念願の双門の滝へ行ってみました
7月27日午前5時30分・・・
目覚まし時計が鳴って目を覚ました水城涼真と若宮朱莉はすぐに着替えて登山の準備をした。今日は若宮朱莉の希望で双門の滝壺へ行く予定だが、有本淳史も同行することになった。
若宮朱莉「涼真さん、双門の滝壺に飛び込むなら着替えを持っていったほうがいいかな?」
水城涼真「どうせすぐ乾くからええんとちゃうか。着替え持っていったらかさばるやろ」
若宮朱莉「じゃあバスタオルだけ持っていくね」
水城涼真「熊除けの鈴は忘れんようにな。トサカ尾根は誰も歩いてないから熊が出てもおかしくないんよ」
若宮朱莉「うん。ちゃんとザックの中に入れてるから大丈夫」
登山の準備を終えると2人は駐車場へ向かい、車に乗り込んで駅へ走らせた。午前6時に有本淳史と吹田駅で待ち合わせになっていたが、やはり早く着いてしまった。天候は晴れ時々曇りで登山日和ではあるものの、天川村の最高気温は32℃とかなり暑い。しばらくすると駅の出口から有本淳史が出てきた。水城涼真は車を降りて有本淳史のほうへ走っていくと「おはよう」と挨拶をした。
有本淳史「おはようございます。久しぶりの双門の滝壺っすよね!?」
若宮朱莉「あっちゃん、おはようございます」
有本淳史は「朱莉ちゃん、ういっす!」と言うと車のトランクに荷物を積んで後部座席に座った。そして天川村に向かって車を走らせると、有本淳史が手提げバックの中から500mlの缶ビールを出して飲みはじめた。
水城涼真「あっちゃん、朝からよー飲むわ」
有本淳史「今日はそないに持ってきてないっすよ。ちょっと喉が渇いたので駅のコンビニで買ってきたんす」
若宮朱莉「あっちゃんお酒強いもんね」
有本淳史「そういえば、朱莉ちゃんの結婚会見、テレビで見てたよ。あの発言やと誰も反論はできんやろうね」
若宮朱莉「ありがとうございます。あの会見以来、逆にファンの方々から励ましの言葉や応援のメッセージをいただけて本当によかったです」
水城涼真「まあ、あそこまで発言してファンが離れていったらそれまでやったってことやわ」
若宮朱莉「売れっ子のアイドルだったらいろいろ批判は受けるかもだけど、わたしはタレントだから」
有本淳史「そういえば琴美ちゃんも東京でマスコミから質問されてたね」
若宮朱莉「天音さんのあのコメントはとても有難かったです!」
そんな話をしながら車を走らせていると1時間程が経って大峰に行くときにいつも立ち寄るコンビニに到着した。3人は車から降りてコンビニへ入ると行動食と水2リットル、昼食用のカップ麺、おにぎりを購入した。買い物を済ませると有本淳史はタバコを吸いにいき、水城涼真と若宮朱莉は車へ戻った。
水城涼真「毎回やけど朝早くからの車の運転は眠いなあ」
若宮朱莉「やっぱりわたしも車の免許取ろうか?」
水城涼真「朱莉ちゃん忙しいやろ?教習所に通ってる時間ないんとちゃう」
若宮朱莉「この前、教習所のパンフレット見てたんだけど、少しお金かければ1ヵ月で取れるみたい」
水城涼真「あー優先して教習を受けれるコースやな」
若宮朱莉「そう。天音さんもそれで免許取ったらしいの」
水城涼真「8月はまだ特に予定はないから、そのうちに取りにいってみる?」
若宮朱莉「うん。8月はわたしもお仕事が少ないからちょうどいいかも」
水城涼真「じゃあ明日にでも早速その教習所に行って申し込んだらええわ」
若宮朱莉「善は急げだね。ところで涼真さんって普通免許だけじゃなくて、他にも取ってるよね?」
水城涼真「あとは大型二輪と大型免許の2つだけやで」
若宮朱莉「バイクの免許も持っているんだ!?今はもう乗らないの?」
水城涼真「昔はバイクでツーリングに行くのが好きで、仙台まで行ったことあるけど、もう面倒やから車しか乗ってないけどな」
若宮朱莉「仙台までバイクで行ったなんてすごい!大阪からだよね?」
水城涼真「大阪からやけど、東京で一泊したからぶっ通しやないけどな。しんどいし腰がかなり痛かったわ」
若宮朱莉「車と違ってかなり辛そうだね」
そこに有本淳史が戻ってきたので、さっさと天川村に向かって車を走らせた。
午前8時10分・・・熊渡~白川八丁
双門ルートの入口といえる国道309号線沿いの橋が架かっている熊渡に到着した。路肩が広くなっている場所に水城涼真は車を駐車した。車から降りると3人はハーネスを装着してヘルメットをかぶって登山準備を終えると橋を渡り、柵を超えて林道へ入った。
若宮朱莉「またこの長い林道を歩かないといけないんだね」
水城涼真「しゃーないわ。ここ通らんと今回予定してるルートには行かれへんからな」
有本淳史「僕はこの林道平気っすよ」
若宮朱莉「この林道嫌い!」
この林道は相変わらず砂利道になっていて非常に歩きにくく全く景色が変わらない。若宮朱莉が文句を呟きながらも3人は林道をひたすら歩いていった。40分程経つと林道の終点である弥山川・金引橋分岐に到着した。
水城涼真「やっと分岐に到着したな。何回歩いてもこの林道は慣れへんわ」
若宮朱莉「やっぱり長かったね」
有本淳史「涼真さん、今回も金引尾根から行くんっすか?」
水城涼真「いや、今回は白川八丁からトサカ尾根に登っていこうと思ってるんよ。反対周りのほうが楽やろうし」
3人は分岐から弥山川のほうへ下っていくと白川八丁に到着した。ここは白い岩が大半を占めており、弥山川の水が岩の下や隙間などに潜り込んでいるため、夏でも少し冷っとする場所である。白川八丁から左側の対岸のほうを少し歩いているとちょっとした苔地帯があって、細い枝に赤テープが巻かれていた。
水城涼真「よし、この赤テープのところから登っていくで」
有本淳史「こんなところに赤テープが巻かれてたんっすね」
水城涼真「これは俺が数年前にトサカ尾根まで巻いていったテープなんよ。まだ残っててよかったわ」
若宮朱莉「涼真さん、少し左側が尾根のようになっているけど、そっちから登らないの?」
水城涼真「そっち側は崖になっててとても登られへんねん。もっと左側から巻けるかもしれんけど、よーわからんからここからがええわ」
たとえ赤テープを見失ったとしても、水城涼真はトサカ尾根までどのように登っていけばいいのか頭にきっちり入っている。そうして3人は白川八丁からその赤テープを辿って登っていった。まず最初の登りは谷を詰めていくことになったが、ガレ場になっていてなかなか前に進まない。標高100mほど谷を詰めていくと小さな滝があり、そこを右から巻いていき登り詰めたところで斜め左へと登っていった。そこからわずかだがものすごい急斜面になっており、左側に尾根が見えてきた。
若宮朱莉「すごい急斜面!ここはちょっと怖いかも。そろそろ左側に見えてる尾根に登らないの?」
水城涼真「いや、こんな急斜面で左の尾根には登られへんから、ここからゆっくり斜め左へ登っていかな危ないんよ」
有本淳史「たしかにここからいきなり左の尾根に登るのは危ないっすね」
水城涼真「距離的にはあともう少しで尾根に取り付いて斜面も楽になるわ」
若宮朱莉「こんなところ登る人なんていないんじゃない?」
水城涼真「まあおらんやろうな」
それから3人は水城涼真の言った通りゆっくりと斜め左へと登っていき、ようやく尾根に取り付いて斜面が楽になった。
午前10時20分・・・トサカ尾山(標高1119m)とトサカ尾根
白川八丁から1時間程登ってトサカ尾根に取り付くと、まずはトサカ尾山のピークハントをするため尾根を左に行った。トサカ尾山のピークを目指して登っていくと尾根道はだんだん荒れてきて大きな岩が見えた。そこから結構な急斜面になっており、その先では枝をかき分けながら岩を登っていくことになった。そしてピークまで登り詰めるとついにトサカ尾山(標高1119m)に到着した。ピークは狭く樹林帯に覆われており、木にはトサカ尾山と書かれた金属製の薄いプレートが巻かれていた。その下には二等三角点と「点名:北角」と書かれた木のプレートが置かれていた。
若宮朱莉「プレートに書いているけど、この三角点って明治36年6月17日に設置されたんだね」
水城涼真「明治時代にここに登った人がいたってことやな」
若宮朱莉「よくこんなところに登ったよね。昔の人ってすごい」
有本淳史「僕らみたいなもの好きが登ったんとちゃいます?」
水城涼真「そんなわけないやん!さあ、ちょっと休憩したら出発しよか」
しばらく休憩して3人はトサカ尾根を戻っていき、ザンキ平の肩を目指した。トサカ尾根を歩いていると周りが植林から自然林へと変わっていった。すこし大きな木や倒木など、どこを見ても秘境感に溢れかえっていた。
若宮朱莉「トサカ尾根って秘境感があって、歩いていて楽しい!」
水城涼真「ここも人があまり入り込まない尾根やからな」
トサカ尾山から40分程歩いたところで岩場の下りになっており、かなり古くなっている残地ロープが巻かれていた。この岩場は足を伸ばせばロープを使わなくても下れそうだが、踏み外して落ちると大けがするような高さである。ここで水城涼真は少し考えていたが、有本淳史が「先に僕が下りますわ」と言った。すると有本淳史は後ろ向きになって岩を掴むと足を伸ばしてなんとか下りていった。
若宮朱莉「涼真さん、わたしの足だと届きそうにないから懸垂下降していい?」
水城涼真「せやな。女の人には厳しそうやからロープ出すわ」
水城涼真はザックの中からロープを出して近くの木に巻きつけると若宮朱莉はそのまま懸垂下降をして下っていった。せっかくロープを出したので水城涼真も懸垂下降で下っていって最後にロープを回収した。それからさらにトサカ尾根を歩いていると自然林のパラダイスともいうべき雰囲気になっていき、さらに秘境感が増していった。ずっとなだらかな登りが続いていたが、標高1300mを越えたあたりから次第に登りがキツくなってきた。
有本淳史「涼真さん、どの辺からトラバースしていくか覚えてますか?」
水城涼真「この斜面を登り詰めたら一旦なだらかになるんよ。そこから少し登ったところやけど、なだらかになったところで一旦休憩しよか」
若宮朱莉「トサカ尾根って迷ヶ岳まで続いているんだよね?」
水城涼真「そうや。ちょうど迷ヶ岳のピークへ登りはじめたところくらいからトラバースしていくんよ」
水城涼真の言った通り、ちょっとした急斜面を登り詰めたところで一旦斜面がなだらかになったので3人は休憩した。トサカ尾山から約2時間程経ってからの休憩で少し疲れていた。問題はこの先のトラバースポイントで、わずかな踏み跡しかなく非常に見落としやすいのだ。そこを間違えると急斜面のトラバースになってしまって危険なのである。
午後12時50分・・・ザンキ平の肩~双門の滝壺
十分に休憩を終えると少し登っていきながら水城涼真は右側の景色を注意深く見ていた。するとわずかであったが踏み跡が二手に別れているポイントがあった。水城涼真は立ち止まって「よし、ここや!」と言って右の道へ折れた。そこからザンキ平の肩までトラバースしていくのだが、細い道ではあるものの、たしかにおだやかな斜面になっていた。その斜面に沿ってトラバースしていくと、途中で谷を無理矢理トラバースするポイントもあった。このトラバース道は誰が発見したものかわからないが、よく見つけたといった感じだろう。そしてトラバースをはじめて30分程経った午後12時50分、無事にザンキ平の肩に到着した。
水城涼真「ちょっと早いけど、この後が大変やからここで休憩しとこか」
若宮朱莉「ザンキ平の肩、懐かしいな」
有本淳史「双門の滝壺までの道が崩壊してないといいっすね」
水城涼真「それだけはわからんけど大丈夫やと思うわ」
若宮朱莉「ここから双門の滝壺までそんな大変なの?」
水城涼真「登り返しが大変なんよ。かなりの急登になってるからな」
有本淳史「涼真さん、あの時相当息切らしてましたもんね」
休憩を終えると、いよいよ双門の滝壺へ向かっていった。ザンキ平の肩から少し下ったところの右手に笹原が広がっていた。そこで水城涼真は立ち止まって「さあここからやで」と言った。
若宮朱莉「道がないけど、まさかこの笹地帯を下っていくの?」
水城涼真「道なんてあるわけないやん。この笹地帯を斜め右に下っていくんよ」
若宮朱莉「本当に無理矢理なんだね」
有本淳史「無理矢理やで」
水城涼真を先頭に3人は笹原を斜め右に下っていくと樹林帯の中に入った。浮石が多く、持つところも限られているところが数か所あるが、ほぼ無理矢理下っていった。そこから少し下ったところからテープが巻かれてあったのでそれを辿っていった。途中で二か所ほど滑落すると助からないような細い場所をトラバースしていった。水城涼真は時折後ろを振り向いて若宮朱莉のことを心配していた。危険地帯を通過して樹林帯を抜けたところが高さ5m程の断崖絶壁になっていたが、そこでようやく双門の滝壺が見えた。水城涼真はザックからロープを出して近くの木に巻きつけて懸垂下降の準備をした。最初に水城涼真が懸垂下降をして下っていくと、続いて若宮朱莉が懸垂下降をして下り、最後に有本淳史が懸垂下降をして下った。時刻13時40分過ぎ、ついに3人は双門の滝壺に到着した。そこは滝の流れる音だけが響いており、周りはシーンとしている。そして普通の滝では見ることのできないような大きな岩盤がそびえている。見上げると落差約70mという高さから流れている水は迫力満載である。
若宮朱莉「やったぁ!これが念願の双門の滝壺なんだ。本当に神秘的な場所だね」
水城涼真「ここはやっぱ神秘の滝壺って感じやな」
若宮朱莉「あんな高いところから水が流れているなんてすごい!」
有本淳史「先昼食にします?」
水城涼真「せやな。朱莉ちゃんもお腹ペコペコやろ」
若宮朱莉「うん。もうお腹ペコペコだよ」
3人はザックからガスバーナーを出してお湯を沸かしはじめた。するとどこからか「おーい」という大きな声が聴こえてきた。おそらく仙人嵓前のテラスから誰かが呼んでいるのだろうけど、双門の滝壺からは見えなかった。その呼び声に対して若宮朱莉も「おーい」と大きな声で叫んでみたが返事はなかった。それからカップ麺にお湯を注いで少ししてから3人はおにぎりと一緒に食べた。昼食を終えた後、若宮朱莉の記念撮影をした。
若宮朱莉「この写真、天音さんに送って自慢しちゃうね」
水城涼真「天音さんに送っても双門の滝壺を知らんからわからんやろ」
若宮朱莉「あっ!涼真さん、滝壺に魚が泳いでるよ」
水城涼真「ホンマやな。どっから泳いできたんやろな」
有本淳史「そろそろ飛び込んでもええっすか?」
水城涼真「そうやな。朱莉ちゃんはどうする?」
若宮朱莉「わたしもせっかくだから飛び込むよ」
最初に有本淳史が頭から双門の滝壺へ飛び込むと若宮朱莉が「すごい!あっちゃん、頭から飛び込んだよ」と驚いた。続いて若宮朱莉が双門の滝壺へ飛び込んだ。
有本淳史「最高っすよ!」
若宮朱莉「ひゃぁー冷たいけど気持ちいい!!」
有本淳史「涼真さんは飛び込まないんすか?」
水城涼真「俺はええよ。絶対寒いもん」
若宮朱莉「たしかに寒くなってきた」
それから有本淳史と若宮朱莉は滝壺から上がってくるとさっさと下山の準備をしはじめた。
午後15時50分・・・ナベの耳~金引尾根
双門の滝壺を後にした3人はまず懸垂下降をした岩場を登っていった。この岩場ではロープを出す必要なくホールドポイントもあるのでスムーズに登っていくことができた。そこからの登り返しが大変だった。危険地帯となっている場所はスムーズに通過できたが、その先からは双門ルートの合流地点まで激急登が続くのだ。有本淳史は軽々とその斜面を登り返していったが、若宮朱莉は完全に息を切らしていた。もはや10歩進むごとに立ち休憩を入れての繰り返しをしながら登っていった。そして双門の滝壺から約40分程で双門ルートとの合流地点に到着した。
若宮朱莉「はぁはぁはぁはぁはぁ・・・超しんどかったよ」
水城涼真「はぁーやっと戻ってこれたな」
有本淳史「このくらい余裕っすよ」
若宮朱莉「あっちゃん、体力ありすぎです」
水城涼真「じゃあ息を整えたらさっさと行こか。ここは狭いからあんま休憩はできへんしな」
少し休憩をして息を整えると3人はそのまま双門ルートを進んでいった。沢筋まで下った地点、旧河原小屋の手前から双門ルートのエスケープルートとなっているナベの耳への登りになる。ところがこのルートに踏み跡はなくほぼ無理矢理登っていかなければならない。対岸で3人は少し休憩をして完全に息を整えるとナベの耳を目指して登りはじめた。
若宮朱莉「ねえ涼真さん、ここってエスケープルートだよね?なんだか無理矢理登ってる感じがするんだけど・・・」
水城涼真「無理矢理やで。踏み跡もなんもないから方角だけ確認しながら登ってるんよ」
ナベの耳までわずか標高200mの登りなのだが、方角だけ合わせて登っているのでルーファイが大変である。標高100m程登ったところから斜め右へと登っていくと、斜面はだんだん緩やかになっていった。そして斜面を登り詰めたところでナベの耳と思われる場所に到着して川合道と合流した。この時点で時刻は既に15時50分になっていた。そのまま頂仙岳を巻いて川合道を北に進んでいくと金引尾根分岐地点に到着した。
水城涼真「もうぶっ通しで歩いてきたからこの辺で大休憩にしよか」
若宮朱莉「もう疲れちゃった。あとは下って林道を歩くだけだったよね?」
水城涼真「そうや。まあ暗くなるまでには熊渡に戻れるやろ」
そんな話をしながら休憩時間を終えると3人は金引尾根を下っていった。
午後18時20分・・・熊渡
金引尾根は標高約1450mから標高約850mまで一気に下ることになるのだが、やはり九十九折というつづら折れの道では、沢の音が聴こえていながらもなかなか金引橋まで到着しないので精神的に疲れてくる。そんな金引尾根を3人はひたすら下り続けて、ようやく金引橋に到着した。林道終点の弥山川・金引橋分岐のところで約10分ほど休憩をとって、最後に長い林道を熊渡へ向かって歩き続けた。若宮朱莉は何度か「やっぱりこの林道嫌い!」と呟きながら歩いていた。金引橋から約40分程歩いていって、ついに3人は熊渡へ戻ってくることができた。時刻は既に18時20分になっていて、暗くなる直前だった。
水城涼真「ようやく戻ってこれたか。やっぱ最後の林道歩きは長かったな」
若宮朱莉「お疲れ様でした。なんか今日は最後の林道歩きが長い感じがした」
有本淳史「このままもう直行で帰ります?温泉行くなら僕待ってますけど・・・」
水城涼真「いや、もう遅くなったから直行で帰るわ」
3人はトランクに荷物を積み込むと、車に乗ってさっさと大阪へ帰っていった。
7月28日午前11時30分・・・
水城涼真と若宮朱莉はパンフレットに乗っていた自動車教習所へ行ってAT車限定の教習の申し込みをした。優先して教習を受けれるコースだったので少し料金は高かった。若宮朱莉は申込書の名前の欄に本条明里と書いてしまっていたので水城涼真は指摘した。
水城涼真「朱莉ちゃん、名前間違ってるやん。もう本条やないからな」
若宮朱莉「そうだった、今は水城明里だったね」
水城涼真「教習料金は俺も出そか?」
若宮朱莉「いいよ。自分のことだからわたしが出すよ」
そう言って若宮朱莉はクレジット一括払いで教習料金を支払った。




