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この人の笑顔を護る!

次の日。朝食をいただいた俺は、リハビリのために裏庭を散策させてもらった。……裏庭?…いやいや。どこのリゾート施設ですか? 

(ウラ庭広すぎだろ!ヤフオクドーム何個分だよ!)

と、ツッコまずには、いられないほどの広さだった。

(まぁ、なまった体を鍛え直すには、持ってこいだな。)

もうすでに、ファンタジー要素を自分の脳から、分離することを覚え始めた俺だった。

きれいな木々が生い茂る小道をしばらく歩いていると、竹の柵で囲われた庭園らしきものが…。この世界になんか違和感……俺にすれば、懐かしい日本庭園みたいなところに行き着いた。

(…いや。日本庭園そのものか?)

きれいに整った高低差のある石畳。

その脇には、元気そうに若葉を茂らせた松と楓が樹生している。そこには、いい感じで、木陰ができていて、涼しげさがある。

小道の足下には、可愛くツツジが並んでいた。

庭園の真ん中には、清らかな水が流れて出来た池がある。しかも透明度が高い。かなりの清水だろう。

いささか錦鯉は、いないが、なんか小さな魚影が見える。ハヤかフナのたぐいのお魚さんがいるようだ。

……美しい!

そして、その池を渡れるように石橋まで、掛けてある。

……素晴らしい!ここまで見事な庭園は、日本でも、そうはない。

このレベル…国宝級だぞ!

それにしても、どうしてこんなものが、こんなところにあるんだ?

(これ造った人って、絶対に日本人だろ? これは、究明しなくては…。)

少しワクワク感が芽生えた俺は、さらに探検する。

池の石橋を渡り、高台の方へと進むと、竹林に囲われた……ほぼ間違いなく……「茶室」だろうと、おぼしき日本家屋があった。

(こんなものまで……。)

俺は、感心を通り越して、尊敬の念を抱いた。

そして、その縁側に腰をおろして、ひと休みした。

「カコーン」と、心地よい響きは、水車から引き上げられた清水が、竹筒に溜まり、岩を叩く音。

そう…「鹿威し」が鳴る。

(ああ…。なんて素晴らしいところだ。)

しかし、これだけのものを所有しているフォウさんって…もしかして、とんでもない資産家のご令嬢…だよね。

まぁ、そのあたりは、おいおい教えてもらうとして…。でも、この庭を造った人は、なんとしても教えてまらわねば…!

内心ワクワクしながら、散策を続けた。

(この日本庭園。めちゃ気に入りました!)


およそ3時間ほどのリハビリ(散歩)を終えて、別荘へと戻って来た。自然豊かで有意義なリハビリだった。海も見えたので…

(フォウさんの話しでは、俺は、海で発見、救助されたらしい。あの作戦が海辺だったことと、関係あるのかな?)

…今度は、そちらの方へと、行ってみよう。

そうそう。この数日間で、俺の身体がこんなにも回復したのは、やはり「魔法」なるものの存在だった。

やはり、ファンタジーだった…。

(だよな~。かなりの重傷だったはずだ。なにが自分の肉体は、スゴイ…だよ。ハズカシイ。)

なんでも精霊なんとか…と、言っていたような? それも落ち着いたら聞いてみよう。

プラスして、あの温泉にも、回復効果があるらしい。

ありがとう温泉! さすが温泉!

あとで、また入ろう。すっかり上機嫌の俺だった。

「お帰りなさい。お散歩いかがでした?」

と、天使の金髪金目の美女…フォウさんが声をかけてきた。

立ち上がれるようになって、気付いたのだけど…彼女は、背が高い。

175センチくらいは、あるんじゃないだろうか? バレー選手のようなアスリートに見える。

それでいて、可愛らしくて…あと…ええっと…まぁなんというか、その…グラマー(死語)だ! そして、品がある。

俺のような見知らぬやつにも、とても親切にしてくれる。 ほんとうに天使のような人だ。 なぜかこの人の前では、調子が狂う…(いい意味でね。)

そして、俺は、答える。ほんと素直な少年のように…。

「ただいまです。すごくいい庭ですね。特にあの日本庭園は、素晴らしいですね。ほんとありがとうございました。」

「…? 日本庭園…?ああ…なるほど~。あの庭は、ホークさんのところでは、日本庭園と、呼ぶのですね~。」

彼女は、少しキョトンとしていた。

(そうだった。ここには、日本という概念がないのだった。)

「はい。俺たちの世界では、そう呼んでいました。ちなみにこの世界では、なんて呼んでいるんですか?」

と、尋ねてみると、フォウさんは、笑顔で

「私たちは、『ジャポネ庭園』と呼んでいますよ~。」って。

おお~!まさにミラクル!ジャパン=ジャポネ。なんて…古風な。

しかし、「日本」って、概念があるのか?

(…やはり、日本人だな。)

俺は、確信した。

それを証明するかのように、フォウさんが続けて言った。

「あの庭は、私のおばあ様がお造りになったものですよ。おばあ様は、ジャポネ様式をたいへん愛しているのですよ~。」って。 (なんだと?…おばあ様?)

なるほど…フォウさんのおばあ様ということは……だいたい想像がつくぞ。

…ジャポネね…。納得!

「そのようですね。あの庭を見るとわかります。ほんとに素晴らしい庭ですね。」

「ふふふ。ホークさんもジャポネ庭園が好きなのですね~。おばあ様と話しが合いそうですね。王都に戻ったら紹介しますよ~。」

「ありがとうございます。ぜひお願いしますね。楽しみです。 ところでフォウさんのおばあ様は、どんな感じの方なんですか?」 俺は、尋ねてみた。

「おばあ様は、御歳100歳を越えるパワフルおばあ様ですよ~。」

(100歳?……だよね。)

それから、あれこれと、おばあ様の武勇伝を聞いた。その中で少し驚いたことがあった。 それは、この世界の人たちの平均寿命が…なんと130歳くらいということだ。

なかには、魔法で延命操作する人もいるらしい。

どビックリ!羨ましい限りである。

…いや。俺は、そんなに長生きしなくてもいいんだけど……。

しかし、話しを聞く限り、おばあ様なる人は、俺と同じ日本人らしいけど…こっちに来てから、寿命が延びたのかな?


おっと。お昼ご飯です。

なんて…いい匂い…! この香りは、まごうことなき「カレー」のニオイ!

なんと!この世界にもカレーがあったのか? さすがカレー!

もはや国境を越え…次元も越えて、みんなに愛されるカレー! 素晴らしい!

聞けば、このカレー。 おばあ様から伝授されたらしい。

日本庭園といい…カレーといい…何者?

まさか神?

などと、勝手な妄想をしながら…しっかりと、3杯もいただきました。

ほんと、おいしかったです。ごちそうさまでした。


 

すっかり身体が回復してきたホーク。この世界にも、少しずつ慣れてきて、フォウとも、少しずつ話せるようになっていた。自分にできることは、まだないけど…力になりたいと、思いはじめるホークだった。まぁ…自分の趣味もあるんだけど…。

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