バリルートで剣尾山。そして飲み会で全員集合!
1月4日午後22時15分・・・
元旦は仕事がオフだったものの、2日と3日はバラエティー番組の生放送や大阪でのちょっとしたロケ出演で忙しかった若宮朱莉は、ようやく4日の夜に一段落していた。だからといって特別疲れていたわけでもなかったが、シャワーを浴びてベッドに横たわっていた。するとSNSの通話着信音が鳴ったので、通話にでてみると天音琴美であった。
天音琴美「朱莉ちゃん、こんばんは。こんな時間にごめんね。お疲れかもしれないけど、今少しいいかな?」
若宮朱莉「天音さん、こんばんは。今は大丈夫ですよ」
天音琴美「あのね、あたし、今週の6日から8日の午後まで京都の大覚寺で時代劇の撮影の予定になっているんだけど、8日の夜はオフになっているのよ。せっかくだから京都で飲み会でもしない?」
若宮朱莉「8日午後ならわたしもオフですが、2人だけの飲み会ですか?」
天音琴美「そこで朱莉ちゃんにお願いがあるんだけど、涼真さんやその登山仲間の方々も参加してもらえるようにお願いできないかな?」
若宮朱莉「涼真さんの登山仲間の人達もですか?それは涼真さんに聞いてみないとわかりませんが、どうしてですか?」
天音琴美「あたし、涼真さんの登山仲間の方々にも会ってみたいのよ。どんな登山をしているのか詳しく聞いてみたいの」
若宮朱莉「みなさんの予定がわかりませんが、涼真さんにお願いしてみます」
天音琴美「ありがとう!それと、今回の飲み会の費用に関してはあたしが全部出すから、それも伝えておいて!」
若宮朱莉「それはさすがに天音さんに悪いです!」
天音琴美「経費から落とせるから気にしなくて大丈夫よ!じゃあよろしくお願いするね」
若宮朱莉「わかりました」
若宮朱莉は複雑な気分になっていたが、とにかく明日の朝、水城涼真に聞いてみることにした。
1月5日午前9時50分・・・
正月休みを満喫していた水城涼真は元旦からまったりと過ごしていた。ただ、年末に行った明神平に関しては執筆しないといけないのだが、納期はまだ先だったので着手していなかった。今日はあまりにも暇だったのでパソコンでアニメの動画を見ているとチャイムが鳴った。水城涼真は「はーい」と言って玄関のドアを開けるとジャージ姿の若宮朱莉が「おはようございます。涼真さん、お話したいことがありまして、少しお邪魔してもいいですか?」と言った。水城涼真は「別にいいよ。どうぞ入って」と言って2人は部屋に入っていった。アニメの動画を停止にしてテーブルに座ると「朱莉ちゃん、どないしたん?」と聞いてみた。すると、若宮朱莉は昨晩、天音琴美と話した内容について詳しく説明した。
水城涼真「なるほどな。天音さんのおごりなら喜んで飲みに行くけど、登山仲間には聞いてみんとわからんわ。あっちゃんはおそらく暇やろうから大丈夫やけど、樫田君は彼女がおるからどうかわからん」
若宮朱莉「じゃあお二人に確認とっていただけますか?飲み会の場所は京都駅前になりそうです」
水城涼真「まあ、二人とも京都駅は近いから時間があえば来ると思うけどな。そういえば、天音さんにあの二人を会わせるのははじめてやったな。その辺は大丈夫なん?」
若宮朱莉「天音さんのほうから涼真さんの登山仲間の方々とお会いしたいとのことですので大丈夫です」
水城涼真「じゃあ、今晩にでも聞いてみるわ。俺は参加するってことで・・・ふふふ、さあ飲みまくるで!」
若宮朱莉「お願いします。わたしも楽しみにしています!」
そう言って若宮朱莉は部屋を出て行った。その夜、水城涼真は有本淳史と樫田裕に電話をかけて確認してみると、二人とも飲み会に参加ということになった。
1月6日午前9時10分・・・
京都での飲み会で全員参加となったことを伝えるため、水城涼真は朝から若宮朱莉を呼び出していた。そして全員参加ということを伝えると「よかったです。ありがとうございます」と若宮朱莉は言った。
水城涼真「ところで、朱莉ちゃんは今日仕事はオフなん?」
若宮朱莉「オフですよ。土日はお仕事入れていませんので・・・」
水城涼真「じゃあ、ちょっと今から軽く足慣らしのつもりで大阪の山に登って昼食でもとりにいけへん?」
若宮朱莉「今からですか?別に構いませんが、どこの山に行くのでしょうか?」
水城涼真「北摂の剣尾山ってところなんやけど、ここから1時間程で行けるんよ」
若宮朱莉「剣尾山ってなんかカッコいい名前の山ですね。今日は暇ですから行ってみたいです!」
水城涼真「じゃあ、さっさと部屋に戻って登山準備してきて。アイゼンは6爪でええし、あとストックだけ持ってきて!」
若宮朱莉「わかりました。さっさと準備してきます」
水城涼真「9時40分くらいにアパートの入口で待ち合わせでよろしく!」
水城涼真もさっさと登山服に着替えてアパートの入口へ行くと、既に黒いザックを背負って赤いソフトシェルジャケットにグレーのトレッキングパンツ姿の若宮朱莉が待っていた。そのまま2人は駐車場へ向かって荷物をトランクに積み込むと車を走らせた。
午前10時50分・・・能勢温泉従業員駐車場
まだ正月期間ということもあったのか、道路は意外と空いていて途中でコンビニ立ち寄っておにぎりを購入したあと、スムーズに能勢温泉従業員駐車場へ到着した。水城涼真はフロントで駐車料金を払って登山準備をはじめた。そして2人は準備を整えて少し歩いていくと行者山登山口に到着した。
若宮朱莉「この案内板を見ると剣尾山まで結構距離がありそうですが、ここから入山みたいですね」
水城涼真「まさか、こんなところから登らんよ」
若宮朱莉「でも、剣尾山登山道入口とプレートに書いていますよ」
水城涼真「朱莉ちゃん、俺がまともなルートで登ると思う?最短ルートで登るにきまってるやん!この地図見て。これが行者山を経由した正規ルートなんやけど、俺らはこのまま林道の終点まで歩いて、この右側の尾根を登っていくんよ。尾根を登り切ったらすぐ山頂やからな」
若宮朱莉「たしかにここは尾根になってますね。こんなルートで登る人なんていないんじゃないですか?」
水城涼真「まあ、よほどのもの好きしかこんなところ登らんやろうな。とにかく行こか」
そんな話をした2人は行者登山口からひたすら林道を歩いていった。
午前11時20分・・・林道終点
行者登山口から林道を歩きはじめて約20分程が過ぎて林道が終わった。左側には沢が流れており谷へ入る道に古いテープが巻かれていたが、その他は何の目印もない場所であった。山の斜面には10cm程の積雪があったが、水城涼真は「この沢の分岐の間にあるこの尾根を登っていくで。標高200m程の登りになるけど落石だけは注意してな」と言った。若宮朱莉が「アイゼンはまだ装着しなくて大丈夫でしょうか?」と聞くと水城涼真は「この程度やったらつけんでもいけるわ。下りだけは装着せなあかんけどな」と答えた。
そして2人は尾根を登りはじめた。特別キツイ急斜面はなかったのだが、浮石が多かったので注意しながら登っていった。若宮朱莉は必死にストックを両手に持ってバランス維持を意識しながら登っていった。だんだん積雪量が増えていったが問題なく登り詰めると正規ルートの尾根に合流した。
午前12時・・・剣尾山(標高784m)
正規ルートの尾根と合流して、そのまま南側へ進んでいくと広い場所に出て剣尾山(標高784m)に到着した。山頂にある鉄柱の道標はあらゆる方向の山までの距離が記されており、積雪量は20cm程あったが数人の登山者が休憩していた。水城涼真は端っこのほうの岩の上にアルミシートを敷いて、ザックの中からガスバーナーと少し大きめのチタン製の鍋を取りだした。
若宮朱莉「涼真さん、わたし、この山頂の雰囲気は好きですよ!北摂の山々?が一望できますし、ここだけなんか別世界な感じがします」
水城涼真「朱莉ちゃん、それがわかるか!?俺もこの山頂の雰囲気が好きなんよ。昔は何回も登ってた山なんよな」
若宮朱莉「手軽に行けるところにこんな山があったとは思いませんでした」
水城涼真「実は朱莉ちゃんのお父さんも厳冬期にこの剣尾山に登ってたみたいやで。登山計画ノートに書いてたわ」
若宮朱莉「そういえば、うろ覚えでしたが剣なんとか山って書いていましたね・・・父もこの景色を見ていたんですね」
水城涼真「さあ、昼食にしよか。それが今回の目的やからな」
水城涼真はザックの中からトン汁の入った大きなジップロックを出した。そして、それを鍋に入れてガスバーナーで温めはじめた。
水城涼真「やっぱ寒い時はトン汁に限るで!さっきコンビニで買ったおにぎりと一緒に食べよか」
若宮朱莉「寒い時のトン汁はいいですね。体が温まります。その前に剣尾山の山頂で一枚だけ記念撮影をお願いしてもいいですか?」
水城涼真「ええよ。スマホ貸して!」
若宮朱莉は山頂の鉄柱の前に立つと、水城涼真は少し離れた場所からスマホで何枚か撮影した。そして、トン汁が温まったところでお互いのカップにトン汁を注いでおにぎりと一緒に食べていった。若宮朱莉の食ペースが早かったせいかトン汁はあっという間になくなった。そして後片付けをして下山準備が整った。
水城涼真「じゃあ、さっさと下山しよか」
若宮朱莉「トン汁、とても美味しかったです。おかげで体が温まりました!」
その後、2人はピストンで能勢温泉従業員駐車場まで下山していった。
1月8日午後4時45分・・・京都駅烏丸中央口
水城涼真と若宮朱莉は電車で京都駅まで行くと待ち合わせ場所である烏丸中央口の出口前で待っていた。今日は登山ではないので、水城涼真はダークグレーのハイネックシャツに赤いダウンジャケットをはおって、ベージュのストレッチパンツを履いていた。若宮朱莉は薄いピンクのパーカーに黒いダウンジャケットをはおって、伊達メガに白いマフラーを口元まで巻いて、赤いスカートを履いていた。ここはロータリーになっていて広いので登山仲間と合流できるか心配だったが、そこに白のトレーナーに緑のダウンジャケットをはおって、茶色のズボンを履いた樫田裕が現れた。
樫田裕「お二人ともお久しぶりです!」
水城涼真「樫田君お久しぶり!沢登り以来やな」
若宮朱莉「樫田君、やっほー!っていうかあけましておめでとう!!」
樫田裕「今日は飲み会にご招待と聞きましたが、誰の招待なんですか?」
水城涼真「まあ、それは後のお楽しみってことにしといて!」
樫田裕「はあ・・・そうですか」
そこに白いシャツに黒い厚手のジャケットをはおって、ジーンズを履いた有本淳史がやってきた。
有本淳史「どうもっす」
若宮朱莉「あっちゃんだ!お久しぶりです!!」
水城涼真「あっちゃんも沢以来やね。マジでお久しぶり!!」
有本淳史「涼真さん、しばらく連絡ありませんでしたが、誰と浮気してたんすか?」
水城涼真「いや、浮気なんてしてへんよ。ただ、いろいろあってな」
有本淳史「ホンマですかぁ?まあいいですけど、今日は誰からの招待なんすか?」
水城涼真「樫田君にも言ったんやけど、それは後でのお楽しみで!とりあえず店に行こか」
午後4時55分・・・居酒屋にて
そのまま4人は天音琴美が予約している居酒屋へ向かった。居酒屋があるのは京都駅前のビルの中だったので徒歩3分ほどの距離だった。ビルのエレベーターで8階まで上がると、すこし高級そうな居酒屋があり、中に入って水城涼真は「今日、予約しています水城です」と言った。すると店員さんが「お待ちしておりました。ご案内いたしますのでこちらへどうぞ」と言われて着いていった。案内されたのは完全個室の8畳ほどの座敷で、4人は靴を脱いで座席に上がると席に座った。若宮朱莉はテーブルの奥の一番端の席へ座ると、手前には水城涼真、樫田裕、有本淳史の順で座った。
水城涼真「全員が来てから注文しよか」
若宮朱莉「もう京都駅に到着したようで、すぐに来るとのことです」
有本淳史「一体だれが来るんすか?」
樫田裕「今日はその人が飲み代払ってくれるんですよね?あっちゃんは特によー飲みますけど大丈夫なんですか?」
水城涼真「そんな心配せんでもええよ」
それから5分程沈黙が続いていると、店員がやってきて「お連れ様がお越しになりました」と言った。そしてその後ろからグレーのハイネックセーターにベージュのコートとスカート姿の天音琴美が入ってきて「みなさん、お待たせしました」と言った。
有本淳史「えぇー!?この人って女優の天音琴美さんっすよね?」
樫田裕「間違いなく天音琴美さんですわ!涼真さん、どういうことなんですか?」
水城涼真は有本淳史と樫田裕に富士山ロケではじめて出会ったことや、これまで経緯と今回の招待された理由についてこと細かく説明した。
天音琴美「突然驚かせるようなことをしてしまってごめんなさい。でもどうしても涼真さんの登山仲間の方々とお話したかったので今回お呼びしました」
有本淳史「お話したいっていうても、俺らただの変人すよ」
樫田裕「誰もやらんことをただやってるだけで、そないに珍しいもんでもないですよ」
天音琴美「でも、あたしには考えられないような登山をされているようで、ある意味うらやましいです」
有本淳史「そういえば、天音さんって俺と同い(同じ年齢)やなかったすか?俺今年27歳っす」
天音琴美「あたしも今年で27歳ですよ。同じ年齢なんですね」
有本淳史「ほんなら、敬語なしでええですか?俺堅苦しいの苦手なんす。俺のことはあっちゃんって呼んでもらってええですよ」
天音琴美「あははは、なんか涼真さんと同じこと言ってるし・・・じゃあ遠慮なくあっちゃんって呼ばせてもらうね」
それから店員さんがやってきて飲み物の注文を聞いてきた。水城涼真は「みんなビールでええな?ピッチャー5本と、焼き鳥とから揚げ、お刺身盛り合わせ、ツナサラダお願いしますわ」と言った。それから5分程するとまず飲み物が運ばれてきて、みんなで乾杯をした。その後、料理が次々へと運ばれてきて、40分程が経つと天音琴美は少しほろ酔い状態になっていた。
天音琴美「ねえねえ、あっちゃんは彼女いないの?」
有本淳史「残念ながらおらんね・・・俺みたいな変人と付き合いたいなんて人おらんでしょ」
天音琴美「そんなことないでしょ?言い寄ってくる女の子が何人かいるはず!」
有本淳史「いやいやいや、俺なんか全然モテないから」
天音琴美「朱莉ちゃん、今の聞いたぁ?これがイケメンの謙遜だよ。あーやだやだ」
若宮朱莉「たしかにあっちゃんはイケメンだと思いますが、これは謙遜なんでしょうか?」
天音琴美「謙遜してる意識がないから余計に嫌な感じなんだよ!」
有本淳史「僕なんかより天音さんのほうがモテるっしょ?有名人気女優やし、たしかモデルもやってたんとちゃいますか?」
天音琴美「あたしはみんなに憧れを持たれているだけで、モテているわけじゃないの。本気であたしを見てくれる人なんていないのよ」
有本淳史「そう考えると芸能人って孤独なんやね」
天音琴美「そう・・・孤独なの。いつも淋しくて誰かに癒されたいって思っているのよ。あっちゃんならあたしの気持ちわかるでしょ?」
有本淳史「まあそれなりにわかる気はするけど・・・」
そんな有本淳史と天音琴美の話を聞いていた若宮朱莉は水城涼真に小さな声で話しかけた。
若宮朱莉「あっちゃん、やたらと天音さんに絡まれていますね」
水城涼真「そうやな。でもあっちゃんには悪いけど聞いてたらおもろいわ」
若宮朱莉「でも、天音さんってあっちゃんのことかなり気に入っているみたいですね」
水城涼真「同じ年齢やし、天音さんは今まで誰ともこういう話出来へんかったんとちゃうかな。だから今爆発してるんかも」
樫田裕「なんやかんや言ってあっちゃんも天音さんに優しく接してるように思いますわ」
天音琴美はそこまで泥酔しているわけでもないが、さらに有本淳史に絡んでいった。
天音琴美「あたしはこんなお仕事してるけど、日常生活にうんざりしてるの。だから山に登るの!あっちゃん、この気持ちわかるでしょ?」
有本淳史「うん、それはわかる。俺も日常にうんざりしてるから山に登ってるんよ。ただ雪山登山は装備がないからせえへんけどな」
天音琴美「だったらあっちゃん、あたしと二人で山に行こうよ!」
有本淳史「天音さん、東京なんやからそれは無理ちゃうかな」
天音琴美「それはあたしが関西に来るから大丈夫。あっちゃんと二人で登山してみたいの」
水城涼真「あっちゃん、天音さんからの登山デートのお誘いやで。一緒に行ってあげーな!」
若宮朱莉「そうですよ。一緒に行ってあげてください」
有本淳史「いや、絶対明日になったら忘れてますって」
天音琴美「あたし、どれだけ酔っても忘れないからね!」
有本淳史「まあ、京都のどっかの山にナイトハイクして夜景でも見るくらいならええけど・・・」
天音琴美「ナイトハイクで夜景だなんて、イケメンでロマンチック!そのあと、あたしは口説かれちゃうんだわ!!」
有本淳史「まさか口説いたりしないっすよ」
天音琴美「ええーーーっ!つまんないなあ。あっちゃんに口説かれてみたかったのにぃ」
水城涼真「天音さん、そろそろめちゃくちゃ言い出してるで!帰り大丈夫?」
天音琴美「あははははは、冗談ですよ。でも、今日話してみてあっちゃんと山に行ってみたいって思いました」
若宮朱莉「今年はご一緒できると思いますよ」
樫田裕「すんません。笑ったらあかんのですが、あっちゃんがこれほど絡まれてるのがめちゃめちゃおもろいです」
天音琴美「でも、今日は涼真さんの登山仲間の方々とお話できて本当に嬉しかったです。あたしは一人じゃないんだって気持ちになりました」
樫田裕「今日は天音さんとあんま話してませんが、僕も機会があれば天音さんと一緒に登山しますんで、今後ともよろしくお願いしますわ」
天音琴美「ありがとう。樫田さんとも是非ご一緒したいって思っているので今後ともよろしくです!」
そこで有本淳史が席を移動しようとして動き出した。
天音琴美「ちょっと、あっちゃんどこに行くの?ここに居てくれないとあたし拗ねちゃうよ?」
有本淳史「いやいや、そろそろ席替えの時間かなって思って・・・」
天音琴美「席替えねえ。だったらあたしの隣に座って!」
有本淳史「じゃあ席替えはなしで、ここに座ってるよ」
天音琴美と有本淳史の会話が盛り上がっているところで店員がやってきてラストオーダーを聞いてきた。もうみんなかなり飲んでいたが、まだピッチャーにビールが残っていたので何も注文しなかった。そしてこの居酒屋での宴会は終わって、みんな店の外へ出て行った。天音琴美は京都駅までずっと有本淳史と腕を組んで歩いていた。京都駅に到着すると天音琴美以外の4人は「ごちそうさまでした。ありがとうございました」とお礼を言ってそれぞれが解散となった。
水城涼真と若宮朱莉は帰りの電車の中で少し話をしていた。
若宮朱莉「まさか天音さんがあれほどあっちゃんを気に入るとは思いませんでした」
水城涼真「俺も最初は気づかへんかったんやけど、よー考えてみたらあの二人は結構ネガティブな部分で共通点があるんよな。自分は孤独やとか、いつも淋しいとか」
若宮朱莉「わたしも正直孤独を感じることがありますが、あのように本音で話す天音さんをはじめて見ました」
水城涼真「まあでも、あっちゃんみたいな人と出会えて、天音さんも嬉しかったんやと思うわ。めっちゃ甘えてたしな」
若宮朱莉「そうですね。天音さん、あっちゃんにかなり甘えていましたからね」
今日は水城涼真の登山仲間達との顔合わせの飲み会であったが、天音琴美と有本淳史の会話が中心になってかなり盛り上がってしまった。しかし、このことで今後の天音琴美の登山スタイルが大きく変わっていくキッカケにもなったのだ。




