表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/110

第13話 休息

 しばしの休息。

俺は、しばらくぶりにハーモニカを手にして、「あそこ」に行くことにした。

庭の草花の手入れをしていたフォウさんに、断りを入れて…あそこ…日本庭園に、足を向ける。

小川沿いの小道を抜け、池の石橋を渡り、たどり着くのは、あの「東屋」。

(ああ~ほんとにここは、落ち着く…。)

この景色は、俺の故郷を思い出す。

あの、懐かしい…そして、悲しみと、後悔の……。まだ、あの記憶は……。

 おっと。いかんいかん!

また、暗くなっていた。今日は、そんなつもりは、ない。

これが、いっしょだからな…。

そして、ポケットから、こいつを取り出して、軽く一曲。

奏でる曲は、ユーミンの「やさしさに包まれたなら」。

この曲は、母が好きだった曲…妹のユリと、いっしょに歌った曲……そして、レクイエムになった…曲。

「小さい頃は、神様がいて、不思議に夢を叶えてくれた~♪」

俺は、楽しく穏やかだった、昔のことを思い出しながら、吹く。

オヤジと、お母さん。そして…ユリの4人家族で、いつも楽しかった。

オヤジは、無口だけど、やさしかった。

いつも、庭の手入れと、畑を大事にしていた。本業は、庭師だったけど…仕事の合間に、よく俺を釣りに、連れて行ってくれた。そして、いろんなことをオヤジから教えてもらった。

お母さんは、体が弱かったけど、庭が大好きで、あたたかい人だった。

そして、俺たち兄妹をほんとに、大事にしてくれていた。

特に、ユリには、やさしかった。

そんな、お母さんとユリを見ていると、俺は、子どもながらに、うれしかった。

ユリも、お母さんの愛情をいっぱいに受けて、ほんとうにスクスク、可愛く育っていた。

 幸せだった…。こんな幸せが、いつでも続きますように…。

そんなことを本気で、願っていたあの頃のことを想って………。


 「パチパチ~。」

と、拍手が聞こえた。

振り向けば…フォウさんが、泣きながら拍手をしてくれていた。

(…???)

俺は、かなり戸惑った。

「えっ?そんなに、感動してくれたんですか?」

「はい。私とても感動しました。いい曲ですね~。なんか…こう…すっごくあたたかさに、包まれたような感じで…とても、癒やされます~。」

と、フォウさんは、とても気に入ってくれたみたいで、そんな感想を言ってくれた。

あと…自分は、感情移入しやすいから、気にしないでいい…と、微笑むフォウさん。

(この人には、やっぱり、かないませんね~。)

 フォウさんは、音楽が大好きらしく、歌うことは、もちろん。楽器の演奏も得意だと。

聞くと、この世界にも、ピアノやバイオリン。そして、ギターやトランペットなど、よく知られた楽器が、あるようだ。

そして、笛や太鼓といった、お祭りで使う楽器なども、あるらしい。

 ちなみに、フォウさんの得意なものは、ピアノらしい。

(さすがお姫様。とても似合いますね。)

そんなフォウさんは、俺が吹いていたハーモニカに、興味を持ったらしい。

…で、「吹いてみたい…」と。

彼女の真剣さに、おされて了承した。

もちろん、断る理由は、ない。むしろ、フォウさんが吹くハーモニカを聴いてみたい!

とりあえず、ハーモニカをきれいにして、渡した。

そして、基本的な吹き方を説明しただけで、フォウさんは、すぐに吹けるようになった。

(ちょっと…凄すぎじゃありませんか?)

まぁ、フォウさんの新たな1面がみれて、とてもうれしい。

フォウさんの奏でる音色は、とてもやさしい感じの…とても心にしみる音色だった。

もちろん、彼女が吹く曲は、知らないのだけど…ね。

(フォウさんの生演奏を聴けた俺って、めちゃくちゃ幸せ者?)

などの庶民的な発想になってしまったが、俺は…またもやこの女神様に、癒される。

(ほんとうに、ありがとうございます。いい休息に、なりました。)


その後、またしても、驚くべきことが…。

フォウさんが、「ハーモニカを貸してほしい」と、言うので、俺は、快く貸しました。

そうしたら…なんと!

次の日には、ドレンさんによって、ハーモニカが、複製されていた。

しかも、その出来栄えに、どビックリ!

(なんか…この人たちって、凄すぎ……)

俺は、少しあきれてしまったのだった。

まぁ、いいさ。異世界だし…こういうことも、あるさ!

 後日談。

秘かなブームで、宴会の出し物で、楽団が出来たことは、内緒だ!

この話から、第数を表示いたします。

今まで、なくてごめんなさい。

少しずつ、ホークの心の闇も、溶け出してきました。

それにしても、ホークがユーミンファンとは…。少し驚きですね。

フォウの才色兼備は…もう、わかっていますから……でも、ホークは、彼女の生演奏を聴けて、すっごく感動したみたいで、よかったね。

ドレンの秘かな特技にも、ビックリです。

宴会での、みなさんの演奏を聴きたいですね。

さてさて。次回は、とうとうあの御方が、登場します。

ホークが、待ちに待った、あの御方との対面です。

さぁ、どんなことになるのかな?

では、お楽しみに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ