第83話 花見(4)
宴会の最中だが…ちょっと……
いや、かなり気になることがある。
それは、ドレンさんとドゥーハン隊長の腰ベルトに下がっている皮ケースだ。
どう見ても、「銃ホルダー」だろう!
(銃自体は、見えないけど…。)
以前、ドレンさんに、俺のパイソンを預けたことがあったな……。
まさか?
その「まさか」だった。
もう、できたのか?
俺のパイソンを分解、解析をして、金型をとって、複製したのか?
これは、なんとしてでも、見せてもらわないとね!
「お疲れさまです。ドレンさん。」
オヤジ談義が、ひと段落したところを見計らって、俺は、ドレンさんにお酌をする。
「ありがとう。ホーク殿。」
笑顔で受けるドレンさん。
「ドレンさん。そのホルダーって、もしかして……」
「おっ? さすがホーク殿。お目がはやい。」
「もう、できたんですね~。」
「ああ~。まだ試作段階だから、ワシとドゥーハン隊長とアルファード隊長の3人しか持っていないぞ。」
「そうなんですね~。ドレンさん…少しみせてもらってもいいですか?」
「ああ~。かまわんよ。…ちょうどよかった。ホーク殿の評価を聞きたいな?」
ドレンさんは、ホルダーから複製されたマグナムを取り出した。
見ただけでわかる。
かなりいい出来の「357マグナム」。
全体の色は、俺のと同じ黒色。
グリップのところも、しっかりしていて、握りやすい。
ちゃんと、手の平に吸いつくようだ。
握りに関しては、俺のパイソンより、若干細いような気がする。
そして、重量もこのレプリカの方が少し軽い。
(扱いやすい……ほんと、いい出来だ。)
弾は、入っていないので、安心して扱える。
試しに、トリガーを引いてみた。
もちろん、銃口は、誰もいない方へと、向けている。
「カチャン!」
(なるほど…軽いと感じたのは、銃身が少し短いのだ。)
俺の357マグナムは、6インチ(15センチ)銃身だが、レプリカは、5インチ(12.5センチ)銃身だった。
もちろん、排熱用の穴もある。
ショートの分、軽くなり操作性が良さそうだ。
(銃身が短い分、射程距離が落ちるのかな?)
そんな懸念もあるけど…。
トリガーは、俺のマグナムより軽い。
シングル/ダブルアクションの6連発は、同じだが、シリンダーと撃鉄に、魔法加工が施されているらしい。
これにより、火薬爆発の弾丸ではなく、魔法処理された魔法弾丸を撃ち出すことができる。
(なるほど……。)
魔法で、射程距離や弾道補正も行われるわけか?
だったら、5インチでも十分かも。
しかも、魔法弾丸に、いろんな魔法処理をすれば、それだけで攻撃の幅が広がるってことだ。
(実際に、射撃してみたいな!)
今は、しないけど…ね。
この世界の製造技術は、たいしたものだと、ほんと感心する。
まさに、「魔法銃」(マジカル・ガン)と呼べそうだ。
「いや、ほんとすごくいい出来ですよ。すばらしい。」
俺は、素直な感想を言った。
「ふふふ。そうか。 ホーク殿にそう言ってもらえると、ひと安心だな。」
ドレンさんも、にこやかだ。
この出来栄えに、満足しているようだ。
「量産は、いつ頃ですか?」
「うん。それは、もう少しかかるようだ。技師たちもがんばっているぞ!」
「そうですか。楽しみですね。」
「そうだな! ワッハッハ!!」
相変わらずのドレンさん。
「まぁ、飲め!」
と、ドレンさんからの「夜の蝶」を受けた。
(笑)
ほう~。
さすがティフブルー王国。
侮れません。
しかも、魔法処理するとは……。
ホークも、感心のひと言ですね~。
…って、飲み会でする話し?
まぁ、いいです。
異星界だし……。
さて、次回は…
次回も、まだまだ続きます。
しかもフォウが参戦してきますよ~。
では、お楽しみに。




