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五話

後半ミリアム視点です。

「お姉様、ずるいわ!!」


  放課後、カフェテラスでお茶を楽しんでいたら、大きな声がしました。どこかで聞いたことのある声だと思ったら、連れ子さんですわね。どうして、学園にいるのかしら?


「自分だけ、そんなステキな二人とお茶するなんて、ずるいわ!」


 確かにわたくしのテーブルにはマルクとガストンがおりますが、それの何がずるいのか、判りません。


「私も交ぜて!」


 こちらが招いたわけでも、許可を取ったわけでもないのに、そう言って空いていた椅子に座ろうとしますが、


    ガゴンッ


 ガストンがその椅子を蹴り飛ばしました。 学園の備品は大切にしなければいけませんのに、困りましたわねぇ。


「何するのよ!」


「誰が座って良いって言った?」


「……誰も言ってないけど、良いでしょ、空いていたんだから!」


 はぁ、どこまで常識外れな子なんでしょうか。頭が痛くなりそうですわ。


「エルヴィー、これ、なに?」


 〈これ〉って、ガストン、物ではないですからね。


「お父様の再婚相手の連れ子さんですわ」


「連れ子って言うな!私はあんたの妹よ!」


「躾のなってない犬だな。飼い主はきみか?」


 マルク、犬はさすがに言い過ぎですよ。まぁ、確かに躾は必要でしょうが。そして、飼い主と呼ばれたのは……確かバランド男爵家の方ですわね。真っ青なお顔をされています。

 やはり彼が連れ子さんを学園に連れて来た当人のようですわね。あわてて彼女を引っ張って行こうとしています。


「申し訳ありません、パシェット様、ベルクール様。直ぐに連れて行きます」


「ちょっと引っ張らないでよ!あんた私の婚約者なんでしょ!だったら助けるとか、やり返すとか出来ないの、この役立たず!!」


 あら、婚約者でしたのね。それで学園に居たわけですか。さしずめ、入学手続きでもしに来たのでしょう。


「バランド様、ご婚約、おめでとうございます。ふふっ、大変ですわね」


 同情と嫌味を込めてわたくしが言うと、


「昨日、仮婚約して、今日入学手続きをしに来たのですが、少し決断を早まったみたいですね」


 そう言って、連れ子さんを羽交い締めにした状態で、引きずるように連れて行かれました。


「放しなさいよ!私は明日からここに通うんだから、少し位見てまわったって良いはずよ!」


 あら、明日からですか。それは今から気が重いですわねぇ。




 ****




「なんで私が退学なのよ!そんなのおかしいわ!」


  一昨日私の婚約者にしてあげたバランド家のジョゼフが朝から離れを訪ねてきたから、てっきり私を迎えに来たと思ったのに、そうじゃ無かった。


「正確には、入学取り消しだよ」


「だから、なんでよ!」


 意味が判らないわ。昨日入学したばかりなのに。


「僕との婚約が白紙になったからだよ」


「……えっ?」


「ミリアム嬢、昨日の学園での君の態度はひどいものだった。僕や僕の両親は、たとえ平民という身分でも、君がパシェット家に縁があり、それなりに我が家に利をもたらすと思って、君の父上の話に乗ったけど、大失敗だと判ったからだ」


 ひどいってなに?私は被害者よ!だって私の婚約者のこの男は、髪も目も地味な茶色で、顔だって普通。なのにお姉様は凄くカッコいい二人と一緒にいるなんて、ずるいじゃない。

 なのに、座ろうとした椅子は蹴っ飛ばされるし、犬呼ばわりされたのよ!それなのに、何言ってんの、コイツ。


「そんなに簡単に婚約を白紙になんか………」


「まだ仮だから、簡単だよ。なにより、君は貴族にも、その婚約者にもふさわしく無い。それじゃぁ、これで」


 そう言い捨てて、婚約者だった男は振り返りもせず立ち去った。


 はぁ?ふさわしく無いのは、あんたの方でしょ!ほんとなら伯爵令嬢の私の婚約者に男爵家なんてあり得ないけど、学園に入るために仕方なく婚約者にしてやったのに、なによ、偉そうに!


 あぁ、もぅ、ほんとに腹が立つ!何で私ばっかりがこんな目に遭うのよ!絶対間違ってる!

評価及びブックマークありがとうございます。


ただただ感謝しかありません。



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