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(二)-14

 それなのに、動悸が激しかった。百メートルを全力疾走してきたばかりのようだった。

 動悸はいつまでも収まらなかった。以前経験した男性との行為が頭の中でフラッシュバックのように蘇った。学生時代の彼としたときのこと、付き合い始めた頃の夫とのこと……。いつもはベッドや布団の上でしていたが、私はソファの上ではしたことがなかった。

 そんな卑猥なことが頭の中にこびりついてしまい、振り払えないでいると、隣の部屋の玄関ドアが閉まる音が聞こえた。


(続く)

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