誰かが来たら
午前中に降っていた雨が
昼頃に上がって
太陽がまるで出番を待ちきれないでいたかのように
顔を出す
どこか霞んで見える春の空気も
雨で洗い流された所為か
それとも
この時期特有の
萌黄色した木々の葉が
射してきた陽の光を
反射する所為なのか
やけに景色が眩しく澄んで見えて
そんな木々を微かに揺らし
吹いていく風も心地良い
相変わらず淀んだ雰囲気をまとったままの自分には
あまりに不似合いだと
僕は意味もなく掌を
くるくるさせて眺めたあと
頬をかきながら空を見上げる
さっきまでの雨模様とは打って変わった
一面の青空が目に飛び込んできて
とても爽やかな雨上がりの午後だと思う
歩いているだけで
気持ちも心地も良くて
自然と背筋も伸びるような
でも何故なんだろう
何故か僕は
この美しい雨上がりの真ん中を
進んではいけない気がして
陰のあるブロック塀に寄って
沿って歩く
ここが好きな訳ではない
できるならあの陽の当たる場所を
気持ち良く歩いていたい
でも
あそこにいると
本当に自分がここに居て良いのかって
不安になって
他にもここに居たい人が
歩きたい人がいるんじゃないかって
焦ってくるから
要は落ち着かなくって
それなら
邪魔にも邪険にもされない所でって
気持ち良いとは思えない
この湿った陰に落ち着くようになっていた
ただ 今は
他に誰もいないから
誰かが来たら
また端に避ければいい
もしも万が一
隣り合って歩ける人ができたなら
その人に陽のあたる場所を歩いてもらえばいい
だから今は
僕は辺りを見回してから
道の真ん中を歩こうと
陰から一歩を踏み出して




