表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/110

第16話 出願

 (う~ん……アタマが痛い…!)

完璧に二日酔いです。

とりあえず、水を一気飲みして、ヤケたノドを潤す。

そして、軽く汗を流して、サッパリしよう。(汗といっしょにアルコールを出す! アタマが痛いけど……。)

まだ6時前くらいだ。みんなを起こさないように、静かに部屋を出る。

 小一時間ほど、ランニングして戻ってくると、ドレンさんとミカ様の護衛の人…えっと、なんだっけ?……う~ん……そうだった。

「橘 康介さん!」

そう…彼も、異世界人…日本人だった。


「橘 康介 91歳 ♂ 178センチ 70キロ 国王直属護衛部隊 第1部隊副隊長

神刀「クサナギ」をあやつる剣の達人 趣味 座禅 」


 ランニングから戻ると、ドレンさんと橘さんが、朝トレをしていた。

本日は、「剣術」らしい。

「カンッ。カンッ。」

と、気持ちいい木刀の響き。

しかし、その音色は、速さを増していく。

(マジか?速すぎ!)

俺は、すっかりと、ふたりの打ち合いに、見とれてしまった。

橘 康介…ただ者じゃない!

齢…90才。(見た目は、70才くらいだが…)

…とは、思えないほどの技とスピードだ!

それに対抗している、ドレンさんも、ただ者じゃなかったけど…ね。

(なんちゅうオッサンたちだ!) 

俺は、素直に感嘆したのだった。

 いくばくの打ち合いが終わると、橘さんが、俺に視線を向ける。

「ホーク君。来なさい。軽く対戦しよう。」と。

俺は、うなずき木刀を握る。

「よろしくお願いします。」

と、一礼して、軽く木刀を合わせる。

「はじめ!」

の、かけ声があがり、模擬戦が始まる。

俺は、まず、正面中段の構えで、橘さんの様子をみる。

橘さんも、正面中段の構えをとっていた。

しかし、その佇まいは、なんとも自然体だった。にもかかわらず、付け入る隙は、全くなかった。

(…スキがない…マジで、達人レベルだな!)

俺は、剣術に関しては、ド素人だから、ここはひとつ…胸を借りるつもりで、行きますか?

…ということで、先手必勝!

瞬発で、橘さんの胸元に「突き」を入れる。

橘さんは、微動だにせず、木刀のさばきだけで、俺の突きが、かわされる。

橘さんは、俺の木刀を払うと、その流れのまま…ヨコ凪に振り込む!

(はや!なんというスピード!)

俺は、反射だけで、なんとかその太刀をかわせた。

一瞬、橘さんが「おっ?」という表情をみせたが、俺は、かまわずに反撃に移る。

しかし、俺のようなド素人が、ただ木刀を振り回すような攻撃は、「カンッ。」と、難なく受けられて、そのまま返しの「面」が来る。

(マジで、速っ!)

俺は、かろうじて、その面を受け止めた。

受け止めて、負けじと返しの「面」を放ったが…そこには、もう橘さんは、いなかった。

…いや。正確には、いたのだが…「消えた!」かと、思わほどのスピードで、俺の右ヨコへと、ステップ移動して…と同時に、わき腹への一撃!

またもや、かろうじて木刀で、ブロックできた。

しかし、高速ステップの威力が加算された一撃は、かなりの衝撃だった!

俺は、とっさに左手を、受け止める木刀の背に充てて、木刀が弾かれないように、固定した!

「ガンッ!」

と、鈍い音がした。

その衝撃は、俺の体幹をずらすほどだった。(なんちゅうオヤジだよ!ゲキ強!)

俺は、戦慄を感じた!

橘さんは、弾いた木刀で、そのまま逆回転で、コマのように1回転して、バックブローのような形で、追撃してきた。

俺は、右肩口から入って来る斬撃を、ダッキングでかわし、しゃがみ込んだ姿勢から、さらにもう一歩踏み込み、左斜め下から、橘さんのわき腹へと、斬り上げる攻撃を仕掛けた!

(これは、どうだ!)

いいタイミングでのカウンターに、なったはずだ。

…しかし、橘 康介という男は、俺が思っていた以上の達人だった。

信じられないが、俺の放った木刀のツカの先…右手の握りこぶしから、飛び出している木刀のツカを踏み台にして、ジャンプしたのだ!

(信じられるか?そんなモン!)

ジャンプでかわした橘さんは、余裕で俺の脳天に一撃!

「イタっ!」…衝撃は、そこまでなかった。

当たる瞬間、力を抜いてくれたおかげだろう。

……完敗だ!

俺は、潔く…

「参りました!」

と、一礼した。

「まだまだじゃな。だが…スジは、いい。」

橘さんは、笑って言った。

(なんちゅうオッサンだよ!まったく…。)

俺は、意を決して…

「橘さん。もしよろしければ、俺に剣術を指導して、いただけませんか?」

と、頭を下げた。

そう…じつは、俺は、格闘技とスナイピングには、自信があったが、剣術に関しては、ド素人だったのだ。

それもそのはず…元の世界での武器は、「銃」がメインだったからだ。たまにナイフを使うこともあるが、ナイフと刀では、まるで違う。

俺は、ここぞとばかりに、弱点を克服しようと、願い出たのだ。

橘さんは、迷うことなく、快く引き受けてくれた。

「ワシの修行は、厳しいぞ!」

と、ニヤリと微笑んで。

(望むところだ!)

「よろしくお願いします!」

俺は、今一度、頭を下げた。

 それからは、地獄と呼ぶに相応しい修行が、始まったのだった。

 (マジ泣きそう~!)

 







二日酔いは、ツラいよね。

次からは、ほどほどに、しようね。

橘 康介。 やはりただ者じゃなかったですね。

ホークも、頑張ったみたいだけど…。

そして、なんと…弟子入りを志願したホークと、あっさり認めた橘。

この子弟コンビは、面白くなりそうですね。

さてさて、次回は、本格的に修行に入ったホークと橘。

ホークは、橘の過去にも、気になるけど…

では、お楽しみに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ