蓮花高校襲撃事件②
「これって…襲撃か?」
「この学校に?なんの意味があるんだよ!」
その時、二階の窓が開いて紫乃松先生がこっちに向かって叫んだ。
「今、日本の特殊警察に通報した!すぐに来るそうだ!お前ら逃げろ!」
「特殊警察って、あの強力な能力持ちが暴れた時とかに派遣される部隊か!?」
「すげぇ!これなら安心だ!」
「来るとしてもここで話してる言ってる場合じゃねぇ!逃げるぞ!早く!!」
そして皆んなが一斉に走った。みんな死に物狂いで走った。走って走って走り続けていた。
でも俺は気づいた。
(まて、まだ沢山の人が学校に残ってるよな、この学校にあいつらの相手して特殊警察来るまで時間稼ぎできる奴なんているのか?いや、居ない…このままだと警察が来る頃には全滅だ。なにか策は…)
そして俺が導き出した答えは、俺が能力を使って足止めをする事だった。それ以外何も無かった。
(でもバレちまう…いや、今はそんなこと言ってる場合じゃない!命に関わるんだ。やるしかない!)
「ごめん、先行っててくれ。」
「は!?お前何言ってんだ!お前が行っても無駄死にだ!無茶すんな‼︎」
そうだよ無茶だよ!家族と毎日稽古してるってのは噂で聞いたことあるけど、だとしても流くん1人じゃ駄目だ!死んじゃう!」
俺は止められた。そして、その言葉に従って俺も少し一緒に逃げようとも思ってしまった。
その時、そして俺の頭に親父のこんな言葉が過った。
「お前は強い。幼少の頃から鍛えてきたからだろう、並大抵の人間じゃ敵わん。だがな、もしお前以上強い奴とかが現れた時はな、たとえ死ぬかも知れなかったとしても、勝てる希望が0.1%でもあったら全力でやれ。そうしたら助かる道が見つかるんだ。」
その時はそんなこと起こるわけないだろ…と思っていた。でも
(そうだ、俺が逃げたらそれこそ助かる道が消える。行くしかない!)
俺は腹を括った。
「早く先に行ってくれ、早く!!」
俺は声を張り上げた。
「うお…うん、わかった。その代わり、絶対死ぬな。」
そう言ってみんな先に行ってくれた。
でも、俺が何とか耐えれれば警察が来てくれる。それまで持ち堪える。
そうして俺はグラウンドに戻った。
「へぇ?まさかそっちから戻ってくるとはなぁ、意外だわ。」
「その方が有難い、追う手間が省けるからな。」
と、あいつらはなにか話していた。
「お前ら、何の目的でここに来た?学校の人達に手出したら許さねぇぞ。」
俺は相手の事を睨みつけながら言った。
「おぉ怖い怖い。」
煽るようにそう言われた。
「なぁ銀ぇ、こいつそんなに強いの?というか今日の目的の奴らいないし。」
「隠れているか、今日はもう居ないか。どちらかはまだ分からない。とにかく今回の目標は二つだ。厄介な特殊警察が来る前に済ませるぞ、銅。」
「りょーかい、とりあえずトラウマ植え付ければいいんですよねぇボス。」
(あいつ、今誰に話しかけてるんだ?)
「はい、わっかりましたぁ。とりあえず、厄介なの呼んだおっさんからだ。」
次の瞬間、逃げようと走っている紫乃松先生に向かってそいつが刀を構えた。
「おい、手出すなって言ったよなぁ…殺すぞクソ野郎」
俺も素手だがカウンターを取れるように構えた。
でも…
気がつくとそいつは俺の横を通過していた。
「なにっ」
(早すぎる…何だこのスピード!)
「まずい…紫乃松先生!逃げてくださぁぁぁぁい!」
俺は叫んだと同時に全力で地面を蹴り抜いた。
(間に合え…間に合ってくれ!)
そしてそいつと同じタイミングで紫乃松先生の元についた。
「うおおおおお!」
そして俺は紫乃松先生を担いで学校の屋上に跳んだ。
「紫乃松先生、一旦ここで隠れて…え?」
俺は気づいた。先生の右腕がない。切られていた。
あいつの炎のせいだろう、傷口あたりから足まで焼け爛れていた。
「先生…?返事してくださいよ、先生・・先生!」
そして先生は、既に事切れていた。
守れなかった。守りきれなかった。俺は現実を受け止めきれなかった。
「え、あ…うぅ…ぐぅ…うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
俺は泣き叫んだ。それ以外出来なかった。
「スピード勝負では俺の勝ちだな」
その声が聞こえた瞬間、煮えたぎるような怒りが湧いてきた。
「もういい、能力フルで使ってるよ。ぶち殺す…」
そうして奴らに飛びかかろうとしたその時、後ろから声がした。
「時間稼ぎしてくれてありがとな、青髪のやつ。」
後ろを振り返るとそこには、昨日すれ違ったあの赤髪のおかっぱと、ぶかぶかなパーカーを着た2人がいた。
「お前らって昨日の…」
「あっ!変なオーラ出してたやつじゃん!昨日の!!!まさかこんな形で会うとはなぁ!」
すこし嬉しそうな声だったが、一瞬で真面目な顔に戻った。
「紫乃松先生…遅かったか。」
パーカーのやつも
「遅れてしまってすみません、どうかせめて安らかにお眠りください。」
と、言った。
すると赤髪のやつの纏うオーラが赤く光り始めた。
「お前ら、先生殺しておいてタダで帰れると思うなよ…皆殺しだ!!」