北海道で恵山という低山の活火山に登りました
6月3日午前11時・・・
大阪も梅雨入りしてすっかり執筆依頼もなくなっていた水城涼真は、部屋でアニメ動画を見ながらまったりとしていた。どうしても梅雨入りしてしまうと登山もできなくなるのだが、来週の6月13日から2泊3日で若宮朱莉と二人で北海道旅行へ行くことになっていたので、それだけが楽しみであった。そんなことを考えているとスマホの着信音が鳴った。その電話に出てみると久しぶりにアウトドアウォーカーの雑誌編集部の片瀬彩羽からであった。
片瀬彩羽「水城さん、お久しぶりですよね。今、お時間少しよろしいでしょうか?」
水城涼真「片瀬さん、お疲れ様です。今日も暇していますので時間ならたっぷりありますよ」
片瀬彩羽「それなら良かったです。実は天音琴美さん経由で清水から聞いた話なのですが、来週は北海道へ旅行に行かれるのですか?」
水城涼真「そうなんですが、実際はまだどこに行こうか考えております。函館には必ず行く予定ではありますが・・・」
片瀬彩羽「そうなのですね!?それでしたら北海道の山へ登って取材していただくことは可能でしょうか?梅雨が続いておりまして、7月号に載せるおススメの登山場所に困っております」
水城涼真「それは構いませんが、どのような山がいいのでしょうか?」
片瀬彩羽「見所のある山であればどこでも構いませんが、実は清水からも水城さんへ山ガールライフの執筆の依頼がございまして、それとは別の山を取材していただきたいのです」
水城涼真「また清水さんからの依頼ですか!?えっとまず清水さんからお話を伺ってからでもいいでしょうか?」
片瀬彩羽「もちろん!では、このまま清水にお繋ぎしますのでしばらくお待ちください」
そこで電話は保留となった。しかし、今回は北海道旅行で若宮朱莉と恵山に登る予定であるのだが二つの依頼を受けれるのか心配になっていた。
清水紗理奈「やっほぉー水城さん、お待たせしました清水でーす!」
水城涼真「清水さん、相変わらずテンションが高いですね。片瀬さんから聞きましたが執筆依頼があるとのことですよね?」
清水紗理奈「そうなんだ。水城さんと若宮朱莉ちゃんが北海道に行くと天音さんに聞いたので、それなら北海道の自然の場所を取材してほしいと思ったんだじょ」
水城涼真「それはいいですが、たかだか2泊3日ですし、それほど取材にはならないと思いますよ」
清水紗理奈「北九州の時と同じようにまた若宮朱莉ちゃんモデルで撮影してきてほしいんだ。なんでも恵山という活火山に登るとのことじゃないか?それプラスで取材してきてくれればいい。もちろん夜景も絡めてもらってオッケーだじょ!」
水城涼真「じゃあ、その取材は函館市近郊の自然という名目の取材で構いませんか?」
清水紗理奈「それで構わないから、自然の中にいる若宮朱莉ちゃんの可愛い姿を何枚も撮影してきておくれ。あとの執筆は水城さんにお任せしたい」
水城涼真「わかりましたが、天候が悪い場合は諦めてくださいね。それでは片瀬さんにもう一度繋いでいただけますか?」
清水紗理奈「それでいいのでよろしく!片瀬に代わるのでちょっと待っておくれ」
再び電話は保留となり、再び片瀬彩羽に繋がった。
片瀬彩羽「お待たせしました。水城さん、清水と話はまとまりましたか?」
水城涼真「はい。清水さんのほうは函館近郊の自然ということになりました。それで片瀬さんのほうの依頼なのですが、新千歳空港に近い樽前山の取材にしたいと思っています」
片瀬彩羽「あーたしか日本二百名山に指定されている活火山でしたね。樽前山で構いませんので取材と執筆のほうをお願いできますか?」
水城涼真「わかりました。ただ、天候によっては取材すらできなくなりますので、そこはご了承ください」
片瀬彩羽「それは十分に承知しておりますので、出来る限りの範囲で取材と執筆をお願いします」
そうして北海道旅行はほぼ取材となってしまった。
6月13日午前4時・・・
目覚まし時計が鳴って起床した水城涼真と若宮朱莉は目覚めのコーヒーを飲みながら北海道函館市の天気予報をチェックしていた。この日は大阪も梅雨前線に覆われていたが、曇りで北海道函館市は快晴との予報になっていた。6時10分の飛行機搭乗なので2人は急いで準備をした。準備といっても荷物は登山道具とカメラなのだが今回はガスバーナーなどは持って行かなかったのでザックも軽かった。駐車場まで歩いて行くとザックをトランクに積み込んでさっさと車に乗って関西国際空港に向かって車を走らせた。
関西国際空港の第二駐車場に到着したのは午前5時20分前であった。2人は急いで搭乗口へ向かい保安検査を受けて搭乗ゲート前にあるベンチに座った、。そこで水城涼真は缶ビール2本を購入して飲みはじめた。
若宮朱莉「向こうでもレンタカーを借りるんだよね?朝からお酒を飲んで大丈夫なの?」
水城涼真「北海道での運転は朱莉ちゃんに任せるわ」
若宮朱莉「わたしが函館まで運転していくの?」
水城涼真「そうや、今日はちょっと飲みたい気分やねん」
そうして搭乗ゲートから札幌の新千歳空港の案内放送が流れて2人は搭乗ゲートから飛行機に乗った。飛行機が離陸してからも水城涼真は缶ビールを飲んでおり隣の窓側に座っている若宮朱莉は心配していたが、これも自分が信用されているんだという気持ちになっていた。それから1時間40分程のフライトが続くと窓の外を見ていた若宮朱莉が「涼真さん、富士山みたいな山があるよ」と言った。水城涼真は窓越しにその山を見て「あれは羊蹄山やな。山岳会に入ってる時にバックカントリーに連れて行かされたことがあったわ」と答えた。それから少しすると飛行機は新千歳空港へ着陸した。
午前8時30分・・・新千歳空港~長万部
新千歳空港からレンタカーショップに行くため2人はレンタカー送迎バスに乗った。予約していたレンタカーショップに到着すると、水城涼真と若宮朱莉は免許証を提出してクリーム色のコンパクトな4WDのハイブリッド車を借りることができた。そこからカーナビを合わせて若宮朱莉の運転で函館市まで向かうことになったのだが、途中にあるコンビニに立ち寄ることになった。
若宮朱莉「涼真さん、どうしてこのコンビニ?お酒はもう控えたほうが・・・」
水城涼真「ここは北海道にしかないセコマ(SEICO MART)やから、ちょっと買いたい物があるんよ」
若宮朱莉「そういえばこんなコンビニは見たことないね」
水城涼真「ここのメロンソーダーとガラナを飲みたいんよ」
2人はコンビニに入ってメロンソーダーとガラナという炭酸飲料水を購入して車に戻った。メロンソーダーのほうは微炭酸でメロンの味がしたが、ガラナはクセの香りと甘さのある味であった。お互いに分け合って飲んでみると水城涼真は「やっぱり北海道に来たって感じがするわ」と言った。そこからいよいよ函館市に向かって車を走らせていたのだが、ときどきナビ音声で「86km道なりです」と流れていて若宮朱莉は驚いていた。もちろん高速道路など使わず一般道路で函館に向かう予定にしていたのだが、信号がほとんどなく一本道なの一般道でも都会を走るのとは時間も違うのだ。2時間程車を走らせていると道の駅があったので休憩がてらに立ち寄った。この道の駅からは羊蹄山のどっしりした山容がよく見えている。
若宮朱莉「あれ、さっき飛行機の中で見た羊蹄山だよね?」
水城涼真「そうやけど、さすがに雪少ないなぁ」
若宮朱莉「もっと間近で見れるところあるかな?」
水城涼真「じゃあ寄り道になるけど麓のキャンプ場まで行ってみよか」
道の駅で水城涼真はさらに250ml瓶の地酒を購入して車に乗った。お酒は飲んでいるが水城涼真は酔っぱらうことはなく、羊蹄山の麓への道案内をしていた。道の駅から40分程で羊蹄山の登山口でもある麓のキャンプ場に到着した。ここからは羊蹄山の山容は見えるものの富士山のような形ではなかったが、周りは大自然に溢れかえっていた。2人は車を降りてキャンプ場をブラブラ歩いていると、羊蹄山から下ってきたと思われる登山者2名に出くわした。その登山者は途中で敗退したということらしい。
若宮朱莉「わたし、あの羊蹄山に登ってみたい!」
水城涼真「ただ登るだけやったらできるけど、今回は装備がないからな・・・それに羊蹄山はバックカントリーで登りたいんよ」
若宮朱莉「うん、わかってる。たしか、涼真さんも敗退したんだよね?」
水城涼真「そうや。あの時はタイムオーバーになったんよ。あれを登るには結構な時間が必要になるんよな」
そんな話をして自然を満喫すると2人はさっさと車に乗って函館へ向かった。それからしばらくの間、助手席に座っている水城涼真はぐっすりと眠っていたのだが、ずっと車を運転し続けている若宮朱莉はだんだん疲れてきた。そこはちょうど札幌から函館に行く間で一番辛いとされている長万部付近なのだ。ちょうど曲がり角の辺りにコンビニがあったので若宮朱莉は休憩も兼ねて立ち寄った。
若宮朱莉「涼真さん、起きて!もう運転疲れてきちゃったよ」
水城涼真「うん?今どの辺なん?」
若宮朱莉「長万部ってところみたい」
水城涼真「あー、札幌から函館に行くのに一番辛いところやな。さて目覚めのコーヒーでも買いにいくか」
水城涼真は完全に酔いが覚めたようでホットコーヒーを飲みながらまったりしていた。とはいってもここはまだ中間地点に過ぎないのだが、この先で立ち寄る場所があるのでお酒を飲むのを辞めた。少し休憩して再び若宮朱莉の運転で車を出発させて函館へと向かっていった。それから1時間程国道5号線の海沿いを走らせていると左手に迫力ある双耳峰の山が姿を現した。
若宮朱莉「さっきから見えてるあの双耳峰の山って何だろう?」
水城涼真「あれは北海道駒ヶ岳やな。あそこはチャンレジしようと思って登山口まで行ったけど天候が悪くて登られへんかったんよ」
若宮朱莉「涼真さん、こんなところの山にもチャレンジしようとしてたんだね」
水城涼真「いや、あの山容みたら登りたくなるのが真の登山者やろ」
若宮朱莉「あはは、そうかもね。たしかに登りたくなってくるよ」
水城涼真「北海道駒ヶ岳は活火山で山頂までは登られへんのよ。ただ、俺は登ってやろうと思ってたけどな」
若宮朱莉「そうなんだ。涼真さんらしいけど、そういう危険な登山は避けたほうがいいかもね」
北海道駒ヶ岳の山容を左手に見ながら車を走らせていると道の駅があったので休憩がてらに立ち寄った。その道の駅では北海道駒ヶ岳の山容がよく見える展望台があった。
午後15時30分・・・きじひき高原~函館山
道の駅からは水城涼真の案内でさらに車で1時間程走らせて北斗市に入ると、国道から外れてきじひき高原へ向かって山道を上がっていった。樹林帯の道を抜けた先から高原地帯が広がっていた。そこで若宮朱莉は目を輝かせて「やっぱり北海道はすごいね」と呟いた。そしてきじひき高原のパノラマ展望台の駐車場に到着すると水城涼真はカメラを取りだして「朱莉ちゃん、ここから撮影させてもらうで」と言った。車から降りて早速パノラマ展望台へ行くと、北海道駒ヶ岳や小沼、大沼といった迫力ある景色を眺めることができた。この小沼、大沼というのは過去の北海道駒ヶ岳での爆発的な噴火を繰り返して川が堰き止められたことによって形成された湖とされている。この景色をバックに若宮朱莉を撮影した水城涼真は「じゃあ次に高原地帯を歩いてみよか」と言った。
若宮朱莉「どこまで行くの?」
水城涼真「木地挽山まで行こうかと思ったけど、まあブラブラと高原地帯を歩きながら朱莉ちゃんを撮影するわ」
若宮朱莉「もう取材ははじまってるんだよね?」
水城涼真「そうやけど、自然な感じでええから」
そうして木地挽山のほうへ向かいながら水城涼真は高原地帯を歩く若宮朱莉を何枚も撮影した。結局、日没も近いということもあって木地挽山までは登れなかったが、いい写真はたくさん撮れていたので満足していた。その後、駐車場に戻って2人は車に乗って函館市へと向かって行った。函館市に入った頃には午後17時過ぎになっていたが、日没までまだ時間があったので海沿いにある少し贅沢に海鮮とお寿司の料理店に入った。
若宮朱莉「もうわたしお腹ペコペコだからどんどん食べちゃうね」
水城涼真「予算の関係もあるから、あんま食べ過ぎんようにな」
若宮朱莉はズワイガニの味噌汁とウニ、中トロ、いくらなどのネタ、水城涼真は海鮮丼とズワイガニの味噌汁と海鮮丼を注文した。このお店はとれたて新鮮なネタを出してくれるので味は格別である。
水城涼真「やっぱ新鮮だけあって美味しいわ」
若宮朱莉「うんうん。それにズワイガニのお味噌汁ってすごく体が温まる」
水城涼真「朱莉ちゃん、意外にもあんまネタ注文してないんやな?」
若宮朱莉「こういうお店では味を楽しむことが一番だからあまり注文はしないの。それに高いでしょ」
結局、最初に注文した料理だけを食べると2人は支払いをして店を出た。外は津軽海峡に面していて風が強く吹いていた。まだ日没まで時間があったので、少し海岸をぶらりと歩くことになった。
若宮朱莉「涼真さん、海岸歩きは気持ちいいんだけど、ちょっと風が強すぎない?」
水城涼真「津軽海峡は年間通して風が強いからしゃーないんよ」
若宮朱莉「あと、あれが函館山だよね!?少しガスってそうだけど大丈夫なの?」
水城涼真「函館山も津軽海峡の影響をもろに受けてるからな。まあ、あの程度のガスやったら問題あらへん」
しばらく砂浜でぼーっとしていたが時計を見ると午後18時を過ぎていたので2人は急いで車に乗って函館山へ向かった。その後、函館山ロープウェイに乗って山頂駅に着くと多くの人で賑わっていた。夜景になるまでまだ時間があったのだが、撮影場所を確保しておこうとのことで2人は山頂展望台に上がって待っていた。それから約1時間程して市街地が輝き出してようやく夜景撮影がはじまった。まず、人が多いので先に若宮朱莉と夜景の撮影からはじめた。さすがに小型のカメラ三脚だとブレてしまい、何度も撮り直しになってしまったがこれといった一枚が撮影できたので水城涼真は満足してカメラを片付けた。
若宮朱莉「涼真さん、函館市ってくびれてるんだね」
水城涼真「うん。このC字構図と逆C字構図のある地形の夜景って珍しいんよ」
若宮朱莉「これはこれで綺麗!」
水城涼真「じゃあ、人も増えてきたからさっさとロープウェイに乗って戻ろか」
そう言って2人は混雑を避けていち早くロープウェイで下った。函館山から車でビジネスホテルに戻る途中に水城涼真が「あのコンビニに寄って!」と叫ぶように言った。若宮朱莉はそのコンビニの駐車場に車を停めると「どうしたの?」と聞いたので水城涼真は「このコンビニで焼き鳥を注文したら直火焼きで作ってくれるんよ」と答えた。そのコンビニとは函館市にしかないといわれるハセガワストア(ハセスト)のことで、店内には焼き台が設置されており、焼き鳥を注文するとその場で焼いてもらえるのだ。ちなみに、焼き鳥といっても鶏肉ではなく豚肉なのだ。水城涼真は500mlの缶ビール8本とやきとり弁当の中、若宮朱莉はよほどお腹が空いていたのかジャンボやきとり弁当を注文した。店員さんがその場で焼いてくれたやきとり弁当を持って2人は函館市のビジネスホテルにチェックインして部屋に入った。
水城涼真「このやきとり弁当がまたビールに合うんよ」
若宮朱莉「じゃあ乾杯して早速食べよう」
水城涼真「この甘いタレがたまらんのよな。なんで全国で販売せんのかと思うくらいやわ」
若宮朱莉「甘辛い感じが本当にビールに合うよね。でもどうしてやきとりなのに豚なんだろう?」
水城涼真「道南エリアではやきとりのことを豚肉って言うらしいんやけど、詳しいことはわからんわ」
そんな話をしながらやきとり弁当を食べ終えると若宮朱莉が先にシャワーを浴びにいった。水城涼真はまだビールを飲んでいたが、明日の天気の確認もしていた。シャワーを浴び終えた若宮朱莉が戻ってくると、今度は水城涼真がシャワーを浴びにいった。若宮朱莉は少し淋し気な表情をしながら缶ビールを飲んでいた。シャワーを浴び終えた水城涼真はそんな若宮朱莉の淋し気な表情を見て少し困惑していたが、もう限界なのかもしれないと思って口を開いた。
水城涼真「朱莉ちゃん、今日は特別というか今回だけは抱かせてもらっていい?」
若宮朱莉「それって・・・わたしも涼真さんに抱いてもらいたいからいいよ」
水城涼真「子供を作るわけやないから勘違いせんといてほしいんやけど、一度だけ・・・」
若宮朱莉「うん、いいよ。涼真さん、愛し合おう・・・」
ついに水城涼真は若宮朱莉に手を出してしまったのだ。事後、若宮朱莉は幸せそうな表情をしながら「ありがとう」と呟いた。
若宮朱莉「やっぱりわたし、将来的に涼真さんとの子供がほしい」
水城涼真「俺らはこれからもやるべきことがあるから、その後の話になるわ」
若宮朱莉「涼真さんはわたしのことを考えて抱いてくれたんだよね?」
水城涼真「それは・・・まあええやん。朱莉ちゃんのこと大好きやで!」
若宮朱莉「わたしも涼真さんが大好き!」
十分に愛し合って満足した2人はそのまま眠ってしまった。
6月14日午前9時・・・恵山(標高618m)
ホテルのチェックアウトを済ませて函館市から東へ車を走らせてた。火口原駐車場に到着すると前方に高原が見えて若宮朱莉が「おぉー!北海道らしい高原地帯だね」とはしゃいだいでいたのだが、右を振り向くとまさに活火山である恵山の山容を現れて「何あれ?」と驚きの言葉に変わった。火口原駐車場に車を停めて2人は外に出るとさっさと登山準備を整えた。
若宮朱莉「うわぁー活火山だ!すごい迫力だね」
水城涼真「これは俺もびっくりしたわ。たかだか標高600mの山でこんな景色が見れるとは思わなかった」
まずは恵山管理道である遊歩道を歩いて登山口を目指して歩いていった。恵山展望台との分岐に到着したが展望台とセットで登る人が多いみたいだが、今回は山頂だけを目指すのでパスした。高原地帯も歩けるみたいだが時間がなかったので恵山だけの登山となった。ようやく権現堂登山コースの登山口に到着して山頂まで約2kmほどあるが、地図をみると急登はなさそうなのでトラバースが多そうな感じであった。少し階段を登ったところでもう森林限界を超えているなんてびっくりしたのだが、若宮朱莉はテンションマックスでハイペースで登っていった。水城涼真はそんな登山道を歩いている若宮朱莉の撮影をし続けた。序盤は軽いつづら折れの登山道になっていたが、そこを抜けると道標がでてきて山頂まであと1640mと記載されており、その後ろ側には噴煙があった。
水城涼真「朱莉ちゃん、ここは息を吸い込んだらあかんのやけど、噴煙をバックに撮影させてほしい」
若宮朱莉「こんな感じでいい?」
そういって、噴煙をバックに若宮朱莉を撮影した。その先からは活火山というべきガレ場の道になったのだが、ここでも若宮朱莉を何枚も撮影した。稜線にでると北東方面の海辺が見えた。高原地帯にも道があるのが見えたので向かいの山にも登れるようであった。海辺をバックに若宮朱莉を撮影して、その先に進んでいくと山頂まで1000mと記載された道標がでてきた。ここが中間地点あたりなり階段だらけで少し疲れたのと、次のこともあるのでここで5分休憩とした
若宮朱莉「この山なんかすごいね。父が何を見ていたのかもう共感できたと思う」
水城涼真「焼岳とはまた違った感じの迫力やからな。お父さんはそれを体感したんやと思うわ」
そこからさらにガレ場の登りになったが、迫力ある巨岩群と活火山ならではの雰囲気が2人のアドレナリンを刺激していた。さらに登っていくと山頂まで730m地点にさしかかった。迫力ある岩群に圧倒されながらとても標高600m程度の山には思えないと2人は感じていた。山頂が近づいてくると周囲の雰囲気が変わった。高山植物のようなものが生えており、この風景を見てるとまるで2000m級の山を登ってるような感覚に陥った。そして恵山山頂の山頂(標高618m)に到着した。左側の岩の上が一番高い場所だと思われたが、その岩はとても登れそうになく、その向こう側は断崖絶壁なので危ないのだ。
若宮朱莉「短い山行だったけどこの恵山は最高だね!どこみても景色は素晴らしい」
水城涼真「朱莉ちゃん、山頂で記念撮影しようか」
若宮朱莉「うん!わたし、この山大好きになっちゃったよ」
水城涼真「せやな。こんな山本州にはあれへんと思うわ」
山頂で記念撮影をした後で恵山権現堂まで歩いていったのだが、ここは展望がなくて風が強いのでさっさと撤退した。それからさっさと下山をして火口原駐車場に戻った時には午前11時を過ぎていた。
水城涼真「朱莉ちゃん、腹減ったやろ?オムライスでも食べに行かへん?」
若宮朱莉「もうお腹ペコペコだけど、オムライス?」
水城涼真「函館だけにあるオムライスの美味しい店があるんよ」
若宮朱莉「いこういこう!」
そこから一旦函館市のほうへ戻っていくとラッキーピエロというレストランに到着した。2人は車から降りて店内に入ると水城涼真はチャイニーズチキンオムライス、若宮朱莉は一番人気メニューであるチャイニーズチキンバーガーとチャイニーズチキンオムライスを注文した。それから間もなくして注文した料理ができたのことで各自とりにいった。
水城涼真「朱莉ちゃん、オムライスもボリューミーやけど、そのバーガーも結構大きいよよな。全部食べれるん?」
若宮朱莉「このくらい大丈夫。いただきまーす!」
若宮朱莉はチャイニーズチキンバーガーとチャイニーズチキンオムライスを交互に食べながら「美味しい」と呟いて全てをたいらげてしまった。水城涼真はさすがにチャイニーズチキンオムライスを少し残してしまって「これ以上食べられへん」と言った。そこで若宮朱莉は「涼真さんの残りもわたしが食べちゃっていい?」と聞かれたので水城涼真は「ええよ」と答えた。若宮朱莉は水城涼真が残したチャイニーズチキンオムライスもたいらげてしまい「はぁごちそう様でした」と満足そうに言った。それにしても若宮朱莉の胃袋はどうなっているのか気になる水城涼真であった。
午後16時・・・支笏湖のホテル~苫小牧
支笏湖に戻っている間に天候は大幅に崩れた。梅雨前線にかかっていないとはいえ、かなりの土砂降りとなっていたのだが、函館市からなんとか支笏湖のホテルに到着した。
若宮朱莉「これ、明日の登山は無理なんじゃない?」
水城涼真「うん、無理やと思うわ」
若宮朱莉「取材のほうは大丈夫なの?樽前山に登る取材があったんだよね?」
水城涼真「この天候が明日回復してくれればええけど、どうにも無理そうやから諦めるしかあらへん」
若宮朱莉「天候は仕方ないよね・・・じゃあ今夜も涼真さんに抱いてもらいたいな」
水城涼真「朱莉ちゃん、昨日は特別やったんよ。今日は疲れたし俺一人で寝るから」
若宮朱莉「ええー一度っきりなの?わたし、涼真さんともっと愛し合いたいよ」
水城涼真「愛し合う方法なら他にもあるしな。とりあえず温泉に行こうや」
そうして2人は温泉に入ってのだが、その後でまた宴会がはじまった。水城涼真がコンビニで購入していた缶ビール12本とおつまみを出して、2人だけの宴会がはじまったのだ。
若宮朱莉「涼真さんは、好きな人とかいなかったの?」
水城涼真「中学生の頃にいたけど、告白して失敗したんよ」
若宮朱莉「それってどういう人だったの?」
水城涼真「勉強できるキュートな女の子やったけど、やっぱ俺とは合わんなって思ったわ」
若宮朱莉「その女の子とわたし、どっちがいい?」
水城涼真「そういう比較はしたくないんやけどな、まあ今言えることは朱莉ちゃんのほうが好きってことやな」
若宮朱莉「それならよし!わたしも涼真さんが好きだから・・・」
そんな話をしているうちに2人は眠ってしまった。6月15日午前9時に目覚めた2人は最後に行く目的へ向かった。朝から土砂降りのためやはり樽前山の取材は断念せざるを得なかった。
翌朝、6月15日午前8時に起床した2人はさっさと出かける準備をしてホテルのチェックアウトをした。外は昨日と同じく雨が降っていたのでとても樽前山には行けなかった。そこで水城涼真が「今日は昭和新山とクマ牧場に行って、帰りに苫小牧の漁港で海鮮丼を食べて帰ろか」と言った。若宮朱莉には意味がわからなかったが、とりあえず着いていくことにした。
支笏湖から1時間程車を走らせると岩肌むき出しの昭和新山が見えてきた。有珠山・昭和新山有料駐車場に車を停めると小雨になったので2人は車から降りて昭和新山を下から望み、それから昭和新山熊牧場に入ってヒグマを見ていた。
若宮朱莉「すごい爪!こんなのが山に出てきたら怖いよね」
水城涼真「まあ本州にヒグマは生息してないから大丈夫やと思うけど、羅臼岳とかはヒグマの宝庫らしいからな」
若宮朱莉「でもよく見るとこのクマ可愛いよ!涼真さん、山で熊に遭遇したことないの?」
水城涼真「3回あるよ。バリルートの尾根を登ってる時に遭遇したんやけど、もう固まってもうたで。写真撮るとか絶対無理やったわ」
若宮朱莉「襲われなかったの?」
水城涼真「睨み合いになったけど、襲われはせんかったな。あとは京都の低山でも遭遇したけど、熊のほうから逃げていったわ」
若宮朱莉「わたし達のような登山をしてると熊と遭遇する可能性は高いんだね」
水城涼真「だからこそ遭遇せんようにせなあかんのやけどな」
若宮朱莉「でも、ここのクマさん達って可愛いよ。ほら、あそこで寝そべってる小熊も超可愛い!」
若宮朱莉は熊牧場が気に入ったらしく、結局30分程滞在してしまった。その後、2人は車に乗って苫小牧へと向かっていった。時刻は11時前になっており、そろそろお腹も空いてきた頃だろう。帰りの飛行機は午後16時なのでなんとか間に合わせないといけなかったので、さすがに最後は道央自動車道に入って苫小牧へと進んでいった。
午後12時20分に苫小牧の海の駅に到着した。目的としたお店では行列ができていたので別のお店に入ることにした。お店に入ると水城涼真はマグロ・サーモン丼定食にホッキ貝焼と牡蠣焼、若宮朱莉はウニ丼定食に本マグロ刺身、カニ汁、ホッキ貝焼と牡蠣焼を注文した。10分程すると注文した料理が運ばれてきたがやはり若宮朱莉の食欲には驚かされるものがある。
水城涼真「朱莉ちゃん、ホンマ多いな。それだけ全部食えるん?」
若宮朱莉「だってお腹ペコペコだったんだもん。このくらい食べれるよ」
ホッキ貝と牡蠣を網焼きにしながら、若宮朱莉はウニ丼とカニ汁をガツガツ食べていった。とれたて新鮮な海の幸でもあって美味しいのは当然のことである。
若宮朱莉「涼真さん、ここはわたしが支払うね」
水城涼真「いや、これも経費で落とすからええんやけど」
若宮朱莉「ずっと涼真さんに支払ってもらっているんだから、ここくらいはわたしに支払わせて!」
水城涼真「朱莉ちゃんがそうしたいなら別にええけど、そのウニ丼の値段って時価やったからいくらかかるかわからんで」
若宮朱莉「いいのいいの。こういう時こそ美味しいものを食べないとね!」
その後、網焼きしたホッキ貝と牡蠣を食べてみると2人とも「美味しい!」と呟いた。食べ終えてから清算となり、若宮朱莉は1万円程支払った。その後は新千歳空港へ向かい、レンタカーを返して飛行機に乗って大阪へと戻っていった。
それから数日後、水城涼真は片瀬彩羽に電話をして、天候が悪かったため樽前山の取材はできなかったと報告したが、もうそれは仕方のないことだということになった。こういうことは今回だけではなく登山の執筆活動において時々あることなのだ。




