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知能

ミッション終了後、案の定と言うべきかグラン達からの質問攻めにあった。


何が起こったのか、ポイントが取得出来たのか、強化は使えているのか。


エリルはその質問をのらりくらりと躱しながらも、ポイントは間違いなく手に入った事。


だから今後は自分を守ろうとしなくていいと言う事。


自分一人でいくらでも戦えると言う事を強調して返答した。


グランとジェシカは何かピンと来ていたのか、グランの方が耳元で『それがお前の異能なんだな?』と言う趣旨の質問を投げかけてきていた。


まず何かしらの方法で自分がポイントを手にした事は簡単に予想が出来るだろう。


その上で今回エリルは、参加者全員が身体強化2を持っている対人戦を一人で勝ち抜いた。


その時点でエリルも身体強化2を持っている……つまり最低でも昨日から今日の間で550ポイントのBPを手に入れた事になる。


だからこそグランは気づいたのだろう。


エリルの『100倍』と言う異能が、ポイントを増加させる為の異能だった事に。


グランの言葉にエリルは黙って頷きを返す。


そこに返って来た言葉が『誰にやられた』と言うものであった。


つまりポイントの入手方法までグランは予想を立てたと言う事。


先日エリルの部屋で起こった事は現場に居合わせた者達とロキしか知らない事だ。


グラン達が知っていたら確実に誰か一人はその場に駆けつけていた事だろう。


エリルは暴力を振るわれた事でポイントを取得した、そしてポイントを取得した事によってはじめてエリルの異能の『100倍』が発動した。


数発暴行を受けた事で身体強化の1と2を同時に獲得するだけのポイントが取得出来た。


ポイントが取得出来た事はさておき、問題は誰が暴力を振るったのか。


グランが問題視したのはそこだったのだろう。


その時点でエリルにとってツギシーヌ達がしでかした問題に関しては正直どうでも良いと思っていた為、その点に関しては答えを濁す事にした。


黙っていても非戦闘組の内の誰かと言う事は簡単に分かる事だが、その内の誰がやったかまでは分からない事だろう。


本人が暴露しない限りは。


むしろ今となっては感謝の気持ちすら浮かんでくる始末だ。


彼らが自分へ暴行を加えた為に自分がポイントを取得する事が出来た。


そして戦う力を手に入れて、誰にも守られずによくなってそしてシアン達を復活させる希望さえ手に入れた。


挙句にはこの力が神に届き得る可能性があるとすれば、心底ロキにむかっ腹が立っているエリルからすれば願ったりかなったりな状況だ。


だからこそそのチャンスを与えてくれたツギシーヌ達にはお礼を言っても良いぐらいだとは思っている。


お返しに異能2……もしくは3を使ってのパンチでポイントを返してやるのもいいかもしれない。


それであいつらが生き残れたらの話だが。


ポイントが勿体ない為今は決してそんな事しないが。


グランはそんなこちらの心境を悟ったのか、犯人捜しは直ぐに諦めた後で、ポイントが手に入れられた事、それで強くなれた事、何より今日無事でいれた事に『良かった』と口にしたのだ。


全く……こいつは何処まで人の為に行動をしようとしているんだと、グランの性格を最大限に評価しつつ……その上でやはりこれ以上交流を続けるのは危険だと思った。


エリルが今一番警戒しているのは、自分の為に誰かが犠牲になる事。


少ないやり取りで直ぐに分かる。


グランは必ず自分を犠牲にしてエリルを守ってしまうタイプだ。


今現在身体強化3、異能強化3とどちらも手に入れている事から無類の強さを持っている事で余計に自己犠牲感が強くなってしまうだろう。


それではダメだ。


またいつあのキングドラゴンレベルの敵が現れるか分かったものじゃない。


そもそもあのレベルが最大の魔物強さと言う保証も無いのだから、そう言った魔物が現れた時に彼が自分の命を投げ打ってしまう様な行動は絶対に取らせたくない。


少なくとも自分が関与してのその行動は一番ダメだ。


エリルにとっては既にシアンとケヴィンの死はトラウマと化している。


少しでも自分と交友を結ぶ事で判断を誤り、誰かが自己犠牲を行う様な結果は二度と起こさない。


だからこそこの関係性は断つべきだとエリルは確信した。


こちらの反応の悪さから、あまり長話をしたくないと察したのか、グランが一度解散を持ちかけた。


未だにディム達がエリルに起こった謎現象にあーでもないこうでもないと憶測を繰り広げていたが、強制定期に皆自室へと返されたのだ。


グランのこの察しの良さ、理解力の高さは彼のコミュニケーション能力の高さから来るもの……と言う訳でも無いのだ。


先程のミッションで自分も初めて身体強化2を使いながら戦っていて分かった事がある。


この『身体強化』と言う名称は、本当に身体の至る所を強化する代物だ。


筋力だけじゃなく勿論肌自体も強固になり、動体視力も反射神経も遥かに向上する。


そして更に、『知能指数』まで強化が掛かっている様な感覚をエリルは感じたのである。


勿論経験則にもよるが、相手が次どの様な行動を取るのかいつも以上に簡単に予想できた。


最後に戦った男の異能に『キャッチ』以外の効果が隠されている事に早い段階で気づいたのも、身体強化によって知能指数が強化されていた恩恵だろう。


脳神経ですら確かに身体の一部なのだから、考えてみればそこに強化が掛かるのも当たり前の事だ。


だからこそグランとジェシカが自分の異能が発動して、ポイントが100倍になった事も簡単に予想できたと言う事。


彼らは二人して身体強化3を持っているのだから、今現在誰よりも賢いと言う可能性だってある。


そしてこの思考能力が向上した事こそが、あのシアンとケヴィンが見せた無言のチームワークだ。


何故あれ程まで打ち合わせ無く互いのやる事が分かっているかの様に戦えていたのか。


最も効率的な戦い方を瞬時に編み出していたのはどうやっていたのか。


シアンがあんなに早い段階で戦い慣れを見せていた理由はなんなのか。


その全てがこの思考能力の向上によって齎されたものであった。


エリルは戦いながら、その事実を噛みしめていた。

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