第87話 武器(3)
ちょっと、話しがそれたけど…
情報収集の続きだ。
「魔法使い」…思っているより、キケンな存在かも?
「はぁ? なに言ってんだ先輩! 先輩の魔法無効化の方が、断然、凶悪だよ! 魔法使いの天敵って、魔法を無効化されることだぞ! 魔法使いなんて、魔法が使えなかったら、ただのマトだぞ! だから私は、格闘術を鍛えているんだ!」
豪語するマウアー。
(ほほぅ~。)
こいつは、ただのバカでは、なかった。
ちゃんと、物事を理解している、まともな奴だった。
(…って、やっぱり、天然だけどね。)
俺は、マウアーをかなり見直した。
(見直した…なんて、上から目線だけど…)
隊長として、こんな発言は、ダメだな!
猛烈反省する俺だった。
そして、心に刻む…
「魔法使い…要注意!!」
おっと?
もうひとつ、質問があった。
これは、別に、なんてことじゃないんだけど…。
「素朴なギモン」ってヤツだ。
みんな魔法を使うときに、なんでその技を教えてくれるのか?
…と。
マウアー曰く。
それは、「術」の発動と、その「術」を完全体にするための「言霊」だと。
(ふぅ~ん。)
その行為には、ちゃんとした理由があるみたいだ。
ただの「カッコつけ」じゃないらしい。
ファンタジーにも、ちゃんとした理屈があるって、ことだね。
それに、最後の言葉を発した瞬間に、魔法が発動する。
魔法が発動してからは、その事象に対抗するのは、非常に難しく、よほどの魔法使いじゃないと、その魔法に対抗できないらしい。
まぁ、いちおうは、理解した。
あらためて、ありがとう!
マウアーくん。
ちなみに、本気の本気で、魔法を使う場合には、技の名前は、発しないことが多い……とか。
やはり、魔法使い…それぞれ……
ということらしい。
一方、賢司は…
「ぼくは、戦闘スタイルなんて、ありません。平和な日本人だし!」
…たしかに。
ふつうの日本人だったら、そうだよね!
いきなり、ヘンな世界に、やってきて、
いきなり、戦士に、なれるわけじゃない。
いきなり、異世界にやってきて、スーパー超人になれるのは、マンガだけだよ。
実際に、俺だって、軍に入って…
バカみたいに体を鍛えて、
バカみたいに戦闘訓練して…
やっと、戦場で戦える程度になったのだ。
それに、「殺し合い」なんて、非日常的なことなのだ。
まず、「人を殺す!」なんてことに、精神が耐えられるわけがない。
それこそ、いきなり平気で人を殺せる…なんて、マンガの世界だけだ。
もし、なんの訓練もなしに、平気で人を殺せるようなヤツとは、死んでも友達には、なれないな!
いや。
むしろ、敵だろ!
おっと?
すまない、また脱線してしまった。
…で、賢司も、この世界にやってきて、
「育成訓練所」で、4年以上、鍛えられた。
基礎は、十分にできている。
その結果が、今だろう。
賢司が言う…「自分の戦闘スタイルがない。」
それは、言い換えれば、良い方で
「何色にも、染まってない!」
ということだった。
(ん?…)
ということは……
「隠密機動」に、どっぷりと染まれる…
ということでは……。
(師匠は、そのことも、読んでいたのか?)
俺は、尊敬するのだった。
賢司も今では、覚悟も決まっているみたいだし。
「いっしょに、頑張っていこうな! 賢司くん!」
バンッバンッ。
賢司の背中を叩いた。
「痛いですって…先輩!」
涙目の賢司だった。
(俺も、ドレンさんたちと、いっしょだね。ふふふ。)
いい感じで、ホークも、この世界に馴染んできたみたいですね~。
賢司くんは、ご愁傷様です。
さあっ、次回こそ、武器調達に出発します!
ごめんなさい!
では、お楽しみに。
またまた、追申です。
「橘 康介」のラフ画が、出来ました。
「みてみん」さんに、載せているので
「ラビットアイ」で検索してください。
よろしくお願いします。




