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茶番劇

「わ……私は悪くない!! あんたをやろうと言い出したのはライアンさんだ! 私は脅されてやらされていただけなんだ!!」


エリルがただ無表情でジョナサンに近付いていった所、突然命乞いを始めた彼。


そしてその言葉を聞いたライアンは予想通りにキレ散らかしながら反論を始める。


「な! 何を言っておるんだ馬鹿者が! ワシは関係ないじゃろう!? そもそもその無能を退けようと言い出したのはワシではないじゃろうが!!」


「あんたでなくて他に発案者が居たとしても、どうせそれを承諾したんはあんたなんやろ? どうでもええわそんなもん。問題はあんたらは自分の保身の為に人を殺そうとした……そこやろうが。そんで、今あんたらはそれに失敗してもうた訳やけど、どうやって収拾付ける気なんや?」


どうせ今更犯人捜しした所で他人に擦り付け合って有耶無耶になるのが落ちだ。


だからこそエリルは首謀者こそライアンと言う形にしたが、その責任の所在は元非戦闘組の者達に有る様な言い回しをしたのだ。


「どうって……あ、あんたなんかいなくなった所で別に役に立ってなかったんだから、精々ここで死んで敵の強さを下げる事に貢献しなさいよ! あんたにはそれくらいしか役に立つ方法なんか残されて無いでしょ!?」


「せやったらまずは参考に自分が死んでみたらどうやねん。まさか……他人には自己犠牲を求める癖に自分はできひんなんて事あらせんよなあ?」


「なんであたしが死ななきゃいけないのよ……あんたよりはあたしの方が十分に役立ってるわよ! ね!? ライアンさん!?」


「……いやまぁ……そう……じゃな」


何とも歯切れの悪い返事をするライアン。


恐らくアレクシアの言葉に同意する自分と、先日のエリルの戦いを目撃した自分が心の中で葛藤しているのかもしれない。


なんとも優柔不断な奴だが、いずれにせよ彼はここで自分に消えて貰う方が良いと判断した側にいる事には違いはない。


「ちょ……もっとはっきり答えてよ! それならカーラさん! カーラさんはどう思うの!?」


「……私は賛成も反対もしてないわ。貴女達が勝手に決めた事に私を巻き込まないで」


タバコでも片手に持ちながら喋っていそうな若干ハスキーな口調で喋る彼女は、今迄の発言からすれば予想外に彼等へ同調する様な意見を見せなかった。


「あ……俺も一応……賛成はしていない……けども……」


「……まぁあんたはそう言うしかないでしょうね。あんな無能に『助けられてる』んだから」


カーラに同調する様に言葉を連ねたのは、以前のスパイク見殺し事件の際に一番騒いでいた男だ。


恐らくだがカーラとこの男はあの戦いの場には居たもののライアンとは違い、スケルトンジェネラルとは戦わなかった二人だ。


だとしてもライアンと同じ様にエリルの戦い方は目撃している。


今迄無能だと思っていた相手が傍から見れば自分達より活躍している様を見て、ほんの少しだけ考えを改めているのかもしれない。


男に関してはグランが発案した件であの時の食事をエリル側から恵んだことにより、やはりこちらのほんの少しだけ温情を感じているだけなのかもしれないが。


だとすればあの時の行動は結果として良かったと言えるのかも知れない。


ただ、彼らの発言上あくまで賛成はしていないが反対もしていないと言う事。


ある意味で成り行きに任せて無関係を貫き、『見殺し』にする立場には居座っている為に完全に味方として捉える事は当然できないでいる。


「あぁもう!! 兎に角とっととあたし達の代わりに死んでくれって言ってんの! そんな簡単な事ぐらい出来るでしょ!?」


「せやから自分がやってみい言うてんねん。簡単なんやろ? 直ぐに出来るんやろ? 自分がやったら俺やって考えたるわ。考えるだけやけどな」


「もうほんっとムカつく! 何よこいつ! 何でこいつばっかり良い思いしているのよ! 訳分かんない! ライアンさん早くこいつどうにかしてよ! 全部自分に任せてくれたらどうにかするから大人しくしてくれって言ったのはライアンさんでしょ? でも結局何もしてくれてないじゃない!? まさか本当にシアンさんにビビッて何も出来ないって訳じゃないでしょうね!? あんな小僧くらいいつでもどうにでも出来るから、利用価値のある今の間は従ってる振りしようって言ったのも嘘だったの!?」


「知らん! ワシはそんな事は言っておらん!」


「なんやあんた。そんな事言うてたんか。シアン本人が聞いたらおもろい事になりそうやな」


「言っておらんと言うておるじゃろ!? アレクシア! 適当な事抜かすでない!」


「何が適当な事よ! ここに居る全員その言葉を聞いているわ!? それでも誤魔化すって言うの!?」


「黙れい!!」


「ぎゃっ!!」


ライアンは突然アレクシアを殴り飛ばした。


余計な事をこれ以上言われたくなかった為か、それともただの怒り任せの攻撃か。


「あ……に……すゆのよ……」


しかしライアンは身体強化1を持っている状態で、しかもその能力を発動しての殴りつけを、身体強化を持っていない状況のアレクシアへと浴びせた。


それにより殴られたアレクシアの顎は砕け、下顎が辛うじてぶら下がっているだけと言う大怪我を負った。


「い……ひゃい……いやい……あぁぁあああああああ!!」


遅れて痛みが襲ってきたのか、アレクシアは顎の周りに手を添えながら騒ぎ始める。


彼女が何を躍起になってこちらの事を大批判するのか理由も何も分からないが、只管一人で騒いで怪我をして叫んで……はっきり言えばヒステリックな問題児にしか見えない。


反対側ではシアン達があれだけ必死にゴーレム達と戦っていると言うのに、こちら側ではこんなふざけた茶番劇が繰り広げられている。

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