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第70話 寄道(2)

 さぁ。気を取り直して、頑張ります!

 「なぁ、あんた?」

「あんたは、やめろ! 俺のことは、ホークでいい。」

「あっそう。でも、あんた……ホークは、いちおう、隊長さんなんだろう?」

「ああ。いちおうな。」

「ホークって、いくつ? 私は、23才だ。」

「俺は、24だ。おまえのひとつ先輩だよ。」

「そうか。 じゃあ、先輩って、呼ぶことにするよ。 隊長って感じじゃないもんな。 アッハッハ。」


(こいつ…マジ失礼なやつだな!)

まぁ、いいけど…。


「ところで、先輩。 どこに向かっているの?」

「どこって? そりゃあ、もちろん温泉だ! 知っているか、温泉?」

「温泉? 知っているとも! …待てよ、ちょっと待て! もしかして、その温泉で、私を夜の蝶にするつもりか?」


また、こいつは…なんかひとりで、トリップしている。

顔をまっ赤にして、もじもじしている。

ほっとこう!

…って、また夜の蝶?

好きだな…こいつも。

だが、こいつの反応を見ていて、なんとなく想像が、ついてきた。

いわゆる「アレ」だろう?

「女の子が、男にするサービス」…に、違いない。

そういうものが、この世界にもあるのか?

もちろん、俺は、経験したことは、ない。

するつもりも、ない。

…なので、そういう反応は、やめてほしい。


「俺は、温泉が好きなんだよ。 元いた世界…日本っていうところだったけど、そこに、温泉っていう文化が、あるんだ。 それで聞けば、このあたりにも、温泉があるっていうじゃないか! これは、もう行くしかない!…ってね。」

「そうか。わかった。 じゃあ、私も付き合おう!」

マウアーは、そう言うと、妙に張り切りだした。

……なんか、不安……。


「私が、先輩の背中を洗おう!」

などと、バカなことを言い出した。

「アホか! 別々に入るに、決まっているだろ!」

「なんだと?!…そうか。少し安心した。私も…その…初めてだし…な。」

「なに? おまえ、温泉…初めてなの?」

「えっ? いやいや…温泉は、初めてじゃあないけど……男の人と……。」

なんか、また、もじもじし始めたマウアー。

(マジで、バカだ!)

見ていて、おもしろいけど。


 バカは、ほうっておいて、先に進む。

霊峰から、流れてくる川沿いを、歩いていくと、見えてきました!

立ちのぼる湯けむり。

そして、硫黄の香り。

間違いなく、温泉がある!

久しぶりの感覚に、ドキドキワクワクで、ピコピコの俺だった。


「懐かしいなぁ~。」

「久しぶりだなぁ~。」

―――ハモった―――


「なに? おまえ、ここに来たことあるの?」

「ああ。セリカ様に、連れられて…昔。」

「なんだ。 じゃあ、案内してくれよ。」

「でも、1度しか来ていないから、よくは知らないぞ。」

「かまわん。まかせる。」

俺は、そう言うと、マウアーのあとをついて行く。


 樹海というだけあって、自然豊かな森だった。

いたるところから、鳥たちの鳴き声が聞こえる。

川の流れは、緩やかで、せせらぎが気持ちいい。

(どこの世界でも、やっぱり美しいな。)

俺は、この自然が大好きだ!

…おっと?

足下に注意しよう。


 ごろごろ石の河原を進んで行くと、足元から、無数の煙が吹き出している場所に、やって来た。

「確か…このあたりだったような……?」

マウアーが、辺りを見ながら、探していた。

俺から見ても、温泉らしきモノは、なかった。

なかったけど…あたりの河原の石の間から、湯気が立ちのぼって、いるだけだった。

(なんか…雲仙の景色に似ているな。)

そして、よく見ると…

石の間には、いくつもの「溜まり水」があった。

ちょっと、触ってみる。

(あったかい!)

その水は、お湯だった。

温泉だった!


(あっ? なるほど。)

自分で、入る場所を作るタイプの温泉だな!

俺は、察知した。

昔…鹿児島の方で、似たような温泉があった。

自分で掘って、自分専用のお風呂を作って入る温泉だ。

それに、違いない!


「いいところだな。ありがとう。」

お礼を言う、俺だった。

 (…少し、笑?……)










 少し、笑?

…いや。

全然、笑えないし!

全然、意味がわからんし!!

ホークのオヤジギャグは、ほうっておきましょう。

それにしても、いいところを教えてもらったね、ホーク。

セリカとマウアーに、感謝ですね。

自分で作るタイプの温泉かぁ~。

私も、久しく行っていないね~。

けっこう、たいへんだけど、その見返りは、十二分にあったね~。

気持ちよかった!

 おっと? すみません。

話しを、戻しましょう。

マウアーの冗談に、焦るホーク。

すでに主導権は、マウアーに握られているみたいですね。

年下といえども、やっぱり、女の子が苦手なホークでした。

さて、次回は、念願の温泉に入るホーク。

でも、やはり、障害は、つきものです。

では、お楽しみに。




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