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わたしが歌手デビュー!?そして越前岳へ

10月17日午後19時30分頃・・・


大阪の某テレビ局で情報番組の仕事を終えた若宮朱莉が楽屋前まで歩いていくと、マネージャーの井野口晃が「朱莉ちゃん、お疲れ様でした。大事な話があるんだけどいいかな?」と声をかけてきた。若宮朱莉は「じゃあ楽屋に入って」と言うと二人は楽屋に入っていった。若宮朱莉がテーブルの前にあるソファーに座って落ち着くと、井野口晃が話しはじめた。


井野口晃「朱莉ちゃん、CDデビューをしてみる気はない?」

若宮朱莉「それってわたしが歌うってこと?」

井野口晃「そう。これは社長の提案だから簡単に断れないんだよ」

若宮朱莉「社長の提案か・・・でも無理だと思う。だってわたし歌苦手だもん」

井野口晃「ちゃんとプロの講師もつける予定だから、その苦手を克服してほしい」

若宮朱莉「それでもわたし向いてないって自分でも思うからやっぱり無理なんじゃない?」

井野口晃「今回は社長の提案なんだし、まずやるだけやってみてほしいんだよ」

若宮朱莉「うーん、社長の提案だったら仕方ないかな。わかった、やるだけはやってみる」


こうして若宮朱莉は仕方なくといった感じで引き受けた。


それから帰宅後・・・

若宮朱莉はシャワーを浴び終えると、水城涼真の部屋に入って「相談があるんだけど」と言った。


水城涼真「俺に相談って?」

若宮朱莉「涼真さんってたしかバンドを組んでてパートはたしかボーカルとギターだったよね?」

水城涼真「うん。数年前の話やけどやってたよ」

若宮朱莉「実はCDデビューしないかって話になってて、やるだけはやってみるってことになったの」

水城涼真「朱莉ちゃんがCDデビュー!?芸能事務所も無茶なこと言うんやな」

若宮朱莉「そこでプロの講師もつけてくれるみたいなんだけど、涼真さんにも歌の講師をお願いしたいの」

水城涼真「俺はプロのミュージシャンやないし、そのプロ講師に任せたらええんとちゃう?」

若宮朱莉「わたし、涼真さんに教えてほしい。音楽にも詳しいでしょ?」

水城涼真「うーん、歌のことなら志帆に聞いたほうがええんやけど、東京におるから難しいな」

若宮朱莉「志帆ちゃん、歌上手なの?」


水城涼真はパソコン操作をして音楽を流しはじめた。これは水城涼真がある音楽アーティストのカバー曲をレコーディングして妹の志帆に歌わせた英語のバラード曲である。


若宮朱莉「これ、もしかして志帆ちゃんが歌ってるの?」

水城涼真「そうや。あいつはプロ並みの歌唱力があるんよ。バンドとかそういうのには興味なかったけどな」

若宮朱莉「志帆ちゃん、めちゃくちゃ歌が上手だね!!声も綺麗でプロ顔負けだと思う!!!」

水城涼真「俺は志帆の歌を自慢するために聴かせたんやなくて、CDデビューするんやったらこのくらいは目指さんとあかん」

若宮朱莉「わたし、こんな歌唱力が身に付くとは思えない」

水城涼真「志帆の歌唱力や声は天性のものやと思ったほうがええわ。あいつは昔、ピアノを習ってたけど、歌の練習なんてしたこともないんよ」

若宮朱莉「生まれ持った才能なんだ。でもすごい!」

水城涼真「とりあえず今度一回音楽スタジオでも行ってみよか?ちょうど執筆活動も一息ついたところやしな」

若宮朱莉「わかった」



10月18日午前11時・・・


水城涼真は平日でありながら、この日はのんびりと部屋で過ごしていた。そんな時、一本の電話が入った。電話に出てみるとアウトドアウォーカーの雑誌編集部の片瀬彩羽からだった。


片瀬彩羽「水城さん、お疲れ様です。今少し大丈夫でしょうか?」

水城涼真「片瀬さん、お疲れ様です。今大丈夫ですよ」

片瀬彩羽「実は12月号に『ナイトハイクで綺麗な夜景を見よう!』というクリスマスコーナーを急遽載せることが決まりまして水城さんに執筆をお願いしたいのです」

水城涼真「なるほど、12月号ってもう時間がありませんよね?」

片瀬彩羽「はい。ですから10月末納期でお願いしたいのです」

水城涼真「本当に急ぎですね。紹介する夜景スポットは一つが限界だと思いますが、どこでもいいのでしょうか?」

片瀬彩羽「今回は標高1500m以上の少し高い山から見える夜景が望ましいのですが難しいでしょうか?」

水城涼真「うーん、それだと現実的なのは三つ峠山ですかね。いや、でも富士山の夜景は何度も紹介していますから、今回は静岡県の越前岳がいいかもしれません」

片瀬彩羽「越前岳は静岡県のどの辺りになりますか?」

水城涼真「裾野市ですね。どちらかというと東京からのほうがアクセスしやすいです」

片瀬彩羽「それなら今回の取材に清水を同行させていただき夜景写真の撮影をしてもらおうかと思っています。水城さんはルートの詳細などの執筆に集中していただき、写真加工はこちらでおこないます」

水城涼真「えっ!?清水さん他の部なのに大丈夫なんですか?」

片瀬彩羽「私もときどき清水の部の協力しておりますので大丈夫ですよ。清水は土日空いていますし、写真撮影も趣味の一つでフルサイズカメラを持っています」

水城涼真「わかりました。天候がわかりませんが、取材は来週26日か27日になります。アプローチ場所と集合時間は後で片瀬さんにメールを送ります」

片瀬彩羽「了解いたしました。無理を言って申し訳ありませんがよろしくお願いします。交通費など必要経費の領収書は取材後にこちらへ送ってください」


こうして10月26日か27日に静岡県裾野市にある越前岳へ取材にいくことになった。



10月19日午後14時・・・


この日、車に乗って音楽スタジオの駐車場に到着して、水城涼真は音楽器材をトランクから降ろした。ギターを担ぐのも数年ぶりのことだったが、登山に慣れているせいか、そこまで重さを感じなかった。音楽スタジオに入ると店員に「予約していた水城です」と言うと、店員は「少し早いですがBスタジオは空いているのでどうぞ」と言った。2人は早速Bスタジオに入って、音楽器材のセッティングをはじめた。最後にミキサーでマイクの音を調整すると水城涼真は「エコーはほとんど落とすから、ちゃんとお腹から声を出して歌ってほしい」と言って若宮朱莉は「わかった」と答えるとマイクを手に持った。


水城涼真「今からミドルビートで適当な音を出して俺がギターを弾くから、それに合わせて朱莉ちゃんは適当に歌ってみてほしい。歌詞は適当で最後は鼻歌でもええわ」

若宮朱莉「思いつきで歌詞をつけて歌うの?」

水城涼真「そう、これをジャムセッションって言って作曲の基本にもなるんよ。適当に音に合わせて歌ってみてほしい」

若宮朱莉「わかった、やってみる!」


ミドルビートのドラムとベース音がなって、その音に合わせてギターを弾き出した水城涼真は若宮朱莉が歌い出すのを待っていた。すると若宮朱莉は適当な歌詞で音に合わせて歌い出した。途中で歌詞が思いつかなくなって無言になったりしたが、ジャムセッションは5分ほど続いたが途中で水城涼真は音楽を止めた。


若宮朱莉「こんなことしたのはじめてだけど、作曲って難しいよ」

水城涼真「それより朱莉ちゃんの歌い方のほうが問題やわ。あんな、歌ってる時に周りの音を聴いてないやろ?」

若宮朱莉「歌うことに必死になってしまって、周りの音なんて耳に入ってこないよ」

水城涼真「逆やねん。周りの音を聴いて、そのリズムに乗って歌っていかなあかん。それに朱莉ちゃんは自分が前に出ることしか考えてない歌い方なんよ。せっかくベースが前に出てきて音を出してるのに、それをかき消すような感じといえばええんかな」

若宮朱莉「周りの音を聴いて歌うか・・・わかった!」

水城涼真「音楽ってのはボーカルだけじゃなくて、全ての楽曲が一体になってこそやから。今度はそれを意識して歌ってみて!」

若宮朱莉「じゃあ、さっきのをもう一度演奏してみて。今度は意識して歌ってみるよ」


さっきと同じ曲でジャムセッションをはじめたが上手くいかず、休憩を挟んで何度も繰り返した。最初のうちは全く歌わなかったものの、楽曲の音を意識しながら若宮朱莉は歌い出した。音楽が一体となりはじめて、水城涼真もリズムにのりはじめた。若宮朱莉もだんだん慣れてきたようで、適当な歌詞をつけながらだんだんノリノリになって歌っていた。10分以上のジャムセッションが続いてネタが切れたので音楽を止めた。


水城涼真「朱莉ちゃん、かなりよくなったわ。最後のほうはちゃんと他の楽曲も聴けるようになってきてたから、その感覚忘れんようにな」

若宮朱莉「ありがとう。わたしもコツが掴めてきた気がしたよ。でも志帆ちゃんのような歌唱力にはとてもなれそうにないね」

水城涼真「別にそれを比較せんでも、自分の声でオリジナリティを出していけばええよ。音はずしてるところがあったけど、それは慣れていけばなおってくるやろうしな。あとはもう少しお腹から出して声を出すのと、リズム感をもっと身につけることやな」

若宮朱莉「わかった。でもCDデビューなんてやっぱ無理かも」

水城涼真「レコーディングはいくらでもごまかせるからいけると思うけど、ライブは無理やろな」


結局この後、若宮朱莉はシングル曲を出すことになったが人前で歌うことはなかった。



10月26日午後13時30分・・・十里木高原登山口(静岡県裾野市)


この日、朝早くから大阪を出発した水城涼真と若宮朱莉は越前岳にナイトハイクするため、静岡県裾野市の十里木高原駐車場に到着していた。ちなみに今回登る越前岳(標高1504m)は富士山の南側に位置するいくつかのピークがある愛鷹連峰の最高峰で日本二百名山の一つにも数えられている。清水紗理奈との待ち合わせ時間まで少し早かったので車の中で待っていると、下山してくるたくさんの登山者がいた。しばらく待って14時前になると東京ナンバーの黒い4WDクロスカントリー車がやってきた。その車を見た若宮朱莉は「あの車ってまさか!?」と少し驚いた表情をしながら呟いた。するとその黒い4WDクロスカントリー車からなんと天音琴美と清水紗理奈が降りてきたので、水城涼真と若宮朱莉も車から降りた。


天音琴美「水城さん、朱莉ちゃーん、こんにちは!」

若宮朱莉「天音さん、こんにちは・・・ってどういうことですか?」

水城涼真「清水さん、なんで天音さんが来てますん?」

清水紗理奈「夫婦の登山に割り込むのは嫌だったから拉致ってきたんだじょ」

天音琴美「清水さんからお誘いしていただいて、今日はちょうどオフだったから一緒に来させていただきました」

水城涼真「今日は晴天やったからよかったですけど、突然誘うなんて無茶しますね」

清水紗理奈「私は天音さんにいろいろ教えてる師匠なんだじょ~弟子が言う事聞くのは当たり前のことなんだ」

若宮朱莉「でも、天音さんとご一緒できるなんて嬉しいです」

天音琴美「あたしも朱莉ちゃんと一緒に登れるのは嬉しいよ。それにどんな夜景が見れるのか楽しみ!」

水城涼真「とりあえずトワイライトタイムに間に合わないといかんのでさっさと準備して登っていきましょか」


みんな登山準備をすると十里木高原登山口からスタートしていった。


登山口の道標に現在の標高が880m、越前岳まで2.5kmで120分と記載されていた。約標高624mの登りだが途中から山頂までひたすら急登が続くのでそのくらい時間がかかってしまうのだ。まずは高原地帯の階段をひたすら登っていき、上に見える電波塔なところを目指していく。この階段は結構な段差があって少し登りにくくなっている。10分程登っていくと電波塔のようなところの真下に展望台があり、そこで水城涼真は立ち止まって「ここが一番富士山がよく見えるので、清水さん撮影しておいてください」と言った。その展望台は北側の眺望が開けており、迫力ある富士山が真正面によく見える。そこで清水紗理奈が富士山を何枚か撮影するとさらに登っていった。登山口から高原地帯を登って30分程経ったところで、綺麗なベンチが設置されている馬の背見晴台に到着した。この段階で標高1100m弱であるが、道標には越前岳まであと1.3kmで100分と記載されていた。標高約400mの登りでその距離と時間ということはこの先から急登になることが予想できる。


水城涼真「ここで少し休憩するで。この先から急登になって休憩できるところがあんまないから覚悟しといて」

天音琴美「それにしても今日は富士山がよく見えてるね」

若宮朱莉「そうですね。わたし、こんな間近で富士山を見たのは杓子山以来かもです」

水城涼真「俺はもう富士山はええかも。何回見てんって感じやからな」

清水紗理奈「今日をチョイスした水城さんはグッドだ。よくこんな晴天を狙えたな」

水城涼真「いや、俺もここまで晴れてくれるとは思いませんでしたよ」


この馬の背見晴台で10分程休憩すると再び登りはじめた。高原地帯が終わると樹林帯の中へ入っていき急登がはじまった。この付近は木の根地帯といえばいいのか、そういうところの登りがひたすら続いていった。ものすごい急登ってほどでもないが、平坦な場所がないので休めるようなところがない。先頭を歩いていた水城涼真はここからペースダウンをしながら登っていったが、若宮朱莉と天音琴美は少し息を切らしていた。登山口から登りはじめて約1時間、平坦地と書かれた看板が設置されているところに到着した。この看板には越前岳まであと0.6km、50分と記載されていた。水城涼真は「天音さんと朱莉ちゃんがちょっと息を切らしてるみたいやから、ここで立ち休憩しよ」と言った。


若宮朱莉「涼真さん、あと0.6kmなのに50分もかかっちゃうの?」

水城涼真「まあそのくらいかかるやろな。この先も急登が続くんよ」

清水紗理奈「距離だけでコースタイムを予測しちゃだめだってことだじょ!」

天音琴美「清水さんのおっしゃる通りですね。それにしても急登はいいとしても景色が変わらないから飽きてきちゃった」

若宮朱莉「うんうん、わたしも飽きてきちゃいました」


立ち休憩を終えると再び急登がはじまり笹地帯になった。この付近はぬかるんでいて結構滑りやすいので、比較的土が乾いているところを登っていった。そこからさらに40分程樹林帯を登っていくと勢子辻分岐に到着した。ここまでくると越前岳まであと0.1kmで10分であと一登りって感じだ。ここでも少し立ち休憩をすることにした。



午後15時50分・・・越前岳(標高1504m)


勢子辻分岐から登っていくとだだっ広いところに出て、ようやくピーク直下になり上が明るくなってきた。そして登山口から約2時間弱で越前岳の山頂(標高1504m)に到着した。山頂は結構広くて三角点およびベンチやテーブルが設置されおり西側の富士市や駿河湾の眺望が広がっている。みんなザックを置いてベンチに座るととりあえず休憩をした。しばらくすると清水紗理奈がザックの中からカメラの三脚を取りだして設置しはじめると、水城涼真はガスバーナーを出してお湯を沸かしはじめた。


天音琴美「朱莉ちゃん、11月なんだけどまた二人でどこかの山に行かない?」

若宮朱莉「いいですね!11月23日は東京でお仕事なのでその次の日なんていかがですか?」

天音琴美「じゃあ24日は空けておくね。23日は何時頃までお仕事なの?」

若宮朱莉「夕方までですね」

天音琴美「だったら23日の夜、またあたしのラジオにゲスト出演してみない?」

若宮朱莉「いいですよ。マネージャーに言っておきますのでお願いします!」

天音琴美「じゃああたしもプロデューサーに話しておくね。ところで、24日にどこの山に行こうか」

若宮朱莉「どこか登山者の少ないひっそりとした山がいいかもです」

水城涼真「それやったら奥多摩三山の一つ、御前山がええんとちゃう?あんま人気のない山やし静寂でシーンっとした雰囲気やで」

若宮朱莉「そういえば涼真さんそんなこと言ってたね」

天音琴美「あたし奥多摩三山で大岳山と三頭山には登ったけど、御前山はまだ登っていなかったからいいかも!」

水城涼真「檜洞丸とはまた違った雰囲気やけど、俺は御前山好きやったな。ただあそこは車より電車で行ったほうがええわ」

天音琴美「24日は御前山で決定ってということで、朱莉ちゃんまたよろしくね」

若宮朱莉「こちらこそよろしくお願いします!涼真さん、またコース地図をお願いね」


そんな話をしていると水城涼真がドリップコーヒーを紙コップに入れてみんなに配っていった。清水紗理奈は撮影準備をするとベンチに戻ってきてコーヒーを飲みはじめた。


水城涼真「清水さん、夕景の撮影もですが、ここの夜景はトワイライトのわずかな時間が勝負なんで日没後は撮影に集中してください」

清水紗理奈「うむ。夕景後はずっとカメラの前で構えておくから安心するのだ!」

水城涼真「トワイライトタイムが終わるまで何枚も撮影しておくと後で選びやすくなります」

清水紗理奈「そういえば水城さんは片瀬と電話で話していて、一度も私に繋いだことないよな?」

水城涼真「いや、清水さんに繋がれても何話せばええかわかりませんから」

清水紗理奈「まあそうかもしられないが、たまには私の相手をしてもいいのだ」


その後、清水紗理奈は夕景の撮影を終えるとカメラの前でずっとトワイライトタイムを待っていた。日没後、20分程すると空は青と赤のグラデーションへと変化していき、富士市が少しずつ輝きはじめた。ここからのトワイライト夜景は少し距離は離れているものの標高1504mという高い場所であるため、高度感に溢れかえっている富士市や駿河湾の湾曲などの素晴らしい光景を望むことができる。


若宮朱莉「すごく高いところから夜景が見えてるって感じがする」

天音琴美「あたし、こんな高度感ある夜景ってはじめてみたよ。それに青とオレンジのグラデーションになってる空も綺麗!」

水城涼真「まともに市街地から標高1500m差あるから高度感ありありなんよ」

清水紗理奈「この夜景はたしかに素晴らしいじょ!もう30枚は撮影したけど今がベストだな」

若宮朱莉「駿河湾だっけ?地形をかたどってるのも綺麗だね!」


それから間もなくしてトワイライトタイムが終わると駿河湾の湾曲が見えなくなったのと同時にガスが湧いてきて景色が見えなくなってきた。愛鷹連峰は駿河湾からの湿った空気が山に当たってしまいガスが発生しやすいという気象特性がある。清水紗理奈がすぐさま撮影機材をザックに入れると、みんな下山をはじめた。時刻はすでに19時30分になっており、樹林帯の中は真っ暗なのでとてもヘッドライトなしでは下っていけない。ただし、登りと違って下りは早く午後20時50分には十里木高原登山口に戻ってくることができた。みんな「お疲れ様でした」と言うと各自が車に乗り込んで帰っていった。


大阪に戻った水城涼真は急いで今回の越前岳のルート詳細や夜景の見所などの執筆をおこない、10月30日にはアウトドアウォーカーの編集部に提出することができた。



10月31日午後22時30分・・・


若宮朱莉がシャワーを浴び終えた後に水城涼真の部屋で話をしていた。


水城涼真「11月の連休やけど、朱莉ちゃんは土曜日だけが休みやったよな?」

若宮朱莉「うん。日曜日と月曜日はお仕事で名古屋に行かないといけないから」

水城涼真「土曜日は朱莉ちゃんの運転で大台ヶ原に行ってみよか。前々から行きたがってたやろ?」

若宮朱莉「やったぁ!大台ヶ原行ってみたかったから嬉しい!!」

水城涼真「樫田君も呼んでるから運転任せたで!」

若宮朱莉「わかった」


11月2日の山行は大台ヶ原に決定したが、水城涼真の計画するルートなのでまともではないのだろう。

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