三角点山なんて山があったんだ!?
9月8日午後14時・・・
水城涼真と若宮朱莉は自宅近くの中古車販売店を巡っていたが、なかなか思うような車は見つからなかった。自宅のアパートから2駅向こう側の大きな中古車販売店まで足を運んで車から降りた。もうこれで5店舗目だが、ここに欲しい車がなければもうかなり離れた場所まで行かなければならない。2人は並べられている中古車を見て歩いた。そこでシルバーメタリックにダークブルーのパジェロミニを見つけた若宮朱莉が「この車可愛い!」と言った。カーナビ、ETC搭載の走行距離は8.8万キロで車検は1年付きで総額48万円であった。
水城涼真「パジェロミニか。値段はちょっと高いけど車検が1年付いてるからええかもな」
若宮朱莉「涼真さん、この車にしようよ」
水城涼真「朱莉ちゃんがそこまで気に入ったんやったらええけど、もう少し安くできんか交渉してみよか」
若宮朱莉「わたし、そういうの得意だから交渉してみるよ。いくらくらいならいいの?」
水城涼真「そうやな、せめて45万円くらいかな。それかスタッドレスタイヤ付けてほしいわ」
若宮朱莉「わかった。じゃあ店員さんに交渉してくるね!」
若宮朱莉は走って店の中に入っていった。水城涼真はそのパジェロミニのボディーを隅々まで確認していた。それから10分程して若宮朱莉はスーツ姿の店員と一緒に歩いてきた。
若宮朱莉「涼真さん、45万円でスタッドレスタイヤも付けてもらえることになったよ!!」
店員「はじめまして、わたくし山岸と申します。本当にギリギリなんですがタレントの若宮朱莉さんたってのお願いとのことでスタッドレスタイヤを付けて45万円にさせていただきます」
水城涼真「芸能人はこういう時ってお得やな。では、それでお願いします」
店員「保険はいかがなされますか?」
水城涼真「保険はこちらで加入しますので車両情報のコピーなどありますか?」
店員「購入手続きをしていただいた後でお渡しいたしますね」
水城涼真「ナンバープレートだけで構いませんが、納車はいつ頃になりそうですか?」
店員「そうですね・・・お車をとりにこられるのであれば今週の土曜日には納車させていただくことは可能です」
水城涼真「では今週の土曜日に取りに伺わせてもらいます」
店員「では手続の書類を書いていただきますのでこちらへどうぞ」
水城涼真と若宮朱莉は購入手続きをするために店員と一緒に店の中へ入っていった。手続きには1時間程度かかって、ようやく2人は水城涼真の車に乗ってアパートへ向かった。
若宮朱莉「どうして保険は涼真さんが加入するの?」
水城涼真「保険会社を自分で選べるし、セカンドカーとすれば保険料が安いんよ」
若宮朱莉「そうなんだ」
水城涼真「朱莉ちゃん、車を障害物にぶつけるかもしれんけど、人にだけは絶対ぶつけんようにしてな」
若宮朱莉「うん。人身事故とか絶対したくないもん」
水城涼真「運転がうまくなって油断したときが一番危険やで。それと初乗りもかねて来週の日曜日どっかの山に行こか」
若宮朱莉「はじめての運転かぁ・・・それでどこの山に行くの?」
水城涼真「軽い山にしたいけど、ちょっと考えとくわ」
そんな話をしながら2人はアパートへと帰っていった。
9月10日午前11時30分・・・
残暑がある中、水城涼真は執筆活動がないのでパソコンでアニメ動画を見ていた。今日は特にすることがないので、動画を見た後は家事でもしようかと思っていると水城涼真のスマホに着信音が鳴った。すぐさま電話に出てみるとアウトドアウォーカーの雑誌編集部の片瀬彩羽からだった。
片瀬彩羽「水城さん立山以来でお久しぶりです。アウトドアウォーカー編集部の片瀬です。今少しよろしいでしょうか?」
水城涼真「片瀬さんお疲れ様です。今大丈夫ですよ」
片瀬彩羽「新婚生活はいかがですか?」
水城涼真「特に何があるわけでもありませんが、仲良くしていますよ」
片瀬彩羽「それはよかった。ところで水城さんにご執筆をお願いしたいのですが、お忙しいでしょうか?」
水城涼真「いえ、最近は暇ですけど、どのような内容の執筆ですか?」
片瀬彩羽「実は今回、穴場登山という特集を掲載することが決定していまして、あまり人の知られていない低山だけど見所があるといった山の記事を執筆していただきたくお電話させていただきました」
水城涼真「すごい特集ですね。それは関西の山でもいいのでしょうか?」
片瀬彩羽「はい。関東は清水が知っている山を紹介するのですが、関西は水城さんにお願いしたいと考えております」
水城涼真「わかりました。関西のそういう山はいくつか知っていますので、その中から選んで取材に行ってきます」
片瀬彩羽「ありがとうございます。今回は関東と関西の2座で、1座4ページで紹介したいので、できるだけ詳細な写真とルート説明をお願いします」
水城涼真「では、その山の歴史なども調べておきますね」
片瀬彩羽「よろしくお願い致します。最後に清水と代わりましょうか?」
水城涼真「いやいやいや、代わらなくていいですよ」
片瀬彩羽「あははは、そうですか・・・それではまず山が決まりましたらメールでお知らせください。では失礼します」
電話を切った後、水城涼真はすぐさまパソコンで今まで登った関西の山情報一覧を出してきて調べはじめた。特に穴場的な山ということで、思いつく山をピックアップしていった。するとその中に”三角点山”という名前の山が目についた。その三角点山に登った時は病み上がりだったのでかなり記憶にある。たしか空気が澄んでいる時は明石海峡大橋まで見えていた。土曜日にパジェロミニが納車されるので、日曜日に若宮朱莉の運転の練習にもちょうどいい距離でもある。水城涼真はその三角点山に取材に行くことにした。早速、片瀬彩羽にメールでその三角点山の山情報と眺望の写真を送った。それから20分程経って、片瀬彩羽から『そんな名前の山があるんですね。面白いですし、眺望も抜群のようですのでその三角点山でお願いします』という内容のメールが返ってきた。そして日曜日の天気を調べてみると晴れ時々曇りで降水確率は10%の予報だった。
午後22時30分・・・
仕事から帰ってきた若宮朱莉がシャワーを浴び終えて脱衣所から下着姿で直接水城涼真の部屋に入ってきた。それを見た水城涼真は「もう・・・」と呟いた。
水城涼真「Get dressed!(服を着なさい!)」
若宮朱莉「えっ何?」
水城涼真「Have you no shame?(恥ずかしくないんか?)」
若宮朱莉「英語?わかんないよ」
水城涼真「Please don’t enter the room in your underwear.(下着姿で部屋に入ってこないでよ)」
若宮朱莉「アンダーウェア!?あー下着姿のこと言ってるんだ」
水城涼真「中学の英語レベルやで。とにかく服を着てきて!」
若宮朱莉「涼真さんは恥ずかしがり屋なんだね。じゃあ服着てくるね」
そう言って若宮朱莉は隣の部屋へ行って服を着て戻ってきた。
水城涼真「次の日曜日やけど、俺の取材も兼ねてなんやけど三角点山ってところに行こうと思ってるんよ」
若宮朱莉「三角点山!?そんな名前の山があるんだ」
水城涼真「あるんよ。珍しいやろ?それで土曜日にパジェロミニをとりにいくから、日曜日は朱莉ちゃんの運転で連れていってもらう」
若宮朱莉「珍しい!!でも高速道路は使うの?」
水城涼真「いや、一般道で行く。山道やからええ練習になるやろって思ってな」
若宮朱莉「わかった。わたし、がんばって運転するね」
水城涼真「それで帰りは温泉入って美味しいラーメン食べに行こか」
若宮朱莉「登山後の温泉とラーメンいいよね。すっごく楽しみ!」
そういうことで9月15日の日曜日は三角点山に行くことになった。
9月15日午前5時40分・・・
昨日、中古車販売店へパジェロミニをとりにいった。駐車場は水城涼真の所有地なので、駐車場所は水城涼真の車の隣にしていた。目覚まし時計が鳴って起床した水城涼真と若宮朱莉は目覚めのコーヒーを飲んだ後、ザックを背負って部屋を出た。駐車場に着くと、若宮朱莉は初心者マークをパジェロミニに取りつけた。トランクにザックを積み込むと若宮朱莉が運転席に、水城涼真が助手席に座った。
水城涼真「ちょっとナビ合わせるから待ってな」
若宮朱莉「うん」
カーナビをアプローチ場所である兵庫県西脇市の岡稲荷神社に合わせて一般優先にセットすると水城涼真は「カーナビの指示に従って進んでいってな」と言った。若宮朱莉が車を発進させるとカーナビの指示に従って進んでいった。速度は少し遅めだが初心者にしてはスムーズに運転してたので水城涼真は黙って前を見ていた。若宮朱莉が車の運転をしはじめて30分程が経過したところで、水城涼真は話はじめた。
水城涼真「朱莉ちゃん、赤信号で停まるときもやけどほぼ急ブレーキになってるから、自分が思ってるより少し前くらいにゆっくりブレーキをかけていくようにするとええわ」
若宮朱莉「タイミングが難しいな」
水城涼真「前の車がブレーキかけたら、こっちも同じタイミングでブレーキ踏んで停まっていく速度を合わせていく感じかな」
若宮朱莉「なるほど・・・ちょっと練習してみるね」
ところが若宮朱莉にとってこのブレーキを踏むタイミングというのが予想以上に難しく、やはり急ブレーキのようになってしまう。これから運転をしていって慣れていくしかないのだ。その後、国道に入ると少し渋滞に巻き込まれた。
若宮朱莉「大阪って交通量多いから運転が難しいけど、東京はもっと難しくなるのかな?」
水城涼真「いや、東京のほうがまだ運転しやすいわ。大阪は交通量もやけどマナーの悪いドライバーが多いし、道もごちゃごちゃしてるからな」
そんな話をしていると渋滞を抜けて走り出した。途中でコンビニに立ち寄って再び若宮朱莉が運転をはじめた。しばらく2車線の広いバイパスを走っていたのだが運転に何の問題もなかった。しかし、バイパスを抜けた先からカーブが連続する山道に入った。若宮朱莉は真剣な表情をしながら必死にハンドルを切ったりブレーキを踏んだりしながら山道を走っていた。もちろん速度はかなり落ちて、何度か後ろの車に追い越されていった。そしてカーブの連続が終わったところで信号待ちとなった。
若宮朱莉「はぁ、山道は運転に気をつかっちゃう」
水城涼真「朱莉ちゃんは目の前しか見てないんやけど、もっと遠くを見て運転するようにしたら上手くなるわ」
若宮朱莉「遠くってどういうこと?」
水城涼真「たとえばカーブやけど、俺はカーブにさしかかったときにもうカーブの終わりのほうを見てハンドルを切ってるんよ。普通の道路でも数台前の車まで見て運転してる。高速道路なんかは本当に遠くを見て運転せんと怖いしな」
若宮朱莉「うーん、無理に遠くを見るようにするのって今は怖いかも」
水城涼真「まあそれは慣れやな。カーブもどちらかというと感覚で身につけるもんやから、これからときどきドライブして山道走るのがええかも」
信号が青になったので進んでいったが、その先からは山道が終わって交通量が少ない道路をひたすらナビに従って走らせていた。
午前7時50分・・・岡稲荷神社
若宮朱莉の運転で2時間程経ってようやくアプローチポイントである岡稲荷神社に到着した。神社の隣にちょうどいい駐車スペースがあったので若宮朱莉はバックでそこに駐車した。初心者でありながらバックの駐車は意外と上手であった。2人は車から降りてトランクからザックを取りだした。
水城涼真「朱莉ちゃん、初心者にしてはバックの駐車は上手いやん」
若宮朱莉「教習所の教官にもそう言われたんだけど、なんとなく感覚でわかるの」
ちなみにこれから登る三角点山というのは地元の人による愛称がその名の由来とされている。もちろん標高457mの山頂には二等三角点が設置されており修験の祠跡がある。そして今回は愛宕コースで登って眺望が良いとされる南福谷コースで下る時計回りのルートを予定している。登山道は整備されており道標もきっちり設置されているので初心者向けのコースといえるだろう。
水城涼真「まずは岡稲荷神社のこの階段を登っていくで。今回は写真撮らなあかんから俺が先頭いくわな」
若宮朱莉「うん。この階段って赤い鳥居が並んでて伏見稲荷みたい!」
若宮朱莉のいう通り伏見稲荷を思い出させるような赤い鳥居が並んでいる階段を登っていった。階段を登りきったところで岡稲荷神社の本殿があり、その左手に愛宕ルートの登山口があった。そこには”山頂まで1400m”と書かれた看板が立っていた。その登山口から入山すると、まずは少し滑りやすいガレ場の登りになった。ここは急登とまではいかないが、ほぼ直登になっているガレ場なのでペースダウンしていた。そこを10分程登っていくとガレ場が終わって尾根道に取り付いた。
午前8時30分・・・愛宕祠(標高323m)
尾根道は日陰になっているところなどは落ち葉が多く滑りやすかったが、ときどき急斜面を避ける巻道のようなところがあるのは有難かった。それから10分程経ったところの標高323m地点に愛宕祠あった。登山口付近の看板には標高409m付近に愛宕祠があると書かれていたのだが、水城涼真はあらかじめ調べていたのでここで間違いないと確信していた。愛宕祠とは京都の愛宕神社の分霊で、大志野郷(現在の兵庫県西脇市黒田庄町)の穏やかな平和を願って見守っている祠のことである。
若宮朱莉「これが愛宕祠?なんだか小さくて可愛い家みたいだね」
水城涼真「なんか京都の愛宕神社と関係ある祠らしいわ」
若宮朱莉「愛宕神社って愛宕山の山頂にあるんだっけ?」
水城涼真「そそそ、まああの山は二度と登らんけど、廃線ルートは面白かったな」
若宮朱莉「涼真さんが二度と登りたくない山がまだあったんだね」
水城涼真「俺、宗教臭い山には登りたくないんよ。あとは富士山とか東京の高尾山、あとは鈴鹿の御在所岳みたいな山のレジャー施設みたいなところにも登りたくないな」
若宮朱莉「宗教臭い山って愛宕山くらいじゃない?」
水城涼真「大峰の山上ヶ岳もそうやな。この時代に女人禁制とか意味わからんことしてるしな」
そんな話をして立ち止まっていると休憩にもなった。
午前9時・・・三角点山(標高457m)
愛宕祠から3分程登ったところに少し大きめの岩がくりぬかれて作られた祠のようなものがあった。その中には地蔵が置かれていたが、水城涼真は何を意味しているのかわからなかった。そこから先は岩場の登りになりその先には山頂まであと500mの看板がでてきた。あらかじめ地図を確認していた水城涼真は「ここからなだらかな登りになるからテクテクいこ」と言った。そして山頂まであと300mの看板がでてきたところで最後のちょっとした登りになった。山頂の手前まで登ると西脇市がよく見えるポイントがあった。そこで若宮朱莉が「景色いいところあるよ」と言ったが、水城涼真は「この先でもっといいところがあるから」と言って通過した。山頂直下で下山ルートとなる南福谷コースとの分岐点があり、そこを左に登ったところで三角点山の山頂(標高457m)に到着した。本当は40分程で登れるのだが、今回は撮影も兼ねていたので1時間程かかった。山頂は少し広い場所になっており、真ん中には点名は上比延という三角点が設置されていた。そして少し樹林に遮られているが、西脇市最高峰の西光寺山などの山々から西脇市、遠く海が見えてうっすらと明石海峡大橋が望めた。
水城涼真「まあ1時間くらいで登ってこれたな。ここで紅茶でも作って少しまったりしよか」
若宮朱莉「コーヒーじゃなくて紅茶って珍しいね」
水城涼真「たまにはええやん」
若宮朱莉「そうだね。それにしてもここが三角点山かぁ。面白い山名だから天音さんに送ろっと」
水城涼真「じゃあ朱莉ちゃんのスマホで記念撮影しよか。その山頂看板の横に座って!三角点と一緒に撮るわ」
若宮朱莉「ここだよね」
水城涼真は若宮朱莉のスマホで何枚か撮影した。その後、お湯を沸かしている間に若宮朱莉は山頂からの景色を眺めていた。
若宮朱莉「涼真さん、あの一番高い山は何かわかる?」
水城涼真「あれは西脇市最高峰の西光寺山やな。西脇市の向こう側に明石海峡大橋が見えるはずやで」
若宮朱莉「えっと・・・本当だ!よく見ると海と橋が見えてる」
水城涼真「お湯が沸いたけど、朱莉ちゃんは紅茶に砂糖入れたい?」
若宮朱莉「砂糖なしでいいよ。それと市街地の真ん中に流れてる川は何かわかる?」
水城涼真「あれは加古川やな。紅茶できたからカップここに置いとくで」
そうして2人は紅茶を飲みながら山頂でまったりとしていた。
午前10時15分・・・南福谷コース登山口
山頂で30分くらいまったりしていていよいよ下山することにした。南福谷コースの下りは最初岩場の急斜面で少し滑りやすい。その急斜面では注意しながら下っていくと、途中で眺望の岩場と呼ばれる視界の広がった場所があった。2人もそこで立ち止まって少し景色を眺めていた。
若宮朱莉「市街地の真ん中に一つだけポツンと台形みたいな山があるけど、あれは何かわかる?」
水城涼真「あれは俺も調べたことあるんやけど標高210mの無名の山みたいやわ」
若宮朱莉「無名の山なんだ・・・登れないの?」
水城涼真「一応国土地理院地図の破線はあるから登れるんやろうけど、なんもないんとちゃうかな」
そんな話をして景色を撮影し終えると下山をしていった。結構下ったところで山頂まで500mの看板が立っていた。その看板を見るとこの南福谷コースのほうが登りはしんどいのかもしれない。そこから少し下ったところで尾根の分岐点があった。ここだけ道標がないので注意しないといけないが踏み跡や方向から考えて右が正解だとすぐわかる。ちなみにその分岐で左側の尾根へ行くとP339など全く別の場所に下ってしまう。そこからさらに下ったところで下り道が終わるが、靴が汚れてしまうぬかるみがある。水城涼真はなんとかそのぬかるみを避けて歩いてみたものの、完全には避けることはできず靴が少し汚れてしまった。そして南福谷コース登山口の入山口を出ると林道になり岡稲荷神社ほうへ歩いていった。
午前10時20分・・・岡稲荷神社~温泉とラーメン屋
岡稲荷神社の駐車場所に戻った2人はトランクにザックを積み込んで、登山靴からクロックスに履き替えた。
水城涼真「朱莉ちゃん、温泉とラーメン屋の場所はややこしいから俺が運転するわ」
若宮朱莉「わかった。じゃあ車の鍵渡すね」
2人は車に乗り込むと岡稲荷神社を後にして目的の温泉に向かって車を走らせた。20分程車を走らせると温泉に到着したが営業時間が午前11時からだったので2人は車の中で待っていた。
若宮朱莉「やっぱり涼真さんは運転が上手だね」
水城涼真「いや、朱莉ちゃんは運転しはじめたからそう見えるだけで普通やって」
若宮朱莉「うーん、やっぱり慣れなんだね」
水城涼真「この温泉は30分くらいで出てくるようにしよ。正午になったらラーメン屋が混みそうやからな」
若宮朱莉「わかった」
11時になって温泉が営業をはじめると2人はすぐに店内に入っていった。その温泉には30分程滞在して2人は出てきて車に乗り込んでラーメン屋に向かった。10分程車を走らせて目的のラーメン屋に到着すると、若宮朱莉は「もうお腹ペコペコ」といってさっさと車から降りた。2人はラーメン屋の店内に入ると既にたくさんのお客さんがいたのだが、ちょうど2席だけ空いていたので店員に案内されて座った。店内はカフェのようなオシャレな感じになっていてとてもラーメン屋とは思えない。水城涼真は濃厚鶏白湯ラーメンとご飯小、若宮朱莉は濃厚鶏白湯ラーメン大盛とご飯中を注文した。それから15分程経って注文した料理が運ばれてきた。
綺麗に泡だてられた濃厚な鶏白湯スープはとてもクリーミーで鶏の旨味が凝縮されており少しとろみがあった。麺は中細ストレートで麺で弾力があってスープとの相性はバッチリである。そして煮玉子とジューシーなチャーシューが2枚がトッピングされている。
水城涼真「いつもドロ系の豚骨やったけど、たまには鶏白湯ラーメンもええやろ」
若宮朱莉「うんうん!スープは濃厚で鶏の旨味があってすっごく美味しい!それにこの麺ならいくらでも食べれそう」
水城涼真「それにしてもやっぱ朱莉ちゃんは食べ過ぎのような気がするわ。そのうち太ってくるで」
若宮朱莉「わたし、お昼はいつもこのくらい食べてるから大丈夫だよ」
水城涼真「ホンマに朱莉ちゃんは夜は何も食べへんもんな。でもどんな胃袋してるんか見てみたいわ」
麺を啜り終えると2人はご飯をスープの中にダイブした。少しレンゲでかき混ぜると鶏白湯の雑炊みたいな感じになった。
若宮朱莉「このスープはご飯にも合うんだね!!」
水城涼真「濃厚でクリーミーなスープやから合うんやろな」
結局2人はスープまで飲み干してしまった。ラーメン屋を出ると水城涼真は「じゃあ最後も朱莉ちゃんが運転な」と言って車の鍵を渡すと、若宮朱莉は運転席に乗って車を発進させた。車体の感覚が掴めてきたのか、若宮朱莉の運転は結構スムーズになっており無事に帰宅することができた。
その夜、天音琴美から『三角点山!?そんな名前の山があるんだ。面白いね!』というSNSの返信メッセージが若宮朱莉のスマホに届いた。




