表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/110

第67話 新人(9)

 「…あんた……何者だ?」

と、得体の知れない強さに、恐怖を感じるマウアー。

(ちょっと、動揺しているな。)

今がチャンス!

たたみかけるぞ!

「俺は、ホーク。ただの傭兵だよ。じゃあ、次は、俺の番だな。」

と、告げると同時に、一気に、マウアーとの距離を詰めて、打撃をみせる。

 まずは、パンチで…左からのワン・ツーだ!

もちろん、スピードは、つけているが、直接当ては、しない。

女の子だからね。

「シュッ!シュッ!」


(うわっ!速い!)

マウアーは、ワン・ツーのパンチには、反応した。

ピーカーブーのスタイルで、かろうじて、ブロックできた。

その両腕には、想像以上の衝撃が……

「ぐっ!」

そのパンチの威力に、思わず声がもれる。

そして、その表情が、こわばる。


(ガートの上からでも、効いただろう。)

もちろん、ガートの上からには、遠慮は、しない。

けど…パワー的には、50%しかのせない。

全力だと、その細い腕は、確実に折れるからね。

(さあっ。もうひとついくぞ!)

 俺は、打撃攻撃を続ける。


 一方、マウアーの危険回避能力が、知らせる。

「やばい!」

…と。

この男が繰り出すパンチは、強烈だった。

今まで、こんなパンチは、受けたことがなかった。

事実、マウアーは、物理的防御結界も発動させていたのだが…この男のパンチの威力を中和することが、できなかったからだ。

 こんなことは、初めてだった。

…だけど、この男の様子からみると、かなり手加減されているように感じる。

だが…その手加減に、ハラを立てている余裕は、ない。

それほどに、この男の力は、底が見えなかった。

(とりあえず、距離を取ろう。)

この男の攻撃は、今のところ物理的攻撃が主体だったからだ。

その攻撃範囲外に、ひとまず退避する!

そして、もう1度、集中し直して、攻撃魔法で粉砕してやる!

さらに、強力な爆炎魔法で!!

(覚悟しろ!!)

 マウアーは、そう思考して、バックステップで、距離を取ろうとする。

もちろん、そのステップには、魔法を付加して、スピードアップしていた。


 俺は、冷静にマウアーの反応をみる。

(俺の打撃を受けて、次は……そうだろうな。)

予測通り、マウアーが距離を取ろうとして、バックステップする。

 だが……

(そんなもの、俺には、どうってことはない!)

マウアーのステップの速さを軽く凌駕して、俺は、フトコロに入る。

「なにっ?!」

マウアーの驚愕した表情。

(しっかり見ろよ!これが俺のパンチだ!)

 獲物を追い詰めるように、たたみかける。

まずは、フェイントの右フックを打つ。

もちろん、スピードは、落とすけど…。

その代わり、たっぷりと、殺気を込める。

相手が反応できないと、フェイントの意味がないからね。

これは、さっき見たマウアーの闘い方のウラをかく戦法だから。

(卑怯と、思うなよ!)

 俺の思惑通り、マウアーは、為す術なく、右フックに、ガートを合わせるだけだった。

(よしっ。いい反応だ!)

俺の本命は、こっち…左アッパーだ!

 フェイントの右フックに合わせての、瞬時の左アッパー。

 人間の目は、素晴らしい。

特に、動体視力。

目標物を捉える能力は、かなりの性能を持つ。

しかし、その反面……

トリックに弱い。

今回の動きも、そうだ。

フックは、左右の動き。

この左右の動きに、目が慣れてしまうと、突然の上下の動きに、一瞬遅れる。

その弱点をついた戦法。

 真っ直ぐ素直なマウアーにとっては、姑息な手段だろう。

しかし、実戦には、そんな言葉は、存在しない。

だからこそ、俺が見せるのだ。

テクニックというものを。


マウアーは、反応もできなかっただろう。

しかも…

(このアッパーは、隠密の攻撃だからな。)

隠密の攻撃とは、気配…殺気を隠した攻撃だよ。

だから、相手も反応しにくい。

「フェイント」プラス「隠密」では、到底マウアーには、反応できまい。

もし、本気で打ち込んでいたら、間違いなく、あの世行きだったが……

もちろん、寸止めした。


 「…………!」

マウアーは、自分のアゴ元で止められた拳に、驚愕する。

(…距離を取ったはずなのに……。)

この男には、ムダだった。

 無意味だった。

私の高速移動を読んでいたかのように、平然と追尾された。

(魔法で加速したのに……。)

そして、稲妻のような右フック……。

巨大なオーラ(殺気)が、まとった右フック。

なんとか、反応することができた。

 しかし……

この右フック………

ブロックごと、私の頭が吹っ飛びそうだな………。

だが…その衝撃は、なかった。

(……なぜ?)

その答えは、すぐに理解した。

  なぜなら…

  なぜならば……

 もうひとつの拳が、私のアゴ元にあったからだ!

まったく、見えなかった。

気配さえも、感じることができなかった。

(なんなのだ? この男の強さは?!)

 私は、恐怖した。

恐怖したと同時に、その強さに…

 魅了された……

  魅了されてしまった………。















 ………いやぁ~。

強いですね~ホーク。

師匠からの指導で、さらに強さに磨きがかかったね。

それに、ちゃんと女の子に対しての気配りも覚えたようです。

戦闘において、手加減は無用!

男女平等!

相手に対して、失礼だ!

という意見も、ありますけど…

これは、戦闘ではなく、勧誘だから。

あくまで、「闘い」です。

「戦い」では、ないのです。

そのあたりのことは、ふたりがいちばん理解していますから。

でも、やはりマウアーは、強いのです。

ホークが、早めに決着をつけようと、思うほどに。

マウアーが、考えていた「爆炎魔法」って、一体どのような魔法だったのでしょう?

想像したら、怖いね。

なんにしても、勧誘は、無事に成功しそうです。

よかったね、ホーク。

さて、次回は、最終決定です。

それと、オマケエピソードに…

では、お楽しみに。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ