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憧れの剱岳に登りました

7月13日午前8時40分・・・大汝山(標高3015m)~富士ノ折立(標高2999m)


清水紗理奈と片瀬彩羽の2人と別れた5人は立山の稜線を歩いていき大汝山を目指した。結婚式を終えても何も変わらない水城涼真と若宮朱莉はいつもの登山スタイルで歩いていた。雄山から歩いて30分程で立山の最高峰である大汝山(標高3015m)に到着した。ここでは水城涼真と若宮朱莉の記念撮影、そして天音琴美と若宮朱莉が2人並んで記念撮影をするなど、みんな記念撮影をしていた。そこにクルクルという鳴き声が聞こえてきたので辺りをみてみると、雷鳥を見ることができた。


若宮朱莉「わたし、雷鳥なんてはじめてみたけど可愛い!」

天音琴美「あたしもこんな間近で見たのははじめて見たけど、とても可愛いね!」


雷鳥を見てテンションが上がっていた2人だが、水城涼真は「先を急ごう」と言って、そのまま稜線を歩いていった。それからさらに30分程歩いていくと富士ノ折立(標高2999m)に到着した。ここでは記念撮影はしなかったが、一応10分程休憩となった。ここから真砂岳、別山まではアップダウンがあって、結構疲れそうなルートになっているのだ。


天音琴美「あそこが別山だよね?まだまだ遠い感じがするね」

有本淳史「あのくらい余裕よ」

天音琴美「あっちゃん、さっきから息切らしてないけどタフだね」

有本淳史「ふふふ・・・気のせいとちゃう?」

若宮朱莉「気のせいなんかじゃなくて、あっちゃんは本当にタフなんですよ」

水城涼真は「あっちゃんの体力はとんでもないからな」

樫田裕「1日20kmとか平気で歩いてますからね」


そんな話をしていると10分なんてあっという間に過ぎてしまい、5人は歩行を開始した。富士ノ折立から一旦下って登りになると、息を切らすというより気温が上がってきてだんだん暑くなってきた。さすがにみんな立ち止まってジャケットを脱いだ。登りはそこまで時間はかからず富士ノ折立より40分程で真砂岳(標高2861m)に到着した。ここから別山は見えているのだが、雄山の登りの時のように見えているけどなかなか着かないといった登りとよく似ている。真砂岳では水を飲むくらいの休憩だけして先を急いだ。一旦下って本格的に別山への登りがはじまった。重いザックを背負っていることもあるが、とにかく暑さが体力を奪っていく。ペースもだんだん落ちていきながらゆっくり登っていった。さすがにみんな「暑いね」と何度も言いながら登っていく。登りはじめて約1時間が過ぎた頃、ようやく別山南峰の祠が見えた。そしてようやく別山南峰(標高2874m)に到着した。ここから剱岳がよく見えるのだが、もう既にガスがかかっていてよく見えなかった。


若宮朱莉「はぁはぁはぁ・・・ようやく別山なのね」

天音琴美「しんどいというより暑かったよね」

水城涼真「あとは下るだけやけど、せっかくやから別山北峰に行ってくるわ」

樫田裕「僕はここにいますわ」

有本淳史「僕もここにいますから、朱莉ちゃんと琴美ちゃん、涼真さんと一緒に行っておいで」

若宮朱莉「別山北峰ってどこにあるの?」

水城涼真「すぐそこにケルンみたいなのが見えてるやろ。あそこやわ」

天音琴美「それだったらあたしも行くね」


水城涼真、若宮朱莉、天音琴美の3人はすぐ近くにある別山北峰(標高2880m)へ歩いて行った。ところが別山北峰には特に何があるというわけでもなく、本当にケルンがあるくらいの場所であった。3人はすぐ別山南峰に戻って休憩した。



午後14時40分・・・剱沢キャンプ場


別山から西側の尾根を歩いたところで、剱沢へ下りていく細い登山道があったのでそこから下っていった。急斜面でわずかな踏み跡があることから、あまり誰も使っていないルートなのかもしれない。標高200mの下りだが、結構段差があったりしてペースダウンしてしまう。みんな足元に注意しながら下っていたが、有本淳史だけは運動神経がいいのか先に進んでいた。わずか15分程下ると斜面は穏やかになり一般登山道と合流した。そこからは一般登山道をさらに下って時刻午後14時40分、剱沢キャンプ場に到着した。みんな剱沢野営管理所でテント泊の受付を済ませると各自テントの設営をはじめた。少し早い時間なのでテント場はたくさん空いていた。みんな固まってテントを設営していたが、もちろん水城涼真と若宮朱莉は今夜も同じテントで寝ることになっていたの若宮朱莉のテントは設営しなかった。有本淳史が大きめのアルミシートを敷くとザックの中から500mlの缶ビール12本と日本酒、たくさんのおつまみを出した。


有本淳史「ビールが足りませんから1人2本ずつ買ってきてください」

天音琴美「あっちゃん、よくそんな荷物を持ってあの暑い縦走路を歩いてきたね」

有本淳史「あのくらいは余裕でいけるよ」

水城涼真「このアタックザック貸すから誰かビール10本買ってきて!俺はおでん鍋の準備するから」

若宮朱莉「じゃあ天音さん、一緒に買いにいきましょうか」

天音琴美「うん。一緒にいこ!」

樫田裕「じゃあ僕はゆで卵を作りますわ。冷凍ボックスに入れときましたから大丈夫やと思います」


それから30分程経っておでんがぐつぐつと煮えてきた。みんな靴を脱いでアルミシートの上に座っておでんが出来上がるのを待っていた。今日はずっと行動食しか食べていなかったので、みんなかなりお腹を空かしていたのだ。おでんのいい匂いが漂ってくると、有本淳史は全員にビールを配って蓋を開けた。そして「乾杯!」と言ってまだ陽が沈んでいないのに宴会がはじまった。


天音琴美「あたし、山小屋じゃなくてこうしておでんなんか食べるのはじめてだけど、すごく美味しい!」

若宮朱莉「わたしははじめてだけど、山でおでんも美味しいね!居酒屋にいるみたい」

水城涼真「朱莉ちゃん、何を言ってるんや!俺からしたら山は居酒屋やで」

有本淳史「たしかに山は居酒屋っすね」

天音琴美「そういえばあっちゃん、あたしの隣なのにもっとこっちにおいでよ」

有本淳史「いや、たまたま隣になっただけだけやん」

樫田裕「天音さん、まだあっちゃんに甘えるのは早いですよ。もう少し飲んでください」


それから40分程宴会が続いておでんはすっかり無くなっていた。今日は疲れていたのか天音琴美は結構酔っていた。


天音琴美「ねえ、あっちゃん。あたしのことどう思ってるの?」

樫田裕「はじまりましたね。これを待ってたんですよ」

水城涼真「でも、今日の天音さんちょっと酔いがまわりすぎてない?」

有本淳史「どう思ってると言われても・・・う~ん困るなあ」

天音琴美「そうだ!あっちゃん、今日はあたしのテントで一緒に寝る?」

有本淳史「いやいやいや、ここに新婚さんもおるわけやし、それはあかんでしょ」

若宮朱莉「天音さん、涼真さんのいう通り、ちょっと酔いすぎですよ」

天音琴美「だって、あっちゃん、全然甘えさせてくれないんだもん・・・あたし淋しいの」

水城涼真「天音さんはあっちゃんが好きなん?」

天音琴美「大好きですよ!でも、恋愛とはちょっと違うかも」

樫田裕「これは完全に好きですよね?」

水城涼真「いや、違うと思う。天音さんはただ淋しいだけやと思うわ」

天音琴美「さすが涼真さん!そうなの、こんな仕事をしてると淋しいの」

若宮朱莉「天音さんの気持ちわかりますよ。わたしも淋しい時はありますから」

天音琴美「でも朱莉ちゃんにはもう涼真さんがいるじゃない。うらやましいよ」

有本淳史「琴美ちゃんが淋しい時はいつでも話くらい聞くから、とりあえず今日は落ち着いて寝よか」

天音琴美「ありがとう・・・あっちゃん、絶対だよ?あたし、いつでも通話しちゃうからね」


明日の朝も早いということで、少し早い時間であったが宴会が終わってみんなテントへ入った。



7月14日午前3時50分・・・剱沢キャンプ場~前剱(標高2813m)


昨日、早い時間に就寝したおかげで、みんな午前3時半には目を覚ましていた。みんなアタックザックの中に行動食を入れてヘルメットをかぶると外に出て水を汲みに行った。その後、有本淳史がアルミシートを片付けると水城涼真が「そろそろ出発しよか」と言った。5人はヘッドライトを照らしながら、まずは剣山壮を目指した。剣山壮まではガレ場の道が続いており少し歩きにくかったが40分程で剣山壮に到着した。空はだんだん明るくなってきていて、文句のない晴天であることは間違いなかった。ここからは本格的な剱岳への登りになる。早速鎖場の登りになり、その先は急登のガレ場が続いていた。鎖場を登り詰めたところで一服剣に到着した。


若宮朱莉「目の前に見えてるピークが剱岳かな?」

樫田裕「いや、あれは前剱やね。剱岳はあのもっと先にあるピークやで」

天音琴美「たしかにまだ早すぎるもんね。まだまだ先ってことか・・・」


前剱の登りはガレ場の急登でところどころに鎖が設置している。そこを縫うように登っていったが、ここは意外と早く登っていくことができて鎖場を登り詰めたところで前剱(標高2813m)に到着した。ここでようやく剱岳の山容が現れたのだが水城涼真は「ここからが本番やから、ちょっと休憩しとこか」と言った。


天音琴美「ここからが本番ってことは、これまでは序の口だったのですか?」

水城涼真「そうやな。ここからはみんな岩登りの時の3点支持を意識しながら登っていってな」

若宮朱莉「あの岩を横切ってる人がいるけど、あれは怖そうだね」

水城涼真「見た目は怖そうやけど、行ってみると大した事あらへんよ」

樫田裕「僕、高所恐怖症なんで結構怖いですよ」

有本淳史「まああのくらいなら余裕っすよ」


日本百名山の中でも難易度が高いとされる剱岳だけあって、簡単には登らせてはもらえないのだ。十分に休憩をした5人は本格的に剱岳を登りはじめた。



午前7時50分・・・剱岳(標高2999m)


前剱から少し下ったところからちょっとした崖の横断地点があった。ここも見た目は怖いように感じるが、5人は意外と簡単に渡った。続いて若宮朱莉が言っていた岩のトラバース地点となった。ここも鎖があって足の置き場もあったので、ゆっくりであったが意外とスムーズに横切ることができた。その先で雪渓地帯に出て滑らないように注意しながらトラバースしていくと、剱岳への本格的な登りであるカニのたてばいの登りとなった。ここも鎖が設置されいてホールドポイントもあったのだが、これまでより高度感を感じさせるような登りになっている。


水城涼真「朱莉ちゃん、このくらいの登りやったらいけるやろ?先に登っていけばええよ」

若宮朱莉「高度感ありそうだからちょっと怖いけど先にいかせてもらうね」

水城涼真「油断せんようにな!」

樫田裕「じゃあその次は僕が登らせてもらいますわ。さすがにこれは高度感あるんでさっさとクリアしたいです」

水城涼真「わかった。樫田君の次は天音さんが登っていけばええよ。清水さんからクライミングを教えてもらってるんやったら、このくらいいけるやろ?」

天音琴美「わかりました。清水さんに教えてもらったことを思い出して登りますね」

水城涼真「その次に俺が登って、最後はあっちゃんでええかな?」

有本淳史「それでいいっすよ」


まず若宮朱莉が登りだした。さすが日頃からクライミングの訓練をしているだけあってスルスルと登っていった。続いて樫田裕が登っていったが、高所恐怖症とは思えないほどスルスルと登っていった。その次に天音琴美が登りはじめたが、まだクライミングや3点支持に慣れていないせいか、すこし戸惑いながらゆっくり登っていった。最後に水城涼真、有本淳史の順でスルスルと登っていって、5人ともカニのたてばいの登りをクリアした。そこから上を見上げるとようやく剱岳のピークが見えた。そこからはピークを目指して少し急斜面のガレ場をひたすら登っていった。もうピークだと思うとみんなペースが早くなっていたのだが、ついに剱岳(標高2999m)の山頂に到着した。山頂は晴天で昨日歩いてきた立山や北アルプスの山々が広がっていた。わずかに登山者が座っていたが、さっさと下って行く人もいた。


若宮朱莉「やったぁ!憧れの剱岳に登ることができた!!」

天音琴美「ここがあたしの憧れでもあった剱岳の山頂なのね」

若宮朱莉「天音さん、日本海が見えていますよ。手前は富山市街でしょうか」

天音琴美「本当だね!あたし、まさか朱莉ちゃんと剱岳に登るなんて思いもしなかったよ」

樫田裕「しかも晴天で最高やないですか!」

有本淳史「これは予想以上の景色ですわ。最高っすね」

天音琴美「涼真さん、これが朱莉ちゃんとの新婚旅行になるのでしょうか?」

水城涼真「どうやろな。新婚旅行って感じせんけどな」

若宮朱莉「わたしはそれでもいいよ。最高の結婚旅行になってるから」

天音琴美「だったら2人で記念撮影はどうですか?祠の前に並んでください」


水城涼真と若宮朱莉は剱岳山頂にある祠の前にしゃがんで並んだ。天音琴美は「じゃあ何枚か撮ります」といって撮影をした。


天音琴美「せっかくの新婚旅行なんだからキスしてるところも撮りましょう」

水城涼真「いやちょっと待って!周りに人もおるし、恥ずかしいやろ」

若宮朱莉「わたしもそれだけはちょっと恥ずかしいです」

有本淳史「いいんじゃないっすか。周りの人に昨日立山で結婚式を挙げて、今日は剱岳へ新婚旅行登山しましたって説明すればええっしょ」


そこで樫田裕は「みなさん、この2人は昨日立山の雄山神社で結婚式を挙げて、今日は新婚旅行登山で剱岳に登ってきたんです。よろしければ祝福してください」と大きな声で周りの登山者に話しかけた。すると周りにいた登山者が寄ってきて「おめでとう」と祝福してくれた。そして天音琴美は「じゃあ一枚だけだから2人ともキスしてください」と言った。水城涼真と若宮朱莉は少し顔を赤くしながら軽くキスをすると天音琴美はシャッターを押した。2人の記念撮影が終わると次は天音琴美と若宮朱莉が記念撮影をして、最後は登山者にお願いして5人で記念撮影をした。それからしばらく休憩していると水城涼真が「今日は雷鳥沢まで戻る予定やから、さっさと下ろか」と言った。


午前8時半から下山を開始したが、下山路では難所ポイント2のカニのよこばいで登山者が渋滞していた。カニのよこばいでは岩のトラバースになっており、鎖が設置されているのだが、一カ所だけ足の置き場に困るポイントがあって、そこの通過に時間がかかっているようだった。そのポイントさえ通過できればあとは意外とスムーズに下っていけるのだが、渋滞があまり途切れない。ところが5人は意外とスムーズにカニのよこばいをクリアすることができた。その先の平蔵の頭の下山ルートでは若宮朱莉が「ここ超楽しい!」と言いながらスルスルと岩場を下りていった。そこからいくつかの鎖場の岩の下りがあったが、5人とも難なく下っていった。その後、比較的安全圏である前剱まで戻ってくることができた。水城涼真は「足のことを考えて、ここでちょっと休憩しよ」と言った。


若宮朱莉「もう終わってしまうんだね」

水城涼真「まだ油断したらあかんで」

天音琴美「思い切ってお仕事をお休みにしてもらって本当によかった。剱岳最高だったね」

若宮朱莉「天音さん、わざわざありがとうございました」

水城涼真「お二人とも、まだ終わってないからな」


少し休憩をした後、5人は下山を開始した。前剱を後にして40分程下ったところで一服剱まで下ってくることができた。もうここから剣山壮まで近いのだ。さらに下山をしていくと剣山壮が間近に見えた。剱山壮に到着すると少し休憩をして5人は行動食を食べながら水を飲んでいた。十分に休憩を終えた5人はテント泊をした剱沢へ向かって歩いていった。そして午後12時10分、ついに剱沢まで戻ってくることができた。


水城涼真「さすがに疲れたけど、さっさとテントだけ片付けて休憩してから雷鳥沢に戻ろか」

樫田裕「僕も昨日の縦走もあってさすがに疲れましたわ」

水城涼真「とにかくな、暑いねん。暑さだけはどうすることもできへんからな」

若宮朱莉「わたし、天音さんのテントの片付けを手伝いますね」

天音琴美「朱莉ちゃん、ありがとう」

有本淳史「さっさとテントを片付けましょか」


それから5人はテントを片付け始めた。荷物は軽くなっているものの、それでもザックを持ち上げるとずっしり重い。テントを片付けた5人は水を補給して岩の上に座ってまったりしていた。



午後16時30分・・・雷鳥沢キャンプ場


5人はある程度体力を回復させたところで、雷鳥沢キャンプ場へ向かって歩き出した。なだらかな登りが続いていたのだが、昨日の立山の縦走から剱岳への登りの後なのでかなり疲れていてスローペースになっていた。それでもなんとか今日中に雷鳥沢に到着させると、明日は楽になるのでがんばって登っていった。剱沢から1時間程歩いたところで稜線上にある剱御前小舎に到着した。ここで天気が急変してポツポツと雨が降りはじめた。剱御前小舎で少し休憩をしながら雨がおさまるのを待っていたが、天候は悪化していくばかりであった。仕方がないのでここからはレインジャケットを着こんで下りだした。約標高600mの下りになっていて、雷鳥沢は見えているのだがなかなか着かない。途中で雷が見えてきたので水城涼真は「ちょっと急がんとまずいかもな」と言いながら、少しだけ下りのペースを早くした。


若宮朱莉「長い下りだね。見えてるのに着かないってちょっと辛いかも。もうここからジャンプしたいかも」

樫田裕「でもあと下りは標高200m切ったからもう少しやないかな」

天音琴美「これも経験だと思ってがんばるよ」

水城涼真「見えてるのになかなか着かない辛さって白馬の大雪渓を思い出すわ」

有本淳史「まあ、口笛でも吹きながら歩いてたらあっという間に着きますよ」


そんな話をしながら下っていると有本淳史の言った通り、気づいたら雷鳥沢キャンプ場に到着した。雨も奇跡的にあがっていて、みんなテント泊の受付を済ませると、みんなテントを設営しはじめた。若宮朱莉と天音琴美はビールを買いに行ったが、今日は料理がないので宴会はしなかった。みんなザックの中あからガスバーナーとカップラーメンを出してお湯を沸かしはじめた。そして、買ってきた500mlの缶ビールを全員に配って蓋を開けると「乾杯!」といって、ビールを飲みながらカップラーメンを食べはじめた。ただ、有本淳史だけはザックから日本酒とおつまみを出してきて「勿体ないのでもう飲んでください」といって差し出した。天音琴美はチタン製のカップに日本酒を入れて「いただきます」と言って飲みだした。みんな缶ビールもちょっとずつ飲んでいて、かなり眠そうであった。みんなさすがに疲れていたのか、日没後にはもう各自がテントの中に入って眠りだした。ところが水城涼真のテント内では若宮朱莉が何か考え事をしていて眠れなかった。


若宮朱莉「涼真さん、まだ起きてる?」

水城涼真「起きてるよ。朱莉ちゃん、今日はなんかずっと難しい顔してたな」

若宮朱莉「わたしね、大阪に戻ったら結婚会見を開こうと思ってるの」

水城涼真「えっ!?俺らの結婚のことを公表するん?」

若宮朱莉「うん。だって、みんなに黙っているなんて嫌なんだもん」

水城涼真「それは大変なことにならへん?」

若宮朱莉「わたしが結婚して何がいけないの?会見でちゃんとファンの方々に説明するし、それで許せないって人が多かったら、わたし、この業界を引退しようって思ってる」

水城涼真「朱莉ちゃんがそれでええなら俺は止めへんけど、まあ世間が何て言うかやな」

若宮朱莉「でも、それ以上に涼真さんの存在はわたしにとって大切なの。それだけはわかってほしい」

水城涼真「わかった。朱莉ちゃんがどうなっても俺はずっと一緒にいるつもりやから」

若宮朱莉「ありがとう!あの、今後ともわたしのことをよろしくお願いします」


その後、水城涼真と若宮朱莉はさすがに疲れていたのでそのまま眠ってしまった。



7月15日午前7時30分・・・室堂平


昨日は早く眠ったおかげでみんな朝6時には目を覚ましていた。昨日、一昨日と違って天気は曇り空で立山は既にガスっていた。有本淳史はザックの中からドリップ式のコーヒーを2つ出してきて、全員分のコーヒーを作っていた。水城涼真のテント内では寝ぼけていたせいか、若宮朱莉が水城涼真に抱きつきながら眠っていた。みんな起き上がってテントから外に出ると、有本淳史が「コーヒー作ったからカップ持ってきて」と言って全員のカップにコーヒーが注がれた。コーヒーを飲み終えると、みんなテントを片付けて帰宅の準備をはじめた。天音琴美は「あー最高の休日になったわ」と言ってかなり満足しているようであった。そうして時刻が午前6時50分になると、みんな室堂平バスターミナルへ歩き出した。昨日までの疲れは残っているものの、結構早めに室堂平バスターミナルに到着した。


天音琴美「改めて、涼真さん、朱莉ちゃん、ご結婚おめでとう!そして本当に剱岳までご一緒させていただいてありがとうございました」

水城涼真「ありがとう。天音さんも淋しいことがあるやろうけど、その時はあっちゃんに話聞いてもらってな」

若宮朱莉「天音さん、ありがとうございます。いろいろ話を聞いていただいたおかげで結婚することができました」

有本淳史「これで琴美ちゃんとの登山約束はやっと果せた感じやね」

天音琴美「何言ってるの?あっちゃんと二人で登山する約束はまだだよ」

有本淳史「うぅーやっぱりそうなるんや」

樫田裕「とにかく、みなさんお疲れ様でした」

天音琴美「じゃあ、あたしは急いで東京に戻らないといけないので、ケーブルを下ったらさっさと帰りますね」


室堂バスターミナルで挨拶をした後、美女平行きのバスを乗ってケーブル立山駅まで下ると解散となった。今回は水城涼真と若宮朱莉の結婚式を兼ねた登山となったが、みんな満足して帰っていった。


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