ウエスティン篇①
評価よろしくお願いします。
この街、ウエスティンは、商業栄える大都市である。
四大都市の一つとして数えられ、人口は500万人を越えている。
この島、アイラスができた頃からの古代都市の一つで、遺跡も数多く見られる。
この世界の「遺跡」というのは現在生息している「人間」の歴史ではない。
その昔、人間は「太陽の当たる土地」であり、「農工商業をしやすい場所」を選んで、都市を造った。
しかし、その場所以外は人間の生息地ではなかった。
「モンスター」。
化け物、怪物...人によって呼び方は変わる。
が、端的に言えば「人間ならざるものであり、人間に害を与える悪」。
度々都市を襲い、人間を殺し、建物を壊し...全てを奪っていく。
そんなモンスターに嫌気が差した頃、人間たちは武器を持って立ち上がり、復讐を企てた。
団結した人々に対し、個々で動いていたモンスターに勝ち目はなかった。
種族単位で動く類もあったようだが、それすらも打ち破った。
そして種族単位で住んでいた「ほこら」もあることが分かり、しっかりと破壊した。
そのほこらの残骸が先程述べた「遺跡」である。
遺跡によっては、何もないものもあれば、「ヌシ」が住み着いたものもある。
「ヌシ」が住み着いた場合、その「ヌシ」によって生み出されたものは「モンスター」と化す。
そして遺跡の「兵」となって防衛に尽くす。
だが、「モンスター」とは言うものの、前のように「生」という概念があるわけではない。
「ヌシ」による「創造物」なので、「遺跡を守る」という命令のみしか聞かない。
ので、以前のモンスターに比べれば格段に弱いのだ。
というわけで。
俺たちがこれから入るのは、「ヌシ」のいる遺跡である。
モンスターは弱いが、ヌシはかなり強いらしい。
割と小さめな遺跡の「ヌシ」は、それなりの武器と力があれば倒せるらしいが...
今回はこの街ウエスティンの「最大遺跡」に赴かなければならない。
別名「颱の遺跡」。「おおかぜのいせき」と呼ぶそうだ。
文字通り、風を司る遺跡で、噂によると、人を吹き飛ばし、切り刻む風が吹いているそうだ。
正直、絶対に行きたくない。
故郷ですらなく、親友とたった二人で、ひっそりとした場所で死ぬのは嫌だ。
が、村長が頭を下げてまで、お願いしてきたのだ。
流石に断れない。
どうやら、石を取りに行くのは20年に一回ほどのようで、祭りで使う石は、何度も再利用しているらしい。
再利用で幸運が集まるのか、という話だが、神の力は偉大なようで、全然問題ないらしい。
それにしても20年に一回の採取に選ばれるとは。
我ながら悪運の強さに辛くなった。
「おい。何ボーッとしてるんだ」
クロンが俺に呼びかけた。
おっと。かなりの時間ボーッとしていたようだ。
「なぁ...本当に行かなきゃダメかな」
辛そうな顔をしてクロンにそう訴えかけるも、
「行かなきゃダメだろ」
あっさり弾かれた。
「このまま帰っても村長に合わせる顔がねえよ」
クロンもかなり真剣なようだ。
どうやらこれはマジでやらないといけないようだ。
クロンも結構覚悟してるみたいだし...。
よし!決めた!帰るのは諦めよう!もうダメなんだ!
「おい。何ニコニコしてるんだ」
「いや別に。俺ももう死ぬんだなーって」
俺が元気よく答えると。
「マジで不吉だからやめてくれ」
クロンが真っ青な顔をして訴えた。
まあ無理もない。
いきなり最難関の遺跡に潜るんだからな。
「とりあえず行ってみよう」
「お...おう」
今度はクロンが辛そうだった。
ちょっと刺激が強い冗談だったかな?
まあ大丈夫だろう。
俺は恐怖で佇んでいるクロンを引っ張りながら遺跡へと向かった。
評価よろしくお願いします。