけです。

 人間は社会的生き物であり、周囲の集団と歩調を合わせなければならないという考え方は最もらしく聞こえますし、絆だとか、人との繋がりだとかいう言葉が美辞麗句として氾濫している世の中ですが、社会や人間の繋がりというのは極論思い込みで成り立っている幻想のようなものです。そういった幻想のために、唯一確かなものとして実感できるであろう自分の考えや感性を後ろに追いやってしまうのは悲しいことではないでしょうか。

 身近なもので考えると、芸術やエンターテイメントに触れた時、まじは自分なりの受け取り方があるはずです。これはあまり良くないなと感じた時に、周囲の反応を気にするというのは自身の感性に対して失礼です。感じ方は自分だけのものであり、それを付和雷同で変えてしまうの長い目で見れば人生の喪失です。

 有名人のスキャンダルが報道された時、世の中の反応が同情的か批判的かを確認し、批判意見が多ければ自分も同じように批判する。つまらないと感じた作品について、他人の感想をチェックし、自分の意見が多数派と同じであれば自信を持って意見を発信する。こういったみっともない態度に付随して気になるのは、褒めるにしても貶すにしても、その表現が似たり寄ったりになっているように見えることです。声の大きい人が使った表現をそのフォロワーが真似をして広める。そうすることでどんどん個人個人の言葉が失われていくのではないでしょうか。

 インフルエンサーと呼ばれる特定のジャンルにおいて強い影響力を持った人や、流行り廃りを左右するコミュニティーの存在がそういった傾向に拍車をかけているように思えます。しかし、そのインフルエンサーやコミュニティにしても、意見を発信する前にはまず世の中の動向を確認している可能性はあります。肯定、否定のどちらの意見も用意しておいて、より受けが良さそうな方を発信する。そして、それが実際に社会の指向として定着する。そんな幻想を幻想で塗り固めたような社会を我々は生きているのかもしれません。

 サムネイルにデカデカと文字を映し出してる動画や、人を煽る文言で見出しを作り注目を集めようとするメディアというのは気味の悪い存在です。自分たちの都合で他人の感性を汚染しようという意思が見え隠れするからです。そのような行為は他人の感性を鈍らせるだけでなく、自分自身をも卑しいも存在に堕としてしまうものであるということを心の隅に置いて欲しいです。

 人間は幻想を追いかけて一生を終える生き物なのかもしれませんが、どうせ追いかけるのなら綺麗だと思えるものをゴールにしたいものです。いがみあい、貶し合うようなものを一生かけて追いかけるというのは虚しいことだと感じます。終わり

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