表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/60

過酷な登りの後は白馬の大雪渓を滑走

5月29日午後10時10分・・・


この日、水城涼真の部屋に若宮朱莉が来ていた。6月1日は白馬の大雪渓を滑走する計画がある。移動時間を考えると5月31日にキャンプ場へ移動しなければならないのだ。既に青木湖のキャンプ場を予約している。


水城涼真「朱莉ちゃん、5月31日は休み取れてるの?」

若宮朱莉「それは大丈夫です。わたし、金曜日はあまり出演しませんので、プロデューサーからも別に構わないと言っていただけたよ」

水城涼真「今回は樫田君も来るけど、天音さんだけが現地集合になってるんやね?」

若宮朱莉「そのことなんだけど、もしかすると清水さんも来るかもしれないって話になってるの」

水城涼真「あの人も好きやなあ。清水さんってスキーできるんかな!?」

若宮朱莉「それはわからないけど、天音さんがバックカントリーの話をしたら是非ご一緒したいとのことだったらしいわ」

水城涼真「あとな、全然話は変わるんやけど、これから梅雨入りするやん。そろそろ朱莉ちゃんのお母さんに来てもらったほうがええと思うんよ」

若宮朱莉「どうして母を呼ぶの?」

水城涼真「結婚するんやから、お母さんにも伝えておかなあかんやろ」

若宮朱莉「それはそうだけど、母は賛成するのかな!?そこが心配だよ」

水城涼真「とにかくそういう話は俺がするから、近いうちに連絡とっといて」

若宮朱莉「わかった」


こうして6月1日に白馬岳に登頂して白馬の大雪渓を滑走することになった。



5月31日午前5時30分・・・


ザックにスキー板やスキー兼用ブーツを取りつけた水城涼真と若宮朱莉がアパートの入口で合流すると「おはよう」と挨拶をして駐車場へ向かった。荷物を車のトランクに積み込むと車を走らせて樫田裕と待ち合わせをしているコンビニへ向かった。


若宮朱莉「明日の白馬村の天気だけど、朝は雨で結構荒れるみたい。午後からは快晴になってるんだけど大丈夫かな?」

水城涼真「滑走するのは午後からやからキツいのは登りだけやわ」

若宮朱莉「それならがんばるけど、敗退も考えてるの?」

水城涼真「いや、絶対に登ってやるつもりや」


若宮朱莉は少し不安を抱えながらも水城涼真についていこうと決心していた。1時間程車を走らせると樫田裕の自宅前のコンビニ到着した。コンビニ前には既に水色のソフトシェルジャケットに黒のトレッキングパンツ、スキー板とスキー靴を装着した緑色のザックを背負った樫田裕が待っていた。樫田裕は荷物を持って車の方へ走ってきた。樫田裕は「おはようございます」と挨拶すると、車のトランクに荷物を詰め込んで後部座席に座った。そのまま名神高速道路・京都東インターチェンジを入ってまずは中央自動車道へ向かって車を走らせた。


樫田裕「この調子やと早めに着いてしまうんとちゃいます?」

水城涼真「時間に余裕を持たせたんやけど、午後には着いてしまいそうやな」

樫田裕「白馬村に行ってもやることありませんよ」

水城涼真「松本で降りて美ヶ原でも周回しよか」

若宮朱莉「美ヶ原って有名な高原だよね?」

水城涼真「それとは反対側のところを歩くんよ。もちろん高原も見れるけどな」

樫田裕「僕二回目なんですけど、朱莉ちゃんが行ったことないんやったら付き合いますよ」


そこから東名高速道路に入って車を走らせていると小牧ジャンクションから中央自動車道へ入っていった。それから40分程車を走らせたところにある恵那峡サービスエリアに立ち寄った。


水城涼真「ここでちょっと休憩。やっぱ出発がちょっと早かったな」


さすがの若宮朱莉もまだお腹が空いておらず、コンビニで飲み物を購入して外で温かいカップコーヒーを買って飲んでいた。樫田裕は車の中でずっと待機していて、水城涼真も一休みしてさっさと車に戻った。その後をついてくるかのように若宮朱莉も助手席に乗ると車を出発させた。中津川インターチェンジを過ぎて中央アルプスが見えてくると乗鞍岳以来の長野県に来たという感じになっていた。そして岡谷ジャンクションから長野自動車道に入ってしばらく車を走らせていると時刻は午後12時半になっており松本インターチェンジで降りた。



午後14時10分・・・美ヶ原(標高2034m)~王ヶ鼻(標高2008m)


松本インターチェンジを出て国道19号線を北上して国道254号線を経て美ヶ原スカイラインに入った。カーブが連続する道であったが、そこは普段山道の運転に慣れている水城涼真が駆使してあがっていった。山道を50分程走らせたところに美ヶ原自然保護センターがあり、そこの駐車場に車を停めた。3人は車から降りて、500mlの水を一本だけ手にしていた。


水城涼真「ちょっとここで散歩しよか」

若宮朱莉「車の中から見てたけど、この辺りはずっと高原地帯なんだね」

樫田裕「今から登る王ヶ頭も一応日本百名山の一つなんよ」

若宮朱莉「そうなんだ。高原が綺麗だもんね」


そこから美ヶ原の山頂である王ヶ頭に向かって遊歩道を登っていった。登りはじめて15分程で美ヶ原の山頂である王ヶ頭(標高2034m)に到着した。簡単に登っているが、これでも標高2000mを超えている山なのだ。


若宮朱莉「向こう側にすっごい高原が広がっているよ。向こうから歩いてくるのがメインなのかな!?」

水城涼真「そうやねん。山本小屋ってところから1時間かけてここまで歩いてくるのが一般的なんよ」

若宮朱莉「一応、ここでも記念に撮影しておくね。涼真さんお願い」

水城涼真「ほいじゃあ撮影するで・・・パシャッ」

若宮朱莉「ありがとう」

水城涼真「じゃあ王ヶ鼻に行こか」


3人は王ヶ頭を後にして王ヶ鼻のほうへ向かっていった。それもわずか20分弱で王ヶ鼻(標高2008m)に到着した。


若宮朱莉「ここの岩って不思議な浸食して層になってるね。面白い!撮影しておこっと」


若宮朱莉が少しはしゃいでいたが、時間も押してきているのでさっさと駐車場へ戻ることにした。時刻が午後15時15分頃になると3人は駐車場へ戻って車に乗り込んだ。



午後16時50分・・・青木湖キャンプ場


青木湖キャンプ場に到着すると一台の車も停まっていなかった。天音琴美との約束の時間は午後18時前後だったのでまだ到着していないのであろう。湖のほとりで3人はテントを設営すると、水城涼真はガスバーナーと少し大きめのフライパンをザックの中から出してきて、あらかじめカットしておいた黒毛和牛のステーキ3枚と野菜をアルミシートの上に置いた。そして3人は分担して持ってきた500mlの缶ビール24本もビニールシートの上に出した。ちなみに黒毛和牛は若宮朱莉がテレビ出演をした時に景品としてもらったものである。樫田裕はザックの中からポテトチップスやスナック菓子などの酒のつまみになるものをザックの中から出してきた。これで宴会の準備は整ったといえるだろう。


まだ宴会をはじめることなく30分程経つと、黒い4WDクロスカントリー車がやってきて停車した。そして車の中から水色のソフトシェルジャケットに黒いトレッキングパンツを履いた天音琴美と赤色のソフトシェルジャケットに茶色のトレッキングパンツを履いた清水紗理奈が降りてきた。


天音琴美「こんばんは。今回もよろしくお願いします」

清水紗理奈「琴美ちゃんの師匠、清水だよーんっ!よろしくお願いしまぁーす」

水城涼真「清水さん、やっぱり着いてきたんですか」

清水紗理奈「私がきたらまずいことでもあるのか?」

水城涼真「いえいえ、そんなことはないんですが、清水さんってスキーできるんですか?」

清水紗理奈「なにを!これでもスキー検定2級持ってるんだじょ!」

水城涼真「それはすごいですね。俺なんかバックカントリーで自己流なんでフォームは汚いんですよ」

清水紗理奈「それより宴会の準備が整ってるみたいじゃん。早く酒出せ!」


そう言いながら清水紗理奈もザックの中から500mlの缶ビールを6本出してきた。水城涼真はフライパンに火を通して黒毛和牛を焼きはじめた。そして、みんな缶ビールを持つと「乾杯」といって宴会がはじまった。宴会がはじまって40分程すると黒毛和牛はすっかりなくなってしまった。清水紗理奈は少しほろ酔い状態になっていて水城涼真に絡んでくるようになった。


清水紗理奈「水城さん、正直、正直なところなんだけど、片瀬のことどう思っているんだ?」

水城涼真「片瀬さんですか?仕事の話しかしませんので何も思っていませんよ」

清水紗理奈「おもしろくない解答だな。そうだ、朱莉ちゃん、こっちにおいで!」

若宮朱莉「はい・・・」

清水紗理奈「朱莉ちゃんは本当に可愛くてお人形さんみたいだな。お姉さんが頭撫でてあげよう」

若宮朱莉「あ、ありがとうございます・・・」

清水紗理奈「朱莉ちゃん大好き!私が男だったらお嫁さんにしたいくらいだ」

天音琴美「清水さん、朱莉ちゃんはもう結婚を前提にお付き合いしている人がいるんですよ」

清水紗理奈「なんだと!!それはどこのどいつだ!?私が成敗してくれる」

水城涼真「天音さん、余計なことは言わないように!」

天音琴美「あっそうでした・・・ごめんなさい」

樫田裕「清水さんってめちゃめちゃ面白い人やないですか!聞いてて楽しくなってきましたわ」

清水紗理奈「えっと樫田君だっけ!?まさか朱莉ちゃんのその相手って水城さんなのか?」

樫田裕「いや、僕の口からはそんなこと言えませんよ」

清水紗理奈「その口調からすると水城さんなんだな!」

天音琴美「いずれ清水さんにもお話しようと思っていましたけど相手は涼真さんです」

清水紗理奈「水城さん、タレントに手を出すとはいい度胸してるじゃんか!しかも私というものがありながら・・・」

水城涼真「いや、手は出してませんよ。それに私というものがありながらって・・・」

清水紗理奈「これは東京に戻ったら片瀬に報告だな」

水城涼真「清水さん、このことは内密にお願いします。世間に知られるとかなりまずいことになります」

清水紗理奈「うふふ、そのくらいわかってるじょ。ただ、片瀬には報告しておくべきだろ」

水城涼真「まあ、片瀬さんには近いうちに報告はするつもりでしたけどね」


そんな話をしていると時刻は既に午後20時を過ぎていた。水城涼真は「明日は午前3時半出発なので、そろそろ寝ましょう」と言った。宴会はお開きとなり、水城涼真と若宮朱莉、樫田裕はテントに入り、天音琴美と清水紗理奈は車の中に布団を敷いて眠ることになった。みんな疲れていたのか20分程ですぐに眠ってしまったが、天音琴美はなかなか寝つけず車から外に出た。すると若宮朱莉のテント内にまだランタンの明かりがついていた。ランタンの消し忘れかと思った天音琴美は若宮朱莉のテントの前に行って「朱莉ちゃん」と小さな声で呼びかけた。するとテントのチャックが開いて若宮朱莉が「はい」と返事をして出てきた。


天音琴美「朱莉ちゃんも眠れないの?」

若宮朱莉「そうなんです。天音さんも眠れないんですか?」

天音琴美「なんだか眼が冴えちゃって」

若宮朱莉「わたしもなんです」

天音琴美「そういえば、改めて結婚おめでとう!」

若宮朱莉「ありがとうございます。わたし、もうこの人生で涼真さんみたいな人と出会うことはないと思っています」

天音琴美「涼真さんみたいな人って珍しいからね。朱莉ちゃんには幸せになってほしいな」

若宮朱莉「天音さんにも幸せになってほしいって思います。たとえばあっちゃんとか・・・」

天音琴美「あっちゃんのことは大好きなんだけど、結婚や恋愛の対象ではないの」

若宮朱莉「どうしてですか?」

天音琴美「あっちゃんと一緒にいると、あたしが甘えすぎてダメになってしまうって思うの」

若宮朱莉「そうなんですね。でも、天音さんはあっちゃんに恋しているように思えますよ」

天音琴美「たしかに恋してるんだろうなって思ってるけど、あっちゃんはあたしに恋愛感情は抱いていないってわかるからこれ以上は踏み込まないでおこうって思ってる」


密会ではないが、若宮朱莉と天音琴美は少し話した後、お互いに寝床に戻ってぐっすり眠った。



6月1日午前3時30分・・・猿倉山荘~白馬尻


一番最初に目を覚ましたのは樫田裕であった。外に出てみると天気予報通り少し風が強くパラパラと雨が降っていた。樫田裕は水城涼真のテントの前で「涼真さん、そろそろ起きる時間ですよ」と声をかけた。すると樫田裕の声で水城涼真と若宮朱莉は目を覚まして急いでテントの片づけをはじめた。その物音で天音琴美と清水紗理奈も目を覚まして車の中を整理しはじめた。結局、片付けに時間を要してしまい出発は午前4時となった。


水城涼真の車を先頭に後方から天音琴美の車がついてきた。40分程車を走らせてアプローチである猿倉荘の駐車場に到着した。みんな車から降りて登山の準備をはじめた。


清水紗理奈「天気が悪いじょ。これでもいくのか?」

水城涼真「行きますよ。このくらいどうってことありません」

樫田裕「今日は昼から天気が良くなりますしね」


みんな登山の準備を終えると猿倉荘からまずは白馬尻に向かって歩き出した。ずっと舗装道が続いていたのだが、とにかく林道が長くてなかなか白馬尻が見えなかった。この林道は体力的というより精神的に疲れてくるような感じで、しかも砂利道になっていて歩きにくいのだ。林道を歩き出して1時間程でようやく白馬尻に到着した。パラついてた雨も少し大雨になっており、白馬の大雪渓は完全にホワイトアウト状態になっていた。


清水紗理奈「おい、これ完全にホワイトアウトだじょ。どうするんだ?」

天音琴美「これはまずいですね。ここで敗退でしょうか?」

若宮朱莉「先が見えないですね。さすがの涼真さんでもこれは無理そうですが・・・」

水城涼真「何を言っとるんや。地図もあるしGPSもあるんやからホワイトアウトなんて関係あらへん。ちょっとここで休憩したら行こか」

清水紗理奈「水城さん、これで登るなんてめちゃくちゃだじょ!」

水城涼真「これで行かれへんようやったら雑誌の記事なんて書いてませんよ」

樫田裕「天気は回復しますから大丈夫ですよ。自信のない方は引き返してもらったほうがええかもしれませんけどね」

若宮朱莉「わたしは涼真さんに着いていきます!」

天音琴美「あたしもこれは経験だと思って着いていきます!」

清水紗理奈「仕方ないな。今日は水城にとことん付き合うか」


しばらく休憩をすると水城涼真は地図とコンパスを出して方角を確認すると白馬の大雪渓を歩きはじめた。顔に雨が当たると冷たくて痛いのだが、みんな我慢をしながら登っていった。1時間程雪道を登っていると小雨になり、時折ガスがはけて少し景色が見える瞬間があった。予報通り、天気は回復しつつあるのだが、天気の変わり目には突風が吹くという心配が水城涼真の心の中にあった。さらに登り続けること1時間経ったが、まだ白馬の大雪渓が続いている。さすがにみんな疲れてしまっていたので斜面から少し離れた岩の上で20分の休憩とした。


若宮朱莉「大雪渓というだけあってさすがに長いね」

水城涼真「まあ標高差1700mの登りやから長いよ」

天音琴美「あたしが夏に登った時もかなり長いって感じていましたよ」

清水紗理奈「それにしても寒いじぇ。次の休憩でコーヒーでも飲みたいな」

樫田裕「ホンマ寒いですわ。次は岩室を登り切ったところで休憩にしましょ」


そんな話をしていると20分の休憩が終わって再び登りはじめた。それからさらに1時間程登っていくと、水城涼真はルートを間違えていることに気づいた。そこはちょうど岩室の下あたりで右の斜面を登らなければいけないところを左の斜面のほうへ行ってしまったのだ。その左側の奥には2つのクレバスがあって滑落するとただではすまない。


樫田裕「涼真さん、GPSで確認しましたが岩室はもっと右なんですよ」

水城涼真「とりあえず、みんな左側にクレバスがあるから近づかんようにしてな」

清水紗理奈「水城さん、どうするつもりなんだ?」

水城涼真「岩室は急斜面すぎるから右側の岩を登っていって巻いていこか」

若宮朱莉「わたしもGPSで確認したけど、ちょうどこの岩を登り詰めたら岩室の斜面は回避できるみたい」

樫田裕「じゃあ、この右側の岩を登っていって岩室を巻いたところくらいで休憩にしましょうか」


そこから右手にある岩場を無理矢理登りはじめていった。



午前9時50分・・・岩室~頂上宿舎


岩場を登っていって30分程経つと、ちょうど急斜面がはじまる岩室の上部の岩場に到着した。時刻は午前9時50分でだんだんガスがはけてきて周りの景色が見え始めたのだが、水城涼真が心配していた通り風が強くなってきた。ここで樫田裕がガスバーナーと水をザックの中から取りだしてお湯を沸かそうとしたが、雨で湿っているせいか火がつかなかった。天音琴美も同じようにガスバーナーをザックの中から出したがやはり火がつかない。


水城涼真「ダメだこれは。あと40分程で頂上宿舎やし、風も強くなってきたから急いで登ろか。みんな寒いやろうけど、あと少しがんばって!」


10分程休憩をして頂上宿舎を目指して登りはじめた。ここで水城涼真が心配していた突風が吹き荒れてきた。これが岩室の急斜面でなかったことが幸いであったが、油断をすると体ごと吹き飛ばされかねない。


水城涼真「突風が吹いた時は無理に登るんやなくて、立ち止まってストックを突いてかがんで、風がおさまったらまた登っていく感じできて!ゆっくり登ってくればええから」


その水城涼真のアドバイス通り、みんな突風が吹くとストックをついてその場でかがんで、風がおさまったらゆっくりと登っていった。若宮朱莉や天音琴美、清水紗理奈にとってこういうことははじめての経験で少し怯えていた。そんな状態が続きながらも空を見ると青空が広がってきて、ガスもすっかりはけていた。そして40分程経った時刻午前11時40分、ついに村営頂上宿舎に到着した。頂上宿舎の中に入ると暖かいストーブが置かれており、みんなそのストーブの前でレインジャケットや手袋を脱いで暖をとった。


清水紗理奈「水城さんやるなあ~よくここまで登ってこれたじぇ」

水城涼真「いやいや、みんなのがんばりがあってのことですよ」

若宮朱莉「正直な話、今回は本当に辛かった・・・わたし、涼真さんと結婚する前に死んじゃったらどうしようって考えてたくらい」

天音琴美「うんうん。あたしも今回は辛かったよ。夏に登った時と全然違うんだもん」

樫田裕「僕も今回はかなりこたえましたけど、このくらいできんと涼真さんについていけませんからね」

水城涼真「そういえば、ここからは朱莉ちゃんと天音さんの写真とスキーしてる動画をバンバン撮るから、ブログにアップしたらええよ」

天音琴美「あたし、数年前にバックカントリーで骨折してみなさんに迷惑かけちゃったからそれは遠慮します」

水城涼真「スキーで骨折したってだけでごちゃごちゃ言われたと思うけど、白馬の大雪渓を無事に滑走したってなったら、もう批判するやつはおらんようになるよ。マスコミから何か言われても、この前みたいに辞める気はないってハッキリ言ってやったらええねん。それに今回は登山ガイドもおるわけやから、何の問題もあれへん」

若宮朱莉「そうですよ!天音さん、一緒に写真を撮って、わたしとスキーしましょう!」

天音琴美「わかった。朱莉ちゃん、一緒に楽しもうね!」


その後、先にピークハントをしようということになり、みんな外に出てみると風はおさまって青空が広がっていた。



午前12時20分・・・白馬岳(標高2932m)


頂上宿舎から杓子岳と鑓ケ岳、旭岳、松沢貞逸氏像などを見ながら20分程登っていくと白馬岳(標高2932m)に到着した。山頂でみんなが記念撮影をして、最後に若宮朱莉と天音琴美の2人がツーショットで撮影した。ここから動画撮影がはじまり若宮朱莉と天音琴美の登山記という感じになった。そして頂上宿舎に戻って大休憩となったのだが、みんなお腹が空いていて山小屋にいる人に何か食べるものはないかと聞いた。すると今はうどんしかないと言われたのだが、みんなうどんを注文した。15分程して人数分のうどんが運ばれてきたのだが、出汁は薄口で具材はわかめとネギだけのっていた。ところがこのうどんを口にした瞬間、みんな生き返ったかのような表情をして「美味しい!」と言った。


若宮朱莉「どんな高級料理よりもこのうどんは最高に美味しい!!」

清水紗理奈「このうどんたまらんね。たしかに高級料理以上のものだ」

天音琴美「あたし、うどんなんてあまり食べなかったけど、こんなに美味しいものだったんだね」

樫田裕「このうどんは最高ですわ!山で食べるからかもしれませんけど、めちゃめちゃ美味いですやん」

水城涼真「このうどんはかなり価値があるわ。一気に体が温められた」

樫田裕「この頂上宿舎は天国みたいなところやないですか」

水城涼真「せやな。よし、食べ終わったらこの後は楽しい楽しいスキーやで!」


みんな食事を終えると外に出てスキー滑走の準備をはじめた。すっかり風がおさまり青空が広がっていて最高の滑走日和になっている。


水城涼真「先に樫田君が滑って、その次に清水さん、そして俺が滑った後に朱莉ちゃんと天音さんが滑ってきてほしい。これから朱莉ちゃんのスマホで写真撮影、天音さんのスマホで動画撮影していくから」

樫田裕「わかりました。じゃあ、僕早速滑りますわ」


樫田裕は綺麗なフォームで滑りはじめて100m程先で停止した。樫田裕は「最高ですわ!」と大声で言った。


清水紗理奈「樫田君、なかなか上手いじょ。じゃあ次は私が滑る」


清水紗理奈が滑りはじめるとさすがスキー検定2級を持っているだけあってターンの切り方が非常に上手である。続いて水城涼真が滑りはじめた。ほぼ直下香で細かいターンを切りながら樫田裕のところまで滑っていった。そして若宮朱莉と天音琴美だけが残っている。


水城涼真「さきに写真を撮ってOK出したら滑ってきて!」

若宮朱莉「はーい!」

天音琴美「わかりました。さきにあたしが滑りますね」


水城涼真は若宮朱莉のスマホで2人の写真を撮ると「OK!」と言って天音琴美が滑ってきた。フォームはあまり綺麗ではないがしっかりターンが切れていて樫田裕のところまで滑ってきた。そして水城涼真は「じゃあ最後に朱莉ちゃん滑っておいで!」と言うと若宮朱莉が滑りはじめた。乗鞍岳の時に勘を取り戻したのか、綺麗にターンを切って滑ってくることができた。


若宮朱莉「バックカントリー最高!超楽しい!!」

天音琴美「うんうん楽しいね!あたし、数年前に骨折したことなんて忘れちゃったよ」

水城涼真「この調子でどんどん滑っていこか。おそらく白馬尻まで2時間程で戻れると思うわ」

若宮朱莉「登りであれだけ時間がかかったのに2時間で戻れるの?」

清水紗理奈「スキーは早いんだじょ」


それから同じ順番で滑走しては写真と動画撮影を繰り返した。



午後14時50分・・・岩室~白馬尻


滑走をはじめて40分程経ったところで、一番の急斜面である岩室の上部に到着した。この斜面の雪の上にはたくさんの岩がゴロゴロと転がっており、滑走すると間違いなくスキー板のソールが傷んでしまう。このまま滑走していくかどうか考えた水城涼真は「この斜面はめっちゃ滑りたいけど、板が傷んでしまうから右の登山道で下って回避しよう」と言った。それに対して樫田裕は「じゃあ僕だけこの斜面滑りますんで、みなさんは登山道で下ってください」と言った。そこから樫田裕だけ岩室の斜面を滑走して、他のメンバーはスキー板をはずして登山道を下っていった。ちょうど岩室の急斜面が終わったところで登山道が終わっており、そこからスキー板をつけて最初に清水紗理奈が滑走していった。続いて水城涼真が滑走していくとカメラを構えて若宮朱莉と天音琴美の写真を撮影すると「よし、今度は2人で同時に滑ってきて!」と言った。若宮朱莉と天音琴美は同時に滑りはじめて、そのシーンを水城涼真は動画に撮影していた。


水城涼真「それにしても白馬尻が見えてるのになかなか着かへんな。さすがに飽きてきたわ」

若宮朱莉「わたしはまだまだ滑りたいよ。景色もだけど最高じゃない!」

天音琴美「あたしもまだ滑りたいです。バックカントリー面白すぎます!」

樫田裕「いや、もう終わりますよ。あと10分くらいでしょうかね」

清水紗理奈「さすがの私も疲れてきたじょ」

水城涼真「もう動画は十分に撮影したから、ここから一気に滑っていこか」


みんなそこからは白馬尻を目指して一気に滑りはじめた。そして時刻午後16時20分、ついに白馬尻まで戻ってくることができた。


若宮朱莉「天音さん、わたし達あんなところからスキーで滑ってきたんですよ」

天音琴美「本当だね。すごい!!でも超楽しかったよ」

若宮朱莉「登りは辛かったけどその分思い切り楽しめましたね」

天音琴美「正直、登りは不安だらけだったけど、無事に滑走できてよかったね。バックカントー最高だったよ」

水城涼真「さて、さっさと猿倉駐車場に戻ろか」


そうしてみんな滑走道具をはずして猿倉駐車場へ向かって歩き出した。そして午後16時50分に無事猿倉駐車場に到着した。


水城涼真「みんなお疲れ様でした。この後、安曇野の家系ラーメン屋に立ち寄って帰ろうと思ってるんやけど、清水さんと天音さんはどないする?」

清水紗理奈「お腹ペコペコだしな・・・その家系ラーメンは美味しいのか?」

水城涼真「めちゃくちゃ美味いですよ」

清水紗理奈「琴美ちゃんはどうする?」

天音琴美「あたしもお腹ペコペコなのでラーメン屋に行きます」

水城涼真「じゃあ後ろからついてきて」


みんな車のトランクに荷物を積み込んで車に乗り込むとラーメン屋に向かった。車を40分程走らせると目的のラーメン屋に到着した。お店の中は数名のお客さんがいたがみんな座ることができた。水城涼真と樫田裕、天音琴美、清水紗理奈の4人は豚骨醤油の並盛を注文したのだが、若宮朱莉だけは豚骨醤油の大盛を注文した。ここのラーメンは鶏油の量が多めでかなりこってりしている。15分程で注文した料理が到着すると若宮朱莉が「キャベツが入ってる。美味しそう!」と言った。そして一口スープを啜るとみんな「美味しい」と言ってラーメンを食べはじめた。若宮朱莉は途中でライスを注文して、最後はスープにそのライスをダイブして食べた。みんな疲れていたこともあってここのラーメンが余計に美味しく感じたのかもしれない。ラーメンをたいらげると、みんな勘定をすまして外に出た。


水城涼真「今日は本当にお疲れ様でした。また一緒にいきましょう」

天音琴美「涼真さん、今日はありがとうございました。おかげで最高に楽しかったです」

清水紗理奈「水城さん、やはり片瀬に頼まれて記事を書いてるだけのことはあったんだな。また私も誘うんだじょ」

水城涼真「天音さん、動画をブログにアップするのを忘れずにね」

天音琴美「大丈夫です。帰って早速動画の編集します」

水城涼真「じゃあみんなまたね!」


そう言って解散となって、それぞれ東京、大阪へ帰宅していくこととなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ