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十日目


「やぁやぁやぁやぁ! ご無沙汰してるねぇ!? みぃんながお待ちかねのロキ様の登場だぉ!」


「消えろ、ミッション前にテンション下がる様な真似するんじゃねぇ」


ミッションの始まりは決まって昼過ぎに始まる。


システムボードに表示されている時間で言えば、13時に始まると言ったところだろうか。


まるで午後の始業時間のような始まり方だ。


今は一同が全員昼食を終え、緊張の走るミッション開始5分前と言ったタイミングで、この存在自体が迷惑極まりないロキが現れた。


ケヴィンが一瞬にして彼に返した言葉だが、恐らく誰もが同じ事を感じた事だろう。


半分以上は恐怖による感情の方が多いだろうが。


「もぉー、折角『高難易度』のミッション前に皆を鼓舞しにやってきたのにさぁ。いつになったらケヴィンは僕に信頼を向けてくれるんだい?」


「そうだな、テメェが自分の行いを後悔しながら、のたうち回って死んでいったら……いくらかテメェに情を向けてやれるかもしれねぇな」


「そんなの一生ないじゃないかぁ。僕は最強の神だよ? そんな僕が死ぬことなんてありえないよぉ」


何度目になるか。


ロキは再びいくつか気になる発言を会話の中で漏らす。


もはやそれはお家芸と言うべきか、ワザと漏らしてこちらに有益な情報を齎そうとしている様に見える。


自分の駒と言っている以上、自分達に拘りは無いのだろうが、それでも代理戦争を行わせている以上、その自分の駒が有利になる様に立ち回るのは当然と言えば当然か。


彼が時折口にしている『ルール』とやらに触れるだろう事から直接的な発言はしないのだろうが、自分のキャラを利用しておちゃらけながら重要なキーワード漏らす事で、その小さな言葉から様々な事を読み取る事ができる者に情報を託す事を考えているのだろうか。


大した事は考えて無いのかもしれないが。


今回エリルが気になったワードは二つあり、一つ目は先程ロキが言い放った『最強の神』と言う言葉。


ただ神を揶揄して一纏めに『最強』と表現しただけなのかもしれないが、仮にそれがロキ本人を示す言葉だったとしたら違和感しか無い。


彼らが本当に地球に存在する北欧神話と同じ存在かどうか定かでは無いのだが、仮に神話通りなのだとしたら、最強の神はロキでは無いはずだ。


順当に行けば最強の神はオーディン、もしくはトールの筈だ。


ロキは確かに有名なラグナロクを起こした張本人なのだが、最強の代名詞では無い。


……あまり気にする話では無いのかもしれないが、ただ言い方が気になったのである。


2つ目の言葉は、今回が『高難易度』になると言う発言。


そもそもこのファミリーに与えられているミッションは、その生存者数から他のファミリーよりも元から強敵が現れやすい立場にあったはず。


そんな状況で敢えて『高難易度』と言う発言を出す辺り、今迄とは比べ物にならないレベルの敵が現れるとでも言うのだろうか。


「みんな今日は何日目のミッションになるか分かるかなぁ? そう! 『十日目』に当たるミッションなんだよねぇ! とてもキリが良い数字だからさぁ、今回はいきなり『ボス戦』になるミッションだよぉ! イメージで言うとぉ、ダンジョンに存在する『階層主』みたいな感じかなぁ?」


何となくだが言いたいことは分かる。


ゲーム等で定期的な区切りで現れる中ボスの様な存在。


一定の段階まで進んだタイミングで、その先に行く為の関門となる様なボスの存在だ。


確かにその日はロキの言う通り『十日目』を迎えるミッションとなり、エリルのポイント問題は相変わらず解決しないが、それでも何事も無く九日目のミッションを無事に終えた翌日の出来事であった。


非戦闘組は完全に心が折れてしまい、全くと言っていい程に戦闘に参加する気配を見せなくなった。


その影響で相変わらず戦闘組の九人がもろにその後始末を被る事となり、だが結果的にシアンとケヴィンが次のタイミングで確実に身体強化3を手に入れられるポイント圏内までやってきた状態だ。


要するに、二人して所持ポイントが4000代後半を迎えている。


敵の種類によってはグランもその位置に居るのだが、まずはこの二人だろうと言う状態だ。


そんな状況で迎えたこの十日目。


……今迄不定期に、しかもミッション終了後に現れていた彼がこのタイミングで出てくるのであれば、あながち彼が言っている事は適当では無く、本当にこの後に待ち受けている高難易度に対する注意喚起でもを施しに来たとでも言うのだろうか。


「何だ? まだるっこしく時間を掛けて魔物を倒して、やっとの思いでボスを出現させて討伐するより随分とサービスが良い展開じゃねぇか。全部そうすりゃいいだろうに」


と、ケヴィンが鼻で笑いながらロキに提案の様に投げかけた言葉。


しかしロキはその言葉に対して首を横に振りながら否定の言葉を飛ばして来る。


「残念ながらそんな簡単に行く話じゃないんだよぉ。君達も分かってるだろうけどさぁ、ミッションを重ねる度に敵の数や強さが段階的に増えて来たでしょぉ? それに伴ってぇもらえる平均ポイントも増えてきてるよねぇ? それでそれでぇ、強力な魔物個体であればある程貰えるポイントも増えるでしょぉ? でねぇ? 今回のいきなりのボス戦となるぅ……そうだなぁ、ゲリラボスとでも名付けようか? ちょっと意味は違うだろうけど、まぁ突発的に現れるって意味では近いかな。んでぇ、そのゲリラボス戦でもぉ、君達がもらえる平均ポイントは今までと変わらないんだよねぇ。要するにぃ、今迄全員が合わせて5000ポイント貰える様な戦いを繰り広げて来たとしてぇ、それは沢山の魔物やちょっと強い個体が数体入り混じる状況の乱雑な魔物配置だったと思うけどぉ、今回のボス戦はボス本体とぉ……取り巻きが数体居たとして、合計10体にも満たない魔物の数で今まで手に入れてた合計ポイントが手に入る様な魔物が現れるってわけぇ」


「……仮にボス単体しか現れなかったとすれば……5000ポイントを持っている、そしてその取得ポイントに相応しいだけの力を持った魔物が現れると……?」


「正解! 流石シアンだねぇ! 彼の言う通り、今迄手に入れていた様なポイントが集約されたされたレベルの魔物が今回ボスとして現れる事になるんだよぉ。君達はさぁ、ただでさえ生存人数が多いのに、戦わない愚か者が多いせいで戦っている君達が滅茶苦茶割を食ってるでしょぉ? 他のファミリーは君達程数も多く無いしその上全員が戦うから一人頭の負担は大幅に減るんだけどぉ。まぁ僕が今回ここに来たのはぁ、ひょっとすると普通にシアンやケヴィンでも負けちゃう様なレベルの魔物が現れる可能性があるからぁ、四の五の言ってないでちゃんと戦えよって発破かけに来たんだよねぇ」


言いながらロキは非戦闘組の面々へ仮面に描かれた目で視線を向ける。


じっくりと一瞥しながら一人一人を睨め付ける様に視線を動かす。

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