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LIE≠CENSE  作者: Hiromwell
4/4

ウエスティン篇②

評価お願いします。

「ここが入り口か」

クロンを引き連れた俺はようやく「颱の遺跡」にたどり着いた。

これはもともとはモンスターのほこらだったわけで、今でもその雰囲気の名残がある気がする。

入り口にはただ人が入れるぐらいの穴がある。

「クロン、さっきはごめんよ。からかいすぎたな」

クロンは未だ身をブルブルと震わせて怯えていた。

「いやさっきのは別に問題ない。それよりも」

クロンは入り口の更に奥をぐっと凝視する。

「生き物がいる気配がしないか?」

俺にそう尋ねた。

「じゃあ多分それがヌシだろ」

俺はあっけらかんと答えた。

が、俺は知っている。おそらくクロンも知っているだろう。

この「颱の遺跡」はこの街ウエスティンの最大遺跡であって、ヌシはかなり手強いらしい。

なんでも、遺跡の奥にいるそうで、倒したら何かしら強大なものをくれるらしい。

まあ未だ誰にも手にしたことはないらしいが。

強さ求めて入る旅人を返り討ちにし、トラウマを植え付ける存在、ヌシ。

クロンは冷や汗をかいていた。

それを見た俺はあることに気づいた

「俺たちは石を取りに来ただけだろ。別にヌシと戦うわけじゃないんだからさ」

クロンは、「え?」という顔をしていた。

俺はしょうがないな、という顔をしてクロンを諭す。

「だから、ヌシに会う必要はないってことだよ」

「てっきりヌシと戦うんだとおもって」

クロンは想像以上に驚いていた。

「別にこの斧は護身用だよ、モンスターが居るだろ」

「何だ…安心した。勘弁してくれよ」

何を勘弁してほしいんだろう。俺何かしたか?

まあそういうわけでクロンは何とか落ち着いた。

「ここでグダグタしてるわけにも行かないし、さっさと入ろう」

「おう。さっさと取ってこよう」

クロンはもういつもどおりに戻っていた。

うむ。頼もしいことこの上ない。

俺はそんなことを思いながら、遺跡に足を踏み入れた。


遺跡内は薄暗く、少し肌寒かった。

壁は全体的に黒っぽくて、触るとゴツゴツしていた。

そして奥には「ヒュゥゥゥ」と風を飲み込んでいる音がする。

流石にその雰囲気に圧倒されて、ゴクッとつばを飲み込む。

俺たちは壁伝いに進んでいく。いつ何が起こるか分からない。

どうやって死ぬかも分からないのだから。

少しずつだが、風の音が大きくなっている気がする。

まさか、ヌシか?

いや早すぎる。

村長が言うにはかなり奥の方らしいからな。

遺跡内で俺たちが歩く音はエコーが掛かっていて、耳と心臓に悪い。

モンスターが後ろから襲ってきても冷静に対処できるだろうか。

それにしても嫌に通路が長い。

ずっと細い一本道じゃないか。

いよいよ不安になってきた。

「クロン、いる?」

心配になって小声を出すと、

「ああ。大丈夫だ」

しっかり反応してくれた。

良かった。まだ迷子になってない。

でもいずれそうなるかもしれない。

はぐれたところで一人、集団のモンスターに殺されるのだけは嫌だ。

こんな陰湿なところに、毎日旅人が入ってくるわけがない。

きっと死体すらも腐ってしまうだろう。

こんなことなら街でマッピング道具を買っておけばよかった。

今更ながらに後悔する。


それからどれくらい歩いたか。

「ん?何かこのゴツゴツさっきも見たぞ」

クロンがそう呟いた。

「いや、見間違いだろ。色んな形があるんだし」

俺がそう指摘すると、

「いや、こんなヘビみたいな形した岩、初めてだぞ」

「いや、そんなわけ………マジかよ」

俺はため息を漏らした。奇妙な岩を見て確信する。

「俺たち迷ってループしてるんだな」

俺は何の捻りも混ぜずに直球でそう言い放った。

いやにあっさり言ってしまったが、かなり重大なのは自分でも分かっている。

さっさと出るつもりで、食料もほんの少ししかない。

良くて餓え死に。悪くて飢え死に。

結局「死」だ。

しかしなんで気づかなかったんだろう。

結構歩いて奥深くまで潜れたと思ったんだけどな。

「なあセンス…俺分かったかも」

クロンは唐突に呟いた。

「何に?」

「このループの原因」

「嘘だろ」

「いやマジマジ」

クロンは中々引かない。

ひょっとして本当に分かったのか。

あれ?

クロンってそんなに頭の回転早かったっけ?

俺が未だ唸っていると、クロンは呆れたように

「お前じゃきっと見えないよな」

と言った。

「何が?」

「ほら、ここ」

クロンが指を刺したのはなんと床。

じっと刺された場所を凝視しても何もない。

「やっぱ見えないか…ここに文字が見えないか」

床に目を貼り付ける勢いでじっと見ると、何かキラキラしたものが浮いていることが分かった。

「見えたよ…で、何だっけ、これ」

「はあ…何も覚えてないのか」

クロンは盛大にため息をついた。

「出発する前に村長が言ってただろ」

クロンはそう切り出して、話し始めた。

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