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潜在能力

「そりゃぁね? 流石に僕も終わったなぁって思ったよ? キングドラゴンなんて出された日には、僕の駒はここまでかぁみたいな。でもペナルティが半端なくて、オーディン君は今回の戦い諦めたんだなぁとも同時に思ったなぁ。僕の駒はここで全滅だけどぉ、神格ランキングでは断トツでオーディン君が最下位になっちゃうからそれもいいかぁとも思っていちおー覚悟は決めてたんだけどねぇ。ほんっとーに奇跡だったよ。シアンもケヴィンも良い仕事してくれたよぉ。飛車角落ちみたいな状態だけどさぁ、オーディン君がここで敗退確定なら、駒が残った事で満足するべきかなぁ?」


ロキの言う通り、今回の様に裏技を扱った事で莫大なペナルティがオーディンには課される。


神格ランキングでは圧倒的に再開を刻む事となり、もはや次回のラグナロクにすら影響を齎しかねない代償を払った事にもなるだろう。


ただ、それでもロキが一位になる事だけは止めるべきだとオーディンは判断したのだ。


トールが一位になるならまだ良い。


『フレイ』や『ヘイムダル』でも構わない。


ロキでなければ良いのだ。


だが今回のキングドラゴンの討伐が為されてしまったこの結果は、どちらかと言えば『失敗』に等しい状況だ。


確かに現段階でのロキのファミリーの中で『二強』であったシアンとケヴィンは下した。


しかし、ロキの言動から何故か評価が低いが、何度も言う様に他のファミリーに居ればエースを張れる存在がまだ何人もロキのファミリーには残っている。


もはや今回の振り分けには悪意が有るのではと思ってしまう程にばらつきが酷い。


圧倒的リーダーの存在がファミリーの面々を底上げした事が理由なのか、シアンとケヴィンに引き上げられる様にしてロキのファミリーは多くの主力を抱えている状況だ。


自分達で選んだ訳では無く、ファミリーに選出される存在も完全にランダムである為に、そこにロキが何らかの形で人選に関与出来る様な抜け道は存在しない。


だからこそオーディンにとっては何故ここまで偏るのだと思ってしまう程であった。


「……お前のファミリーには、まだ途轍もない潜在能力が残っているだろう」


ほぼほぼ皮肉交じりにオーディンはロキへと言葉を連ねた。


何故露骨にその人物の名を出さないのかが分からないが、ロキはその人物を誇ろうとしない。


自分のファミリーにもしあのレベルの戦士がいたのなら、自分は大手を振って喜んでいただろう。


そもそもシアンやケヴィンを無理して止めようとはせず、自分のファミリーの成長を促進する様な動きに力を入れていた可能性だってある。


「んー? 途轍もない潜在能力って誰だぁ? 確かにねぇ? 確かにグランは凄いよぉ? だけどシアンとケヴィンに比べたら一段階落ちるって言うかぁ、そんなに褒められる程じゃ無くない?」


何を言っているのかさっぱりだ。


最高水準の二人を見続けてしまったせいなのか、ロキにとってグランが何故そんなに評価が低いのかが不明だ。


……自分達神は、ファミリー達のミッションが始まるタイミングでは、ほぼ別の神のファミリーに対して駒を配置してその戦況を把握し続ける事に徹している事が多い。


だからこそ自分達ファミリーの戦績に対しては確かに把握が難しい部分がある。


それぞれのリザルトによるポイント取得で戦績を判断することも大事だが、己のファミリーの戦闘記録なら『主神』の権限を利用して『リプレイ鑑賞』が出来る様になっている。


それを見ればファミリー達がどんな戦闘を行っているのか、どの様な事が得意なのかと言う判断が出来る。


ルール上異能の使い方の教示と言った事は出来ないが、遠回しなアドバイスならいくらでも出来る。


ファミリーの元へ訪れる事の出来るタイミングは決まっているが、それでも彼らが求める情報を最大限に理解して教授すれば、己のファミリーの底力は上がる事だろう。


……恐らく、そう言った行為をロキは『やってない』のだ。


ポイントが全てと言うべきか、どのファミリーがどれだけポイントを稼いだかでしか判断していないのだろう。


だから分かっていない。


ロキのファミリーに対して魔物をぶつけている側の、要するにロキ以外の他の神は気づいている。


あのロキのファミリーの『根幹』は、シアンとケヴィンだけではない事に。


「……『エリル』が残っているだろうが」


ヒント……と言うよりも彼に気づきを与える事は借だが、もはや自分の敗北が確定的な現状としては理不尽な扱いを受けているであろう人物への、ロキの意識を誘導する事で少しだけでもマシな扱いをする様に仕向ける事を考えての発言だ。


……神の神格を懸けて、ランキングを決めるための戦いであるこの『ラグナロク』は……政権交代の時期が訪れるとほぼ強制的に開催される。


ルールは自分達で決めていると言えど、神側にもその拒否権は殆ど存在していないのだ。


遥か昔から……自分達より上の世代だった神達からの時代の決まり事であり、今の時代の神達が力を合わせてもその呪縛を解く事は出来ない。


……ロキが前向きに協力するのであればその限りでは無いが、見ての通りロキはこの戦いをいつもいつも『楽しんでいる』のだからなくす事に協力的になる筈がない。


……つまり、人間達はこの神達が勝手に決めた最悪なサイクルの中に『巻き込まれた』存在達だ。


ロキはいつもいつも『駒』だなんだと言い放っているが、そんな扱いが許される筈が無い。


寧ろどれだけ彼らを生存させるか、どれだけ彼らに対する恩義に答えられるか重要視するべきだとオーディンは思っている。


何故なら自分達の代わりに代理戦争を行っているのだ。


自分の代わりに戦って貰っているのだ。


どうやったらそんな者達を虐げる事が出来ようが、不義理に扱う事が出来ようか。


……ロキのファミリーに対して容赦なく魔物を仕向けた自分が言えた立場では無いが、少なくともロキのあの態度では必ずファミリーからの反感を買う。


何度も言う様だが、その怒りの矛先がロキだけでなく他の神へと向かう可能性だって有るのだ。


だからこそ神の喉元に届き得る存在に対しては、いくらロキでも相応の態度で臨むべきだと思った事での『エリル』の名指しであった。


「はぁ? エリルぅ? あんな無能の何処に途轍もない潜在能力が眠ってるって言うんだよ。バカも休み休み言ってよねぇ」


……気づいていない?


……そうだった、彼はポイントしか見ていなかったのだったなとオーディンは思い直す。


確かに彼は魔物を討伐する際には、異能を使っている形跡が見られずそれによって自分の手柄として魔物を倒している様子は見られない。


いつも振るっている武器もファミリーからの借り物らしく、だとすればエリルには恐らく1ポイントも行っていないのだろう。


その理由は恐らく彼の持つ異能が『ポイント』に関わる系統のあの最悪な『何倍』系統の物なのだろう。


あれはポイントを手に入れる手段が非常に限られており、一度ポイントをどうにかしてでも手に入れない限り、その人物が強くなる可能性は皆無だ。


10日間、エリルは一切のポイントを入手することなく生き残り続けた。


身体強化も異能強化も手に入れてない存在が、10日間生き残り続けた事例等殆どない。


だからこそそんな集団ばかりのロキのファミリーが異次元の存在扱いされるのだが、大体のロキのファミリーは『一切戦わない』と言う行動を取る事で生存を図っている様に見えた。


だが、ポイント未獲得者の中で唯一常に戦場へ立って最高の戦果を挙げている存在が『エリル』であった。


どう考えても可笑しいのだ。


身体強化を手に入れていない、異能も扱えないと言う状況で、それらを持っている存在よりも活躍している場面が多い。


今回のキングドラゴンにせよそうだが、大抵の場合彼が切っ掛けとなってミッションが一気に攻略へ向かう事が多いと他の神からも聞いている。


素の状態で戦場へ立って生き残り続ける事自体が有り得ないのに、それを彼は十回連続突破していた。


これを『途轍もない潜在能力』と言わずして何と言うのだろうか。

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