第21話 弾丸
フォウさんとミカ様との素晴らしいデュエットに、癒された次の日は、心新たにトレーニングに精を出す!
いつもの地獄(修業)が終わり、本日のメインテーマは、橘さんとドレンとで「武器体験教室」だ。
メニューは、「S&Wパイソン試射会」。
あれだ。俺が持っていたマグナムに、ドレンさんが興味を示し、橘さんも近代化した銃を体験してみたい…なことで、始まったこの企画だった。
銃に関しては、いちおうこの世界にもあるが、火縄銃に毛が生えた程度のモノらしい。
銃が無くとも、この世界には、魔法があるから、中遠距離攻撃は、何の問題もないみたいだ。
近距離の接近戦闘では、尚のことで、銃よりも、剣や拳の方が、有効らしい。
実際に、剣や拳に能力や魔法をのせて、威力を増大させることができるから、銃のような物理的攻撃力は、あまり必要ないのだろう。(弾丸の用意もしなくていいし…)
例えば、橘さんとマグナムで戦ったとしても、「弾丸の速さより速く動いて、敵を倒すことに、何の問題もない。」と、橘さんは、言っていた。
(弾丸より速く動く?)
なんだかよくわからないことをおっしゃっていた。
要は、この世界では、銃よりも強力なモノがある!ということだろう。
ただ、実際に目の前にある、マグナムを試してみたい…ということなのだ。
橘さんも、銃は扱えるが、マグナムは、初めてらしい。
まぁ、そうだろう。何しろ現物が、ないのだから。
たまたまやって来た異世界人が、たまたま銃を持っている確率なんて、どれくらい?っていうことだね。
だから、今までは、銃の有効性があまりなかったが、このマグナムだと、どれくらい有効性があるのか?ということを実験しましょう。
(そういえば、弾丸がなくなったら、どうしよう?)
……あっ?。ドレンさんあたりが、ハーモニカを複製したように、この9ミリ弾も複製できるのかも?
まぁ、今は、そこまで考えることは、ないか。
とりあえずは、実際に試射してもらうことが、先決だね。
(百聞は一見にしかず…だ。)
ちょっと、違うかな?
まぁ、いい。とにかく試射だ。
(正確には、「習うより慣れろ」ですね。ホークは、脳筋だから…。)
では、「試射会」をはじめよう。
「的」は、手作りの板だ。(ダーツで使う、円がグルグルあるようなヤツ。)
距離は、5メートルほど。
初めてだと、これくらいが、いちばん狙いやすい。
あとは、反動さえ慣れてしまえば、このふたりには、問題あるまい。
…そして、やはりというか、さすがというか…プロフェッショナルな、お二人。
「お見事!」
はじめに、マグナムの基本的な操作の説明をして、俺が2~3発のお手本を見せただけで…全弾命中!
(やはり、ただ者じゃないな!オッサンたちよ!)
満足げなふたりとは、対象的に、大忙しの俺だった。
なぜならば、ふたりが全弾命中させるものだから、的作りに追われたのだ。
やはりマグナム!
威力があって、すぐに的が、ボロボロだもん!
……と、まぁ、グチは、おいといて、ふたりの感想は……
「これだけの威力があれば、有効かもしれない。魔法で防御するにしても、かなりの上級クラスの防御魔法じゃないと、対抗できないかも、知れませんぞ。」
「うむ。さようじゃな。扱い方で、かなり有効かもしれん。魔獣あたりには、かなり有効じゃろう。」
…と。
(魔獣?…やはりいるのか?そういう生き物が…。)
まぁ、ファンタジーは、おいといて……
戦い方では、かなり重宝できるだろう…と。
ならば、あとは、相手に使用された場合のことだな。
敵…デモンズさんとは、ここ数年は、目立った戦闘がなかったらしい。
あちら側も、異世界人が多いこともあり、もしかすると、マグナムのような近代的な武器が開発されている可能性は、ある…ということだ。
油断は、禁物である。
ならば、先ほどのドレンさんの発言から、どの程度の防御魔法だと、この9ミリ弾を防御できるのか?という実験を行う必要が、出てきた。
まぁ、そちらの方は、ドレンさんたちが、請け負ってくれるらしい。
(助かった。俺は、魔法なんて、扱えないからな。)
おそらく、シルビアさんあたりが、頑張ってくれるのだろう。
魔法のことは、魔法使いの方に、お任せしよう。
そこで、ドレンさんから提案があった。
「我らが、そのマグナムを複製しよう。」
「えっ?できるんですか?」
「もちろん可能だよ。」
「じゃあドレンさん。弾丸の方もお願いできますか?」
「うむ。もちろんだとも。それから弾丸には、魔法を付与した魔法弾丸の方が効果的だろう。ホーク殿の武器知識をいただくことになりますな。ワッハッハッ!」
豪快に笑うドレンさんだった。
なるほど…対魔法用には、今の9ミリ弾ではなく、魔法加工した弾丸を開発しようと。
そして、俺の知識にある弾丸に…広く言えば、地球の科学技術に魔法技術を融合するわけだな。
それは、おもしろそうだ!
なんかワクワクしてきた!
……それから、男3人で、ワイワイと、あり得ないほど武器の談議に花が咲いた。
このことがきっかけで、ティフブルー王国は、魔法だけでなく、戦闘武器に置いても、脅威的な存在となるのだった。
まぁ、そのお話しは、まだ先になるのですけどね。
男の子たち3人で、たのしそうですね~
なにやら、イケナイ方向に進まないことを祈りますね。
ホークも予備の弾丸のアテができてよかったね~。
これで、好きなだけマグナムをぶっぱなせる!ということ…おっと、アブナイ人にはならないように注意してね。
次回は、この世界の不思議?技術?に迫ります。
お楽しみに。