第45話 共感
池のほとりのベンチに座り、ふたりで、しばらく話しをしていたら、1頭の馬が駆けてくるのが見えた。
この王宮には、乗馬コースがあったので、あまり気にしなかったけど…。
かなりのスピード…というか、全力疾走?
競馬のラストスパートのごとく…すごい勢いで、近づいてくる。
真っ白で、競走馬のように、筋肉が締まった、見るからにかっこいい馬だった。
騎乗している人物は、女の子にみえる。
騎手の格好をしているので、人相までは、わからないけど…。
「ヒヒ~ンっ!」
と、俺たちの手前で減速して、ウィリー状態の白馬が前足を空蹴りしている。
西部劇のワンシーンのようだ。
騎手の女の子は、バランスをうまくとっていた。
(おお~!かっこいいぞ!)
と、思うと同時に…俺は、反射的にフォウさんの前に出ていた。
(あっ?ここは、王宮だから、敵…というか、不審者の可能性は、ない…か?)
と、考えた俺が、少し気を緩めると、
「エリザ! また、あなたは、無茶をして!」
と、俺のうしろから、フォウさんが叱っている。
(……?。)
フォウさんのこういう態度は、はじめて見た。
なかなか新鮮だった。
すると、騎乗していた女の子が、ゴーグルを外して、
「あら?お姉様。ごきげんよう。」
と、金髪金目のかわいい女の子だった。
(…なるほど。妹か!)
俺は、確信した。
たしかに、見た目は、フォウさんにけっこう似ている。
でも…印象としては…「おてんばさん」のひと言だった。
それを証明するかのごとく…
「大丈夫! これが、ボクのふつうよ!」
と、ニッコリ笑顔で…。
(…ボク? 女の子が「ボク」って言うのをはじめて見たぞ!)
そして、金髪の髪をなびかせながら、うしろを振り向き、
「チッ! もう来たか!」
(…今、「チッ!」って言った?)
たしかに、おてんばさんのようだ。
おてんば姫の目線をたどると、追ってくるように、2頭の馬が見えた。
「じゃあ、またね。お姉様。」
そう言って、おてんば姫は、白馬にムチを入れて、駆けだしていった。
それから、追ってきた2頭の馬が、俺たちの前で、止まり
「失礼しました。フォウ様!」
と、敬礼した。
おそらくは、おてんば姫の護衛部隊の人だろう。
キッチリとした、騎士のような制服を着ていた。
「あなたたちも大変ね。 エリザベスをよろしくね。」
と、お姉様らしく、返しているフォウさん。
「承知いたしました。では、失礼します。」
と、ふたりの護衛の人は、エリザベスという女の子を、追いかけていった。
…なんか、嵐が吹いたような、あわただしさだった。
嵐が去って、しばしの沈黙のあと…
「ごめんなさいね。ホークさん…。今の子が、妹のエリザベスです。」
と、恥ずかしげに、ホホを赤らめるフォウさんだった。
(わかります!その気持ち!)
妹という存在を持つ、兄と姉の気持ちが!
世間では、…「妹萌え~」とか言って、妹という存在を崇めている集団がいるらしい。
(俺は、直接は知らないが、高校時代の頃、クラスのやつが、そんなことをわめいていた。)
実際に、妹を持つ俺としては、
「勘弁してくれ~!」
という、以外のなにものでもない。
すでに、妹とは、家庭内では、最強の存在であり、超ワガママなのだ!
そこに、世間からの無責任な支持を与えるとは……兄からすると、愚の骨頂である。
(しかし…俺は、ユリを……。)
あっ?いかんいかん!
また……。
俺は、迷走(迷想)を、振り払う。
…と、俺の話しは、おいといて…。
見るからに、フォウさんも、妹さんには、かなわないらしい。
(なんか、意外な一面をみれて、ちょっとうれしいかも。)
同じような、兄と姉の立場であることを、不思議と共感できることも、うれしい。
…なんて、いらぬことを考えながら、フォウさんのかわいいグチを、聞いていた。
「サウスランド・エリザベス ♀ 17歳 170センチ ?キロ ティフブルー王国の第2皇女 戦闘オタクで、橘 康介の大ファン。 趣味 戦闘鑑賞。 」
お疲れさまです。
今回は、無事に投稿できました。
最強女神のフォウをしても、妹には、かなわないみたいですね。
たしかに、妹って、家庭内では、最強かも?
ホークにしても、そうだけど…。
まぁ、ホークの場合は、シスコンかな?
でも、エリザベス姫…ちょっとおもしろい女の子だね。
今後…ホークに、どんな感じで、関わってくるのかな?
お楽しみに。
では、次回は、やはりミカ様登場です。
ミカ様といえば、宴会!
ホークの隊長就任の祝宴会ですね。
お楽しみに。




