この人の笑顔を護る!
そうそう。この別荘には、俺とフォウさんの他に「シルビア」という女性と、「ドレン」という男性がいる。シルビアさんは、見た目20台後半くらいの知的な感じの女性だ。美しい銀色のロングヘアで、背は、165センチくらいのスタイル…姿勢がきれいなお姉さんだ。フォウさんの小さいときから、お世話をしてくれているお姉さん的みたいな人らしい。今現在、この別荘を管理してくれているのは、彼女だった。(持ち主は、ミカおばあ様なる人物らしいが。)
そして、なんといっても、彼女の作ってくれるごはんは、めちゃおいしいのだ。
きれいなお姉さんで、家事いっさい出来る。…なんて理想的な女性なのだろう。
(男の人たちが、黙っていないだろうね。)
そして、ドレンさん。かなりガタイのいい40台くらいのおっさんだ。身長は、193センチ。俺よりかなりデカイ。(俺が187センチあるが、けっこう見上げる感じだ。)
黒茶色の短髪をビシッと決めている。見るからに、隊長さんという感じだ。
(かなりの強者の気配を感じる…。)
もちろん、彼は、フォウさんのボディーガードだ。
そして、俺を海辺から運んでくれた恩人のひとりだ。
…そうだ。俺の身体もだいぶ回復してきたから、今度、対人練習の相手をお願いしよう。(やはり俺って、戦闘オタク…?)
それから、俺といっしょに救出されたのがこのリュックサックだった。
(よかった~!)
さすがに、AIMは、行方不明だったが…。
もし、あればあっても、この世界では、役に立たないだろうね。
衛星もなければ、電気もないみたいだし…。
…で、リュックサックの中身を確認しよう。
愛用の「357マグナム」。予備弾丸は…およそ300発。
(ふむぅ…。この世界には、魔法なるものがあるらしいけど…銃って、通用するのかな?)
あと「特殊ナイフ」 これは、標的に刺したあと、電撃が発生する仕組みだ。
これも、電源が尽きると、ただのサバイバルナイフだな。
大小1本ずつあるから、ないかと便利だろう。携帯の砥石もあるから、安心だ。
あと…「手榴弾」5発。
「携帯型暗視スコープ」と予備バッテリー。これも、電源が尽きるとガラクタだな。(ほんと俺たちって、電気がないと、ダメダメだな…。)
あらためて、電気の有り難さを痛感していた。
そして、「小型ヘッドライト」
(おお~!これは、重宝しそうだな。)
レバーをクルクル回すと発電する仕組みだ。スマートフォンも充電できる。
(…って、スマホ使えんのか?)
え~と、スマホは、ヨコのポケットに入れてたはず…。
取り出して電源を入れて……電源入らんし!
どうやら、この世界にやって来た衝撃で、壊れたみたいだな…。
(泣!…どうせ使えないだろうけどね。)
えっと…あとは、強化ロープと戦闘グローブ。水中メガネとシュノーケル。
(海からの作戦だったからね~。これは、意外に助かるかも。)
…よしよし。これだけあれば、なんとか大丈夫だろう。
最後にひとつ…「ハーモニカ」。
あの日から、肌身離さず持っている……よかった。これをなくさなくて…。
次の日。俺は、フォウさんと海の方へと、来ていた。
もちろん、デートではない!…漁だ。
そう…今晩のおかずをゲットしに、来たのだ。
別荘からは、徒歩10分くらいのところにある、きれいな海だった。
砂浜と岩場が入り混じる、魚影の濃いそうな、いい海辺だ。
フォウさんは、磯のところで「ビナ貝」や「サザエ」…(こっちでの、名前は、知らない。俺の勝手な表現だ。)…などを採っている。
一方俺は、素潜りで、お魚さんをゲットだ。(さっそく、水中メガネとシュノーケルが、役にたった。)
道具は、もちろん自作した。
竹を切り、いい感じの真っ直ぐなところを使う。ヤジリには、サバイバルナイフの小さいやつを代用する。
そして、肝心の推進力には…そこの竹林に生えていたゴムみたいなツルを使った。
…完璧だ! そう、いわゆる「モリ」だ。
(ふふふ…こういうことは、得意だ。子供の時から、オヤジに教えられたからな。)
水中メガネとシュノーケルをつけて、いざ出陣!
潜ると、ほんときれいな海だった。透明度がすごい。魚もたくさん泳いでいる。
(手始めにコイツだ。)
岩陰に潜んでいるヤツに、素早くモリを撃つ。
「シュッ!」頭に命中した!
ビクビクっと、体をうねらせるが、もう遅い。
1匹目ゲット!…30センチくらいの「アラカブ」だ。(何度も言うが、この世界での名前は、知らない。俺の勝手な表現だ。)
アラカブ…刺身。煮付け。味噌汁と、なんでもうまい!
(よしっ!次は、アイツだ!)
久しぶりの潜り漁を堪能し始めた俺だった。
(あっ。そうそう。これを忘れては、いけない。)
これが大事なのだ。岩肌に付着している「ワカメ」…やはり、漁師料理には、欠かせないね!
(もう、これくらいでいいだろう。)
網を確認すると…「アラカブ」2匹。「クロ」2尾。「甲イカ」1パイ。「ワタリガニ」5匹。
(うん。大漁だろう!)
いい宴会が、できるね。
…ん?そういえば、こっちには、「お酒」なんてあるのかな?
さてさて、ホークの野性スキルが発揮しました。次回は、その腕前が炸裂するのか…?そして、この世界には、お酒があるのでしょうか?それは、ホークにとっての一大事なのだ。どうか、おいしいお酒がありますように…。