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守ってやる

確かにこれだけの威力が出せるので有れば、ゲリラボスでも討伐が可能なのだろうなとエリルは再度納得する。


異能強化3を手に入れた事で更に能力が向上した結果なのかもしれないが、十分すぎる攻撃性能を持っているのは事実だ。


エリル自身、今の攻撃が直撃していたら負けていただろうなと確信できる程度には警戒している。


だけどもうそろそろ良いだろう。


容赦なく相手ファミリーにはポイントを与えるつもりが無いのは変わらないが、だからと言ってこのまま一方的に殴り続けるのも気分が良いものでは無い。


だから次で終わらせる。


もう既に攻略法はエリルの中で確立している。


だからこそワザと彼がキャッチ『し易い様に』先程馬乗りになった際には上半身ばかりを狙っていたのだから。


要するに、彼の手が届く範囲を執拗に攻撃し、こちらの攻撃が届くのならそれで良いが、キャッチされて吸収が起こるのなら『尚良い』と考えていた。


理由は単純だ。


半リリースを行った事で溜まりに溜まったエネルギーの解放を見て、この威力なら相手を倒せると確信したのは彼だけでは無かったのだ。


男は右手で掌底をやりたいのか、それを振り上げながらド素人丸出しの動きでこちらへと駆け出してくる。


その威力を目の当たりにしたのだから、エリルの方から反撃を仕掛けて来る様な事は無いと彼は信じ切っているのだろう。


相打ち覚悟で踏み込んで来ても攻撃の威力で勝る自分の方が圧倒的に有利な状況に有ると確信しているのだろう。


だから滅茶苦茶なフォームでも、男は特に試行錯誤する事も無くそのまま手の平をこちらに振り下ろして来たのだ。


僅か二回しか見ていないがエリルは既にリリースの原理を理解している。


キャッチが彼の手の平に触れる事で発動する異能である事と同じ様に、このリリースも彼の手の平から吸収されたエネルギーが放出される仕組みにある。


その為キャッチを免れる時と同じ様に、このリリースの際も彼の手の平に触れなければある程度攻撃を防ぐことが出来るとエリルは考えた。


エリルは突き出される彼の右手が突き出され切る前に彼の右手首を外側から叩いた。


さらに押し込む様に、叩いた事で軌道が曲がった彼の腕をプッシュすれば、彼が突き出した弾の右の手の平は弧を描き、己の左肩へと触れてしまう。


その瞬間彼のリリースが発動してしまい、彼は己の左肩に向けて己自身で攻撃を仕掛けてしまったのだ。


「あがっ……」


エリルがそう仕向けた事もあるが、彼の右手は手首辺りが腕の付け根の位置に当たった事で、手の平から発動されたエネルギーは彼の左腕を吹き飛ばす程度に収まった。


もう少し内側に誘導していれば恐らく胸部からごっそりと彼の左半身は吹き飛ばされてしまっていた事だろう。


それは間違いなく死に直結してしまう状況だ。


エリルはそこまでは求めては居ない。


自分の手で殺す気は最初から無い。


例えルールとして勝敗の結果に生死が関わっていないとしても、敵だとしても同じ人間である事には変わりは無いからだ。


どうしても、相手を殺さなければこっちが死んでしまう様な状況で無い限りは、それを貫こうとも考えている。


どちらにせよこれで決着はついた。


あれ程の莫大な威力を左肩一新に受けた事で、相手の男は空中でドリルの様に何回転もしながら吹っ飛び、舞台の外へと落下していった。


意識は残っているかもしれないがその時点で戦闘不能だ。


彼もファミリーハウスに戻ればあの左腕も元通りになるだろう。


勝敗結果をシステム側も判断できたのか、いつもミッション終わりに表示されるスコアボードが目の前に表示される。


この時、初めてエリルの名前がスコアランキングに乗る結果となった。


『ミッションクリア』


討伐合計数


フレイファミリー 5人



エリル



フレイファミリー 5人 500P

討伐ボーナス   5人 250P


計 750P 



グラン



フレイファミリー 5人 500P


計 500P



ジェシカ



フレイファミリー 5人 500P


計 500P



……。


エリル以外のランキングの順番は、ルール通り全員が同ポイントである為に今回の対人戦に参加予定だった者の順番に名前が連ねられ、それ以降は完全にランダムにファミリーの名前が表示されていった。


どうやらこのスコアボード上では、エリルの取得ポイントは『表向き』のポイント数しか出ないらしい。


これはこれで好都合だ。


今ここで100倍の効果分まで発揮されて全員にエリルが75000Pをゲットした事を知られるのは中々厄介な事かもしれないと思ったからだ。


グラン達になら言っても良いが、あの非戦闘組は何を言い出すか分からない為余計な事は知られない方が良いとエリルは考えていた。


……まぁ、グラン達にも別段言う必要は無いのかも知れないが。


今回の件で彼らの中から自分が庇護対象から外れた筈だろう。


これで彼らに余計な行動を起こさせる事なく、自分の命を優先してくれる様になればそれが一番なのだ。


もう二度と……人を守ろうとする様な行動は誰にも取らないで欲しい。


シアンとケヴィンを失った時と同じ様な事は、決して起きてはならない。


安心しておけ。


お前等はそんな事求めないかもしれないが、今度は俺が……お前達を守ってやる。



――――……。

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