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ポイントの使い方

その後シアンが口を開く。


「大体の質問内容は決まっている。今手に入れた情報を色々纏めれば、先日ケヴィンもあのロキの言葉から気付いた通り、恐らく俺達『以外』にも同じ様にこの訳の分からないゲームに参加させられている者達が居る可能性があると言う事」


「せやな、あいつは俺達の事を見て『全員生存』しているなんて凄い言うてた事も含めれば……多分やがその他の奴ら中では恐らく既に『被害者』が出てもうてる可能性があると俺は踏んでるで」


エリルがそう発した瞬間、一同の中に僅かなざわつきと緊張が駆け巡る。


戦わない組は、戦場がどうなっているのか恐らく殆ど分かっていない状況だ。


確かにまだ雑魚と言われる魔物しか登場していない事から、何となくデスゲームと言う割には『緩さ』を感じているのだが、それでも改めて考えても見れば、初日だけでも既にジェシカとグランは死にかける事態に陥っている。


ケヴィンだって状況は違えど死んでもおかしくない状況だったのだから、ただ運が良かっただけで自分達もいつ死人が出ても可笑しくない状況だ。


今はまだ自分達は言った通り全員生存している為、『死ぬ可能性がある』程度で話は住んでいるが、エリルが別の所では既に死人が出ている可能性を示唆した事でそれがただの『可能性』では無く確定した物であると言う認識に切り替わったのだろう。


今の発言はするべきでは無かったか。


折角……と言って良いのかどうかは分からないが、ロキが新たなルールを追加した事で今まで戦わなかった者達も自らポイントを稼がなければ碌に食事にも有りつけない状況を作り上げたのに、エリルの一言で再び戦う事が億劫となってしまったかもしれない。


しかし遅かれ早かれ、いつまでも戦わないと言う選択肢を取り続ける事は出来なくなってしまうだろう事は容易に想像が付く事から、早い内に現実を叩きつける事も間違いでは無いだろうとエリルは無理やり思う事とした。


「そこでだ。俺が次にしようと思っている質問は、『何が目的か』と言う物にしようと思っているが……どうだ?」


「それしかないだろうと俺も思う」


初めに賛同したのはグランだ。


元々シアンや自分達に友好的であるからこそ、協力的な言動をする彼はすんなりとシアンの提案を受け入れている。


「余程馬鹿な質問じゃねぇ限り、取り敢えずはお前に任せる」


ぶっきらぼうな物言いだが、つまりそれは『賛成』と言う意味なのだろう事が分かるケヴィンの発言。


「それで良いっしょ! シアンが言うなら間違いねぇっしょ!」


軽い。


物言いが軽すぎるが、それでもネイサンの賛成はこの場では大きい。


彼が賛同する事で他のシアンチームの三人も便乗してくるだろうからだ。


シアンはちらりとこちらに視線を送って来るが、エリルからしてもその内容で問題が無いと思っている為否定の異は無いと言う態度を示す様に、軽く頷きながら片手を上げた。


「あんた等はどうなんだ? 何か他に聞きたい事があったら言ってくれ」


律儀……と言うのだろうか。


シアンは全く発言をしない非戦闘組に対しても質問を投げかける。


彼等に決定権は有って無い様な物なのだが、それでも手を差し伸べようとするのは流石だと言わざるを得ない。


「ふん……好きにするがよいわ」


何でまだそんなに偉そうな態度を取れるのか。


全く意味が分からないが、ライアンはそっぽを向きながらそう発言した。


非戦闘組は彼の意見に右習えなのだろうか、彼が発言した事で誰一人として己の意見を伝える者は現れなかった。


「よし、なら次の質問はそれで行こう。後はポイントの分配なんだが……先程ロキが言った通り、残念だが食事券は一枚しか渡せなくなってしまったな」


「そうみたいやな。悪いなジェシカ、あんさんに貰った大量の食事券も、どうも返されへんみたいやわ」


試しにエリルはジェシカから貰っていた食事券を一枚ずつ彼女に渡してみたのだが、二枚目を渡そうとした時にシステムボードに忠告メッセージが表示される様になっている。


『これ以上渡せません。アイテムの消失の恐れがあります』


と言う様な文章だ。


「いえ、良いんですよ。むしろあのロキと言う人がルールを適用する前に私がエリルさんに渡せた事で、しっかりとエリルさん分のポイントを使える事が出来てたんで良かったくらいです」


ファミリーハウスに戻った瞬間から、ジェシカは何やら急いでこちらに食事券と水を渡していた。


聞けば、またあの非戦闘組がポイントの事でとやかく言ってエリルに文句を言う前にさっさと渡してしまおうと思っての行動だったらしい。


それが功を奏した……と言うべきなのか、ロキがルールを適用する前の行動であった為に、その時にジェシカから貰ったそれぞれのアイテムは既に『エリルの物』として認識された様であった。


そう言う事なら恐らくケヴィンのシアンに貰った分は恐らく彼の物として繁栄されている事だろう。


つまり彼の今日分の食事が確保出来ているということ。


そしてそれは、ケヴィンが今の時点で自己強化する為にバトルポイントを消費しても構わないという事だ。


「いずれにせよやな。ジェシカ、とりあえずあんさんは言ってた通りこの後『身体強化』を取るべきや。あんなおっさんでもえぐい力発揮出来るくらいの上昇の仕方やったからな、今後あんたが戦っていくつもりやったら絶対に必要な能力やで」


「はい……が……頑張ります」


声を震わせながらも、ジェシカはエリルの言う通りにバトルポイントを使用していく。


今回の彼女のポイント獲得量はかなりの量であった為に、半分のポイントを消費してエリルへ食料を渡したとしても、十分に身体強化の選択と、自分の分の食料を確保する事は可能な程残っていた。


「エリル、気になる言葉があったんだが、ライアンはこの状況で身体強化を選択したのか?」


グランが素朴な疑問、と言った様子でこちらに質問を投げかけてくる。


「そうやろうな。直接見た訳やあらへんけども、さっきあのおっさんに腕を弾かれた時、有り得へん力で押し返されたんや。大方あのおっさんはさっきの戦いで偶然手に入った50ポイントをそのまま身体強化に使ったんやで」


「そ……それの何が悪いと言うのだ!? ワシが手に入れたポイントをどう使おうがワシの勝手じゃろう!!」


ロキに好きにやられた後から妙に静かにしていると思っていたが、彼が居なくなった後だからかここぞとばかりに吠え始めるライアン。


「シアンにポイントを返さずにか? 返さない事自体問題だが、それ以上に助けてもらい続けてた彼に一言も相談せずにポイント消費したのか? お前が徒党を組んでいたその非戦闘組の食料の事を何も考えずにそうしたのか? 今日の分のあんたの食料はどうするつもりだったんだ? まさか……それさえもシアンに負担してもらおうとか考えていたのか?」


ゆっくりと前に出ながら口を開いたグランの言葉は止まらない。


よっぽど煮えたぎっていたのか、ここぞとばかりに彼を責める。


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