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19.

銃声が二発。

数登(すとう)とレブラは組み()したままだったが、開いた大穴から下を気にするように顔をそちらへ向けた。


数登はその隙に打撃を加えてレブラと離れる。

さすがに効いたのかへたり込むレブラ。




だがすぐ立って取り出したのは拳銃だった。

ようやく捜査員の姿に気付く。


捜査員もレブラに銃を向けた。







釆原(うねはら)と僚稀は、一旦出たものの再び物陰へ隠れることに成功。

どうやら見つかっていない様子。







「宝物は大切にされてしかるべきだ」


レブラは言った。


「そうだろう? 人間を人間だとも思わない連中に持たせていて(なん)の意味がある」


「何か思うところのある人物でも」


「ああ。例えばお前ら九十九(つくも)社の恐れるご夫人だ」


「なるほど」


「俺もまた人間を人間だとも思わないように教育された一人だからな。せめて金の香炉だけは守る価値があった。俺がそれをやった。何の問題がある?」


「その銃をこちらへ向けていることが問題ですよ」


「なら自分の身を案じろ」


「あなたも銃を向けられています」







どこかで爆発が起こった。

床がぐらつく。


恐らくは下だ。







「スピネルの贋造品を持っているのなら、いま本物を隠し持っていてもおかしくはないな」


数登は微笑んだ。


「さあ、どうでしょう。一緒に来ていただいた記者さんがいるんです」


レブラは眼を丸くした。


「ねえ……言われてません?」


僚稀は慌てている。







やはりあの変な手掛かりの数々は、わざと数登が残してきたもので、それを追って来たのが俺だ。


出て行くしかないのか。







釆原(うねはら)は物陰から出た。


「え、ちょ……」


とは言ったものの僚稀も出る。







下からまた何名か捜査員が上がってくる。


釆原は足場、床が不安定になっているのを感じた。


「あなたでしたか」


数登は釆原に微笑んだ。


「誰がいるんだ他に」


「それもそうですね」







銃声。


釆原と僚稀は咄嗟に頭を下げる。


だがレブラではなかった。


「銃を下ろして」


捜査員の威嚇だった。


だがレブラは依然拳銃をこちらに向けたままだ。


「お前は……」


「釆原だ」


「とんだ間抜けだな」


「追うのが仕事でね。以前のレブラとは(えら)い変わりようだな、黒田零乃(くろだれの)







遅かった。

釆原が言い終わる前にレブラは引金を引いた。


轟音。

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