表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

アリス

作者: mito

-きっと幸せになれる


あなたに会うことが出来ればきっと幸せになれる


あなたに触れることが出来たなら幸せになれる


はずなの。それ以外に幸せになる方法なんてないの




「おはよ〜」

ふと声がして現実に戻される。顔を上げるとまいが前の席に座ってこちらを見ていた。

ゆい「おはよ」

まい「休み長かった〜ゆい全然LINE返してくんなかったもん。寂しかった!」

ゆい「あーごめん。色々忙しかった。」

まい「…どうせまたかなたくんでしょ」

ゆい「そりゃぁ私の生きがいですから。」

立花かなた…私のこの世界での唯一の光…毎日見てるしお金も時間も私は全てを尽くす。

彼も毎日おはようをくれるし、慰めてくれる。問題がひとつあるとするならば……画面の中の彼には触れることができないということ。

まい「ねぇねぇここのカフェ行かない?」

ゆい「え~おいしそ~いつ行く~」

まい「土曜日とかど~?」

ゆい「おけ~」

そういうと貯金と日程を確認する。大丈夫、今月は安定している。

問題は来月のダイヤへの課金額。できるだけ少額で済まさなければ...上限があるため無限に課金をすることはできない。

ゆい「バイト増やさなきゃ」

まい「またバイト入れるの?大丈夫?」

ゆい「よゆー」

まい「あんま無理しちゃだめだよ」

ゆい「はぁい」

そういうと二人はカフェへ向かった。



ー夜

ゆい「はぁ...つっかれた~」

そういうとゆいはベッドに横になり、携帯の小説を開いた。

-------------------

かなた「今日もお疲れ様」


かなた「夜はおれとゆっくりしよ?」


そういうとゆっくりと私を抱きしめた。


ゆい「うん...///」

ーーーーー--------------




ー次の日

先生「ここは...」

ゆい「...」

かなた「ゆいちゃん」

ゆい「っ…!」

ビクッと肩を震わせ後ろを振り返るがそこには誰もいなかった。

まい「ゆい?」

ゆい「い、いや...なんでも...ない…」

そういうとゆいは目を伏せた。分かっている。彼がこの世界に干渉できないということも。

だから声も聞こえるわけがない。



まい「ゆいー飯食お」

ゆい「うん」

「ゆいちゃん」

後ろから声がして彼が抱きしめるとゆいは少しほほを染めた。

まい「え~なに顔真っ赤じゃん」

ゆい「なんでもないの!ほら行こ!」

そう言うとまいの手を引いてテラスへ向かった。


ー帰宅

ゆい「~♪」

家に帰り、タルトを作る。何も特別なことはないのだが、気分で食べたかったからという単純な理由だった。

「何してんの」

ゆい「っ…!」

再び後ろから声がする。

ゆい「た、タルトつくってる///」

そういうと「ふーん」と言って彼が離れていく感覚があった。そっと振り返ると彼が微笑んでる気がした。「あとで持ってくね」と言い再びタルトづくりを進めた。



洗い物を終わらせ、先程作ったタルトを取り出すとゆいは小説を読み始めた。


--------------------


かなた「ここの暮らしは慣れた?」


ゆい「うん…ねぇかなたくん、私2人と同じ仕事がしたい」


かなた「は…?…俺らの仕事はんな簡単にできる

仕事じゃねぇよ?」


ゆい「知ってる。でも2人と離れたくないの」


かなた「…分かった」


ゆい「ありがとう」


かなた「でも俺ゆいちゃんに死んで欲しくねぇ」


そう言ってかなたが結を抱きしめる


ゆい「…//私は死なないよかなた。かなたがいる


限り死なないように鍛えるから」


そう言ってゆいも抱きしめた


------------------



-次の日


まい「でさー…ゆいー?聞いてる?」

ゆい「ん、聞いてる」

まい「嘘!めっちゃぼーっとしてたじゃん!」

ゆい「ごめんごめん」

まい「もー!」

そんなことを話しながら二人は教室へ入って行った。

先生「ここ大切だから...」

だんだんと声が遠くなり、眠気に任せながら目を閉じた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー----

かなた「気を付けて、俺から離れないで」


ゆい「はい」


左側の扉から数人の男が出てくる。


ゆい「...」


ゆいは容赦なく引き金を引き続け男たちを


蹴散らす。


かなた「す、すげぇ...」


かなたが息をのむとゆいがゆっくり振り返った。


ゆい「私守られてるだけの女は嫌なの」


そう言うとかなたに銃を向けた。


パァンと言う破裂音がしてかなたの後ろで


重たい音がする。


かなたが息をのみ、ゆっくり振り返るとゆいの


銃弾はかなたの後ろにいた男の額を貫いていた。


かなた「っはは...すげぇ...」


ゆいの実力に圧倒されているとゆいが続けた。


ゆい「大事なものも守れるようにしないとね」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー--

そこまで読み終えるとゆいは携帯を閉じ、眠りについた。



『あぶねぇ!』


ゆい『っ…!?』


『大丈夫?』


そういって彼が笑う。そして優しく抱きしめ...


『もう大丈夫だから』




ーピピピピ


ゆい「ん...」


アラームの音で目を覚ます。時計を見ると7:00だった。


夢日記に今朝見た夢を打ち込みながらゆいは学校へ行く準備をした。


学校へ着き、席に座ると先ほどの夢を思い出す。

「ゆいちゃん、今日もがんばろうな」

ねっとりとまとわりつくような彼の声に思わず体が跳ねた。

「ゆいー?」

彼とは違う声に少し顔をしかめながら振り返るとまいが心配そうに見つめていた。

まい「あんた大丈夫?最近ずっとぼーっとしてるけど...」

ゆいは「だじょーぶ」とだけ言い、教科書を取り出した。



ー帰り道


まい「ばいばーい」

ゆい「ばいばい」

まいに手を振るとイヤホンをつけ、小説を開いた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

かなた「もう慣れた?」


ゆい「うん」


かなたの肩に頭を任せ、ゆいが呟く。


かなた「よかった...じゃ、お仕事頑張りますか」


そういうとふたりは車を降りた。




かなた「ゆい!行ったぞ!」


その声が聞こえると同時にこぶしを振り上げた


男がこちらへ向かってくる。その手をかわし、


相手を転ばせナイフで胸を突き刺した。


かなた「さっすがゆい」


かなたの声が後ろから聞こえ、頭を撫でられる


感覚がある。

---------------

ゆい「ただいま」

気がつくと家に着いていた。靴を脱ぎ、来ていた服を洗濯カゴへ投げ入れ、風呂に入った。

お母さん「まったくだらしないんだから」

そういうと母親はゆいの投げた服を洗濯機へ入れた。服の端に着いた赤い汚れには気づかなかった。



-次の日


「続いてのニュースです。昨夜未明、○○市の

住宅街で…」

ゆい「行ってきまーす」

そう言って玄関を開くと同時にチャイムが鳴る。

目の前には警察官が2人いた。

警察「あ、す、すみません…お急ぎですか?」

ゆい「いえ…な、なんかあったんですか…?」

警察「昨夜この辺で殺人事件があったのはご存知ですか?」

ゆい「殺人…?あぁ…そういえば夜パトカー来て

ましたね」

警察「はい」

ゆい「私昨日は帰ってから母とずっと家にいたので…」

警察「そうですか…お忙しい中ありがとう

ございました。」

ゆい「はい」

家の門を出ると警察官がメモを取っていた。

目が合ったため会釈をして学校へ向かった。



行きの電車で携帯を開き、小説を読む。

----------------------

かなた「ゆいちゃんやっぱ才能あるんじゃね?」


ゆい「そー?」


かなた「ゆいちゃんが入れば俺は死なねぇな」


ゆい「ふふっ…そーかなぁ?」


かなた「お、いたいたあれが今日のターゲット」


ゆい「りょーかい」


かなた「ゆいちゃんならできるよ」

--------------------

ゆい「…うん」

「うっ…」

小さい悲鳴と共に目の前の男が倒れると同時に辺りがざわつき始めた。

『さすがゆい…ここは危ないから行こう』

ゆい「わかった」

そういうと彼に手を引かれ人混みの中を進んで

行った。

-まもなく4番線に‥

アナウンスが流れ電車が近づく。

『行こ』

彼が笑いかける。遠くで電車の走る音が聞こえる。

『もう大丈夫』そう言って彼が抱きしめると電車のブレーキ音が微かに聞こえた。






「次のニュースです。今日未明、駅のホームで

女子大学生が近くにいた男性を刃物で刺すと言う

事件が起こりました。女子高生は男性を刺した

あと電車に飛び込んだとの情報があり、警察は

事実確認をしています。」


〈おまけ〉

「お、ゆうとじゃん」

ゆうと「ん?」

顔を上げると高校の時の同級生…の後ろに紫色のワンピースを着た少女が見えた。

ゆうと「ゆい…?」

その少女は紛れもなく高校の時に入っていた部活の

同級生だった。高校生の時ずっと好きだった…

少女はおもむろにナイフを取り出し、目の前にいた男性を刺した。

ゆうと「は…?」

「やば…おいあいつ人刺したぞ!」

呆気にとられていると少女は誰かに手を引かれるように人混みを分け、線路脇に立った。


そして身を投げた



少女は笑っていた。電車が来るまでのたった数秒の間の出来事のはずなのにスローモーションのように線路へと飛び出した少女の表情が今でも記憶に焼き付いている。



少女は誰か、最愛の人に抱きしめられたかのような、

幸せに満ちた顔で笑っていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ