第34話 解析
涙が出るほどの激しい訓練も無事に終わり、夕食の準備に入る俺たち。
ドレンさんも今日は、泊まっていく…って。
(この人…隊長さんだけど、王都を留守にしていて、いいのだろうか?)
…いいらしい。
先ほど、通信魔法で「留守を頼む!」と、しっかり部下に伝えたらしい。
任される部下たちは、大変だろうが…まぁ、ドレンさんのあの人柄だ。
人望は、厚いだろうね。
それに、解析の方は、専門機関だから、ドレンさんも留守にして大丈夫なのだろう。
何かあったら、「ゲート」ですぐに戻れるから、心配は、無用のようだ。
そういうことなら、遠慮は、いらないな!
久しぶりの3人での宴会だ。
おおいに、楽しもうじゃないか!
会場のことは、ふたりにお任せして、俺は、食材調達へ。
まだ、寒いがなんのその。
新鮮なお魚さんをゲットしましょう~!
…ということで、本日のネタ―――
「寒グレ」と「ナマコ」。(何度も言うが、俺の一方的な主観だ!)
クロは、35~40センチのちょうど良いサイズが5尾。
ナマコは、青ナマコが…たくさん。
今日の「いい肴」になりそうです。
…と、調理の前にお風呂に入って、冷えた体を温めよう。
(ありがとう~温泉!)
お品書き。
「寒グレの皮付き刺身」と「アラの味噌汁」 これは、定番。
「クロの塩焼き」は、ひとり1尾ずつ。
たっぷり、堪能してください。
今日の力作は、なんといってもナマコだ!
橘さんは、知ってはいたけど、食べたことは、なかったらしい。
ドレンさんからは…
「そんなものが、食えるのか?!」
などと、完全にゲテモノ扱いだった。
見た目は、モロにゲテモノだからね…。
まぁ、食べて驚け!
ということで、調理をしましょう。
ナマコは、キレイに洗って、内臓を出す。
タワシを使って、表面の汚れを落とすと、キレイな青っぽい肌になる。(青ナマコ)
洗った身は、最初にタテ半分に切ってから、その身を薄く切って、酢醤油に漬ける。
ここに、大根おろしを添えて完成です。
とても簡単。
…そして、内臓だ。
これは、手間がかかる。
手間は、かかるが、めちゃくちゃうまいのだ!
珍味なのだ!
九州では、「クチコ」と呼ばれている。
まず、内臓を取り出し、塩水でキレイに洗う。
内臓(腸)の中のものをキレイに取り出すことが、ミソだ。
(ここは、手を抜かない!)
キレイに洗ったら、塩で揉んで30分くらい置く。
食べる前に、サッと洗って、小鉢に盛る。
(ほんとうは、1~2週間ほど、寝かせるらしいけど、早く食べたいからね。)
「さあっ。ご賞味あれ!」
おそるおそる口にした、ふたりは……
「なんと!」
「これは?!」
と、箸と酒が止まらない様子だ。
俺は、そんなふたりを見て、大満足。
「どうよ!」
…ってね。
「これは、驚きじゃ! ナマコとは、こんなにも、うまかったのか!」
「ほんとうまい!まさか、あのようなモノが、こんなにうまいとは! ホーク殿には、いつも感心させられる!」
橘さんもドレンさんも、満足そうで、よかったです。
まぁ、その笑顔を見れば、一目瞭然ですけどね。
そんな感じで、男達の宴会は、まだまだ始まったばかりだ!
そして…夜もふけていく。
ドレンさんが、参戦した次の日のこと。
調査隊の人が、ドレンさんの元に報告に来た。
(さすがだ。仕事は、はやい!)
俺にも関する話しなので、いっしょに報告を聞くことになった。
まず、ひとつめの目的…
「ホークの素性調査」。
もうひとつは、「ホークの勧誘」だと。
(まぁ、そうだろうな。)
そのことについては、ミカ様から、ある程度の話を聞いている。
実際に、デモンズは、俺の出現を感知していた。
おまけに、俺の名前まで、調べていた。
(正確じゃなかったけどね…。)
…ということは、あちらにも、ミカ様と同じ空間把握能力者が、いるとみていい。
そして、指令を受けたヤザンが、このティフブルー王国に、潜入してきたわけだ。
しかし、俺の調査と勧誘が目的だとしても、いきなり戦闘を仕掛けてくるか?
ふつう、もう少し情報を集めるだろう?
……って、ここは、「異星界」だったな。
日本の常識は、通用しない…か。
まして、この世界は、弱肉強食。
とりあえずは、ある程度の強さがないと、スカウトは、しない…ってことかな?
ドレンさんも、この意見には、賛成らしい。
あと、付け加えるならば、この国には、魔法結界があるから、潜入したは、いいけど、外部との魔法通信が、難しいとのこと。
ここで、少し気になるのは、その強力な結界の中で、ドレンさんたちが、ふつうに通信魔法を使えることが不思議だった。
タネを明かすと、専用の暗号?…特殊?通信らしい。
まだ、俺には、理解できない分野なので、スルーしよう。
ただ素直に…この国の技術に感心するだけだった。
おっと?話しを戻して…
だから…ヤザンは、先走ったのでは、ないだろうか?…と。
それとも…もしホークが、味方につかないならば、抹殺してしまおう…と、考えていたのかもしれなかった。
(ふむふむ。納得できる。)
橘さんといっしょに修行している時点で、ふつうは、敵認定だな…。
だとしたら、後者の抹殺説が有力だな。
デモンズの連中は、なかなかに脳筋思考の集まりのようだ。
やつらとの対立は、避けられないだろうな。
(すでに、幹部のひとりを始末したけど…)
俺は、はっきりと、デモンズを「敵認定」したのだった。
報告を終えると、調査隊の人は、王都に戻っていった。
何回見ても、この「ゲート」ってやつは、便利すぎる!
…まだ、怖くて使ったことがないけど…。
おっと?話しを戻して…
俺は、デモンズのことを、橘さんとドレンさんのふたりから、詳しく聞かされるのだった。
まだ、さわりの部分しか、聞いていなかったし、実際の現場の人から話しを聞きたい…と、俺も考えていた。
(実際に橘さんとドレンさんは、デモンズとの戦闘経験があるからね。)
そして…俺は、驚愕の事実を知ることと、なったのだ!
ああ~。やっぱりホークの料理は、美味しそうですね。
でも、冬の海に潜るホークには、驚き!
あっ?じつは、わたしも経験は、あります。
冬の海って、思ったほどには、冷たくなかったよ。(福岡です。)
でも、海から上がったあとが、寒いのなんのって!
そのあとの、あったかい温泉の気持ちいいこと…。
はぁ~癒されるねぇ~。
おっと?話しを戻して…
なかなかの脳筋思考のデモンズさんですね~。
さて次回は、この世界の真理に迫るお話しです。
ホークに理解できるかなぁ~?
お楽しみに。




